第5戦 2007年6月24日 京都府コスモスパーク
豪雨の中の激闘。ダンロップ勢5クラスを制覇!


 初夏の北海道から一転、舞台は京都府にあるコスモスパークへと移った。このコースは京都市街を流れる桂川の上流、日吉ダムが作り出した巨大なダム湖のすぐ隣にある。ダム建設の際に浚渫した残土で山間の谷間を埋めて建設された為、全体的にコースの高低差が少なく、スピードにのったドライブを楽しむ事が出来る。また残土によって埋め立てられたコースだけに、路面状態がコース内でめまぐるしく変わるのも、このコースの特徴だろう。全日本ラリーのSSとして、またダートトライアルの地方戦会場として、近畿圏のファンに馴染み深いコースだが、全日本ダートトライアル選手権の開催は、意外にも初めて。走りなれた関西のドライバーや、ラリーを経験しているドライバーがどれだけ活躍するのか、そして他のドライバー達がこのコースをどのようにして攻略していくのかが、レース前のポイントだった。

 それに加え、レース当日は荒天となった。N1クラス第1ヒートが始まる頃に、ポツリポツリと降り出した雨は、5分もしないうちに土砂降りへと変わり、コースは一瞬にして泥ねい路へと変貌。レース最大の要素となった。

見事3連勝、原選手に天候は関係無し

 各クラスの中で最も雨の影響を受けたのは、マシンパワーが抑えられているN1、N2クラスだった。コース上にはところどころに大きな水たまりや粘土層があり、ラインどりを変更するにしても、それら障害を突き抜けるにしても、大きなタイムロスを強いられる。しかも、マシンがコースを走る度、コンディションは悪化していく。雨が終日止まない事がわかった時点で、この2クラスのドライバー達は、第1ヒートに全精力を傾ける事を余儀なくされた。

 このタイトな条件下でも、N2クラス2連勝中の原 宴司選手(ブーン)は冷静だった。ウエットな環境下でもマシンパワーをロス無く伝えるSP SPORT 73-Rを装着すると、事実上の一発勝負である第1ヒートで、クラス唯一の1分36秒台となる1分36秒974という圧倒的なタイムをマークする。さらに、同じダンロップユーザーの伊藤 益弘選手(ブーン)佐藤 秀昭選手(ブーン)が、共に1分37秒台の好タイムで2番手、3番手につける。第2ヒートでは予想通りタイムは伸びず、このオーダーがそのまま最終結果となった、第3戦以来のダンロップ勢の表彰台独占と、原選手の3連勝が実現した瞬間だった。原選手はこの結果、選手権でもトップを走る佐藤選手とポイント数で並んだ。今後のさらに白熱した戦いが期待される。

今シーズン初優勝、すずき みがく選手

 クラスがSA部門以降に移ると、コースの特性を把握し、第2ヒートでタイムを伸ばすドライバー達が現れ始める。時折雨脚が弱る時間帯も有り、その間隙を縫ってコースを攻めたドライバーは、大幅にタイムアップを果たしている。路面温度、スタッフの懸命なコース補修など、様々な要因が絡み合い、肌寒ささえ感じる環境の中、レースは手に汗を握る展開をみせる。SC1クラスでは、ここまで未勝利ながら手堅い走りで選手権2位をキープしているすずき みがく選手(インテグラ)が、これまでの鬱憤を晴らすドライビング。第1ヒートでは3番手のタイムだったものの、第2ヒートに入って一気に2秒以上のタイムアップに成功、それまでのトップを0.063秒差でかわす1分39秒158で嬉しい今期初勝利を勝ち取った。3位には前節同様工藤 清美選手(シビック)が入り、こちらはダンロップユーザーの1、3フィニッシュ。

第1ヒートのアドバンテージを生かした岩田選手

 さらに続くSC2クラスでも岩田 真理選手(ストーリア)が活躍を見せる。第1ヒート、雨でぬかるんだ路面を的確に捉え、ミスの無い走りで1分37秒402の好タイムでトップに、第2ヒート、路面状況が悪化し、ほぼ全車がタイムを伸ばす事ができず、スナガワに続いての2連勝、今期3勝目をマークした。3位には第2ヒートで唯一自己タイムを更新した發地 浩秋選手(アルト)が食い込み、こちらも1、3フィニッシュ。

