第4戦 6月30日(日) 輪島市門前 モータースポーツ公園
初夏のドライ、熱いバトルで
ダンロップ勢が6クラス制覇!
全日本門前ラウンドは、地元門前町からの心温まるバックアップを受けて盛り上 がることで長年、人気を集めてきた。
北海道で行われた第3戦から約1ヶ月。全日本ダートトライアル選手権第4戦は、舞台を北陸に移しての開催となった。石川県輪島市にある門前町の自治体が盛り上げを支援することでおなじみとなった選手権の名物イベント。選手陣からの人気も高く、エントリー総数は150台を超えた。決勝日は梅雨の合間の晴れ間となった。昼からは薄曇りにはなったが、最高気温は28度。湿度が高く、風も弱いなか、汗ばむほどの陽気となった。今回のコースは、1周目にインフィールドセクションを、2周目に大きく外周をまわるレイアウトとなっており、コース上の浮き砂利や砂が掃けた2回目のアタックでは各クラスタイムアップが予想された。
第2ヒートで軌道修正してきた山本は、これでシリーズ争いでも単独首位に浮上した。
N1クラスはここまでの3戦すべてで勝者が異なり、選手権争いが混戦模様に。シリーズ折り返しのこの門前で誰が抜き出るのか、注目が集まった。まずは第1 ヒート、まだ路面に砂利が残る中、ベストタイムの1分37秒309を叩き出したのは、地元石川のノンシード、広上徹(クアトロデゥエ インテグラ)。しか し、このクラスはほぼ全員が第2ヒートでタイムを更新。まず好タイムをマークしたのは、石崎雄一(和合タイヤ・インテグラ)。 1分34秒418と34秒台に乗せてきた。続く前田蔵人(和クスコ住鉱ペンズインテグラμ)も34秒台には乗せたが、0.348秒届かず。その前田は「今回は広上さんか石崎さんが勝つかなと思っていて、自分は6位以内に入れればと思っていたのですが、まさかウチのチームのこの選手にやられるとは」と愕然させたのは、今季、大牟田で勝利を挙げて好調の山本悠太(DL和弘ペンズITOインテグラ)。なんと34秒台を破る1分33秒963という会心の走りを見せた。山本のタイムはシードゼッケンに入っても破られることはなく、「1本目は慣れない路面で抑え気味になってしまいましたが、 2本目はしっかり修正して踏み切ることができたので、よかったと思います」と 満足のコメントを残した。
貫禄の走りで逆転劇を見せた伊藤は、シリーズ争いでも西田をかわして首位に躍 り出た。
ブーン、ストーリアなどのコンパクト4WD車両で争われるN2は大逆転劇が展開された。第1ヒートでトップタイムをマークしたのは、今回は優勝を狙ってきたという西田裕一(DL・BOOBOWブーンX4)。ただ一人、35秒台に乗せてきた。そして全員がタイムを更新した第2ヒート、まず35秒台に乗せたのは、熊川嘉則(ガレージ 熊川DLストーリアX4)。しかし、第1ヒートトップの西田もタイムを更新させ、1 分34秒823を叩き出 す。そして残るひとりは、絶対王者の伊藤益弘(BOOBOW・DL・ブーンX4)。第1ヒートは西田に1.157秒の差をつけられていた伊藤は第2ヒートをスタート後、前半セクションでも西田のタイムにコンマ470秒遅れに留まっていた。しかし、後半の林道セクションに入ってからベテランの技が光り、フィニッシュしてみれば西田を1.343秒も突き放すスーパータイム!いぶし銀の走りで、開幕戦に続く今季2勝目を挙げた。「久しぶ りに門前で優勝できてうれしいです。夏場のダートラは体力的に厳しくなってきましたが、力の続く限り、がんばりたいと思います」と、コンパクトマ シンの名手は頼もしいコメン トを残した。
今季好調の北条、北島を抑えての逆転劇を見せた佐藤。待望の今季初勝利で、後半戦の巻き返しを狙う。
20台を集めたN3クラスでも、清々しい逆転劇が展開された。1本目でトップタイムをマークしたのは、開幕戦から徐々に順位を上げている黒木陽介(DLガルフ WMランサーIX EX)。ひとり1分29秒464と29秒台に乗せて、好調ぶりを見せつけた。その黒木は第2ヒートでタイムは更新するものの、この時点で伊藤久(RZフォ ルテックDLランサー)に続く2番手。この伊藤のタイムを、2連勝中の北条倫史(DLシーンitzzTAランサー)が塗り替え、27秒台に乗せてくる。そして最終 ゼッケン、昨年チャンピオンの佐藤隆行(CL Moty's DLランサー)を迎える。今季はここまで2位がベストと未勝利、第1ヒートも7番手タイムに留まっていた佐藤だが、シリーズ折り返しの大一番となるこの一 本で、滑り出しから波に乗り、北条を0.472秒上回るトップタイムでフィニッシュ。完璧な逆転劇を展開して見 せた。「今年はなかなか成績が出 ず、今季はもう勝てないんじゃないかと思い始めていたので、ここで勝ててホッとしています。昨年、転んでから初めての門前だったので、1本目は今ひとつでしたが、2本目で逆転できてよかったです。 これでやっと1勝目を挙げてスタート地点に立てたので、ここから盛り返して行きたいと思いま す!」と、ようやく今季の勢いをつかんだ12年チャンピオンは、笑顔を見せてくれた。
