DUNLOP MOTORSPORT
ドライバー
第4戦 6月24日(日) ダートスプリント in 門前
ワダチが掘れた荒れた路面でも
ダンロップ勢が全クラス制覇を達成!


荒れた2本目の路面も、積極的な走りで克服した佐藤卓也が逆転優勝。これまで不調だったセッティングも、前戦の北海道から合ってきた。真夏の中盤戦に向け注目の選手だ。

5月下旬に行われた第3戦から約1ヶ月。全日本ダートラ第4戦は、石川県輪島市にある門前町モータスポーツ公園に戦いの場を移して開催された。選手からの人気が高く、146台ものエントリーを集めた。会場には地元名産品のケータリングが並び、これを楽しみにする関係者も多い。真夏を思わせる強い日差しにドライ路面での絶好のダートラ日和となった。コースはスタートしてすぐに右に折れ、ギャラリーコーナを駆け上る。そこからはブラインドコーナーが続く林道セクションを抜け、再びスタート地点付近に戻る。そこからは左半分を使ったコースを走り切ってゴールするワンウェイの設定。では早速イベントの模様をお届けしよう。17台がエントリーしてきたPNクラス。6台のスイフトに4台のデミオにフィット、コルト、ヴィッツまで。バリエーション豊かな現行車種でのダートラは、全国各地で開催される全日本選手権でも多くの台数を集めるようになってきた。これからダートラを始めようと思っている人にとっても参考になることが多いだろう。競技の方は1本目1分44秒662を叩き出してトップに立ったのは川島秀樹。昼の慣熟歩行後に始まった2本目に入ると各選手がタイムアップ!8台が1分42秒台にひしめくコンマ差の接戦となった。ここで飛び出したのが佐藤秀昭で1分42秒314のトップタイムはシードゼッケン勢がスタートするまで破られない。残り3台となったところで、佐藤卓也が1分41秒972で更新!トップタイムを41秒台に叩きこむ。1本目トップの川島も追いつくことができず佐藤の逆転優勝が決まった。「2本目はコース後半部分にワダチが掘れました。自分の走りはアクションが大きい方なので、それが合いましたね。ことしはセッティングが合ってなかったんだけど北海道で方向性が見えました。でも門前初優勝です。とにかくウレシイ!」
と佐藤。7位につけていたポイントも20を加え、シリーズでも5位にジャンプアップ。第2、第3戦と連勝を飾った今村宏臣は今回3位で67ポイントに伸ばしシリーズリーダーを走る。

大半のエントリー車両がインテグラのN1クラス。その中で抜きん出るため新たな走りにトライする内藤聡。その結果が2本ともトップタイムの優勝につながった。

序盤戦連勝する選手が出なかったN1クラス。シリーズポイントも上位が優勝した3選手で締められている。シリーズリーダーは開幕戦優勝に2位2回と安定した成績の児島泰。続く2位は前戦のスナガワで全日本初優勝を飾った坂井義浩。3位には第2戦の覇者内藤聡がつけている。決勝1本目、そこまで1分42秒台で推移していたトップタイム。シードゼッケンに入ると、ここ門前をホームコースとする内藤が破る。タイムは何と1分39秒819!
2秒以上の差をつけてトップに立った内藤。これには児島も追いつけない。2本目に入ると路面状況はさらに好転し、内藤のタイムが更新されるトップタイムは38秒台に。だが、ここでも内藤は異次元の走りを見せる。内藤の叩きだしたタイムは1分37秒756!児島も1分38秒040と肉薄するが届かない。内藤がN2クラスで2勝目一番乗りを果たした。「1本目SC1クラスの工藤さんの走りを見て2本目も74Rだろうと思いました。ことしはとにかくアクセルを踏み切る走りにトライしてます。今回はワダチをうまく使えましたね」と語る内藤。これでシリーズポイントは2位に浮上。トップを行く児島を10ポイント差で追いかける。

「うまく走れなかった」というコメントとは裏腹に前戦のスナガワに続く連勝でシリーズポイントを稼いだ西田裕一。1本目74Rから87Rにチェンジした効果もあったか?