大接戦を制した梶岡選手

 このレース、最も沸いたクラスは、間違いなくSC3だろう。プロドライバーのプライドとテクニックが作り出した熱いバトルに、雨の中駆けつけたダートトライアルファン達全てが熱狂した。

 マシントラブル、ミスコースが多発し、各ドライバーがタイムメイクに苦慮する中、現れたのは北村 和浩選手(インプレッサ)獰猛なマシンパワーは、時折自らのコントロールさえ失ってしまいそうになる程であったが、SP SPORT 73-Rのグリップ力、そして北村選手のテクニックがそれをカバー、タイトロープを渡るように、リスク覚悟でコースを攻める。第1ヒート、タイムはその時点で2位に2秒差をつける1分32秒341という、まさに異次元のもの。しかし、その眼前に梶岡 悟選手(インプレッサ)が立ちはだかる。こちらは対照的に、冷静なドライブで、タイムロスが最も少ないラインを、スムースに駆け抜ける。果たしてタイムは、1秒32秒183、見事第1ヒートトップを奪う。対照的なドライバーの、魅力的な対決は、第2ヒートに入り、より加熱する。第2ヒートが始まった頃は、雨が激しくコースに降り注ぎ、決して良い条件ではなかった。事実多くのドライバーが自らのタイムを更新できないでいた。このまま順位は変わらないのかという空気の中、再び北村選手の果敢な走りが観客を引き込んでいった。テールは触れ、挙動は不安定、しかし、速い。S字コーナーを立ち上がり、最終コーナーに進入する際に、テールバンパーを脱落させながらも、タイムは1分31秒819、再びトップに。沸き立つコスモスパーク。梶岡選手も応えるように、第1ヒート同様冷静な、しかし確かな熱気を感じさせるドライビング。こちらは中間地点前に、同じくテールバンパーを丸ごと脱落させてしまうが、たじろがない。マシンコントロールに一部も隙も無く、たたき出したタイムは北村選手のそれを0.373秒上回る1秒31秒446。双方一歩も引かぬ戦いは、梶岡選手の2連勝に終わった。北村選手は最終的には3位となったものの、この激戦で上位と対等以上に戦える手応えを感じたのではないだろうか。

圧倒的な速さを見せる三上悟選手

 続く最終Dクラスでも、ダンロップユーザーが存分に活躍する。主役は三上 悟選手(ランサー)マシンの改造がほぼ無制限のこのクラスは、どのマシンも豪快なエンジン音を響かせ、コースを駆け抜けていったが、三上選手のランサーは、まさにモンスターマシンと呼ぶにふさわしい仕上がりだった。ドライビングテクニックも光り、一人別次元の世界へ。第1ヒートのタイムは1分28秒210。この日最速を記録する。2位とのタイム差は、何と4秒478、この差は一朝一夕にひっくり返せるものではない。加えて第2ヒートが始まる頃、再び雨脚が強まり、コースコンディションが悪化、この時点で三上選手の3戦ぶりの優勝が決まった。


 その他、N3クラスでは山野 光司選手(ランサー)が、悪路を走破、2位を獲得している。SA1クラスでは北村選手と同じオートメリッサの大栗 一也選手(シビック)が、SA2クラスでも同じくダンロツプユーザーであり、山野選手とはチームメイトでもある北島 広実選手(ランサー)が3位表彰台に入った。


 悪天候の中、アクシデントも多発したこのレース。しかしこうしたタイトな条件下だからこそ、ドライバー、マシン、そしてタイヤの地力がはっきりと判るという側面もある。そうした中で、5クラス制覇を成し遂げたダンロップタイヤの優位性は、最早疑うべくも無いだろう。次回は梅雨明け間近の北関東、栃木県にある丸和オートランド那須を舞台に、熱戦が繰り広げられる。残りあと3節、いよいよ目が離せなくなってきた。