ようやくインテグラに乗り換えての初勝利をつかんだ稲葉は、自身鬼門の門前も克服してみせた。
15台のエントリーとなったSA1では、第2ヒートで大波乱が起こった。第1ヒートでトップタイムをマークしたのは、ただ一人35秒台に乗せてきた、昨年チャ ンピオンの山崎利博(itzzペンズDL絆シビック)。2番手タイムに1秒近く差をつ けて今季2勝目を目指す。そして第2ヒート、 シードゼッケンに入るとまず岡田晋吾が33秒台に乗せてくる。そして次にスタートしたのは、開幕2戦で苦戦して いた稲葉幸嗣(メープルFORTDLインテグラ)。稲葉は岡田のタイムを0.340秒上 回る1分33秒370をマークして首位に立つ。そして迎えた山崎だったが、なんとこの2本目でDNF。この結果、稲葉がうれしい今季初勝利を飾った。その稲葉は 「DC5に乗り換えてしばらく苦労が続き、前戦の北海道で何とか2 位に入ることができて、速いところも少しずつ見せられるようになってきていましたが、今回 優勝することができて、本当にうれしいです。門前はあまり得意ではなくて、 輪島塗りのトロフィーを持って帰ることができると思っていなかったので、非常にうれしいです」と表彰台の中央で喜びをかみしめ た。
揺るぎない速さで貫禄勝ちした工藤。シリーズ争いでは、4連続2位の児島と首位タイに並んだ。
改造車コンパクトクラスでは、王者が貫禄の走りを見せつけた。昨年王者の工 藤清美は、今季ここまで欠場した第2戦を除く2戦で優勝を果たしており、絶好調。今回もまず第1ヒートで、2番手タイムを0.800秒引き離すトップタイムを叩 き出す。この工藤のタイムを目指してスタートした第2 ヒート。まずは4年ぶりにSC1クラスに参戦したという坂田一也が33秒台をマーク。それを塗り替えたの は、今季ここまで3戦連続で2位にまとめ ている児島泰(ALEXDLFTヤマトシビッ ク)。坂田のタイムを1.219秒上回る、1分32.340秒をマークし、シードゼッケン陣を待つ。しかしシード勢が今ひとつ奮わない中で登場した、最終ゼッケンの工藤は、滑り出しから他を圧倒する走りを見せ、児島のタイムをさらに0.859秒上回る1分31.481秒で、快勝。今季3勝目をマークした。その工藤は、「門前は自 分と相性がいいのか、3年連続で勝つことができました。今年はここまで4戦中、参戦した3戦で優勝しているので、残りもパーフェクトで行きたいと思いま す。がんばります!」と強烈なタイトル防衛宣言を掲げ た。
第1ヒート、第2ヒートを共にトップでまとめた亀山が久しぶりの全日本勝利をマーク!
20台と盛況を見せたDクラスも、波乱の展開となった。第1ヒート、チャンピオ ンの谷田川敏幸を抑えてトップに立ったのは、ベテラン・亀山晃 (ベストスポー ツDLランサー)。2番手タイムの目黒亮(スコーチDLモティーズランサー)と共 に29秒台に乗せた。そして第2ヒート、1分26 秒461とタイムを更新すると、最終ゼッケンの谷田川を待つ。「ここで勝って、選手権争いを楽にしたい」と語った谷田川だったが、勝負の第2ヒー ト、最初のコーナーで痛恨の失速。その後盛り 返すが、亀山のタイムに0.410秒届かず、亀山が久しぶりの全日本勝利を手にした。表彰台の中央に立った亀山は、「十数年ぶり、もう覚えていませんが、久 しぶりに表彰台の真ん中に立てました。やっぱりここからの眺めはいいですね。谷田川さんはいつもこんないい景色を見ているんですね(笑)。結果的に優 勝できましたが、1本目トップで、2本目に絶対やられるな、と思っていたのですが、 今日は2本目もうまく走ることができました。(アメをくれたのだという) 谷田川さんも優しいところがあるんだな、と分かりました」と笑いも誘いながらうれしさを表した。
2013年の全日本ダートトライアル選手権も後半戦に突入。第5戦は舞台を東北に移しての開催となる「2013年 東北ダートトライアル IN KIRIYANAI」は、7月28日、青森県三戸郡五戸町のサーキットパーク切谷内で開催。超硬質路面という独特なコースでのダンロップ勢の活躍にぜひご期待ください。