こちらもN1クラスと同じく優勝を分け合っているN2クラス。44ポイントの伊藤益弘に39ポイントの青木辰之が続き、35ポイントの西田裕一が3位につけるという展開に。今回の門前ではホコリ防止のため1本目に2回、2本目に1回の散水が入った。そのため当初考えられていたより、2本目に荒れた路面が出現していた。1本目トップに立ったのは北海道から参加してきた山岡功明。山岡は1分39秒866でトップに立ったものの2本目に入ってスピン。「2本タイムをそろえるのが難しい」と嘆く。シード勢の走行に入ると西田が1分38秒188と山岡のタイムを更新してトップに立ち、ラストゼッケンの伊藤を迎える。「大きなミスをした訳ではなかったんだけど、慎重に行き過ぎた?」と語る伊藤。タイムは?
1分38秒915。わずかに西田に追いつかない……。前戦のスナガワに続き西田の連勝が決まった。「ちょっとアンダーがきつくて2本目うまく走れた訳ではないんだけど、周りの人がミスしちゃったのかな?」と西田。今回の優勝で西田のポイントは55となり、トップを行く伊藤を4ポイント差で追いかける展開となった。

2本目荒れた路面にシリーズリーダーの佐藤隆行が転倒。速さを見せたのはベテラン赤羽政幸だった。「門前初優勝なんだよね。去年の8年ぶりの優勝より嬉しい」と笑顔の優勝。

20台とSA2クラスと並んで今回の最多エントリーを集めたN3クラス。ここまで2勝を挙げて、シリーズリーダーの佐藤隆行。1本目1分34秒227を叩きだしてトップに立った赤羽政幸に次ぐ2位と好調さを見せていた。だが2本目に入ると前半部分がウエット、後半部分がドライタイヤに合うという路面に翻弄され転倒。荒れた展開に速さを見せたのはベテラン赤羽だった。そこまでトップに立っていた角皆昭久エボXを1分32秒761で逆転。ラストゼッケン北島広実に1分32秒828と僅差まで迫られたが逃げ切って優勝を飾る。「スタートから中間までは2番時計だったんだけど、後半に入るとワダチとギャップが出てきた。そこに引っ掛けてライン上にいることを心がけたよ。イン側が浮いたりしたけど、ベテランに有利な路面だったかな。門前で勝ったの初めてなんだよね。去年の8年ぶりの優勝より嬉しいかも」と笑顔の赤羽。一方2位の北島は「慎重に行き過ぎた」と悔しそうな顔を見せた。これでシリーズは52ポイントの佐藤をトップに51と1ポイント差で北島、次いで45ポイントで赤羽。詰まってきたポイント差に中盤戦が面白くなってきた。

飯島千尋がダートラ歴26年目にして全日本初優勝! 2本目積極的にワダチにタイヤを入れて走る走行はこれまでの経験がなせるワザ。涙、涙で歓喜の初優勝を飾った。

1分40秒547でトップに立った山崎利博を筆頭にシード勢が上位を独占した1本目のSA1クラス。だが2本目に入ると荒れた路面が大きく勝負の行方を左右する。転倒やコースアウトで中断を挟みながらも、前半ゼッケンの飯島千尋が1分37秒910を叩きだして山崎を逆転しトップに立つ。だが飯島のタイムはなかなか破られない。シード勢の走行に入ったものの1分38秒台と思った以上にタイムが伸びない。ここまでのオーダーは1位飯島、2位に1分38秒169で大栗一也、3位に佐藤孝。そんな状況のなか、ラストゼッケンの山崎がスタート。「路面が荒れているのは、分かっていたので早め早めにクルマを動かしたかったんですが……。操作が後手後手になってしまった」と山崎。ゴールするとタイムは1分38秒598と3位。仲間と抱き合って喜ぶ歓喜の飯島。「ダートラ始めて26年で全日本初めての優勝です!今まで色んなクルマに乗って来ましたけど、SA1クラスが自分の性格に合ってると思います。2本目はワダチに入れるしかないと思って走りました。ありがとうございます!!」とあとは涙で言葉にならなかった。ダートラを始めて26年目にして全日本初優勝!大きな目標を達成した飯島。次に目指すは全日本チャンピオン?

2本目を見越して、あえて1本目からドライ用の87Rを選択した北村和浩。見事な作戦勝ちでライバルを寄せ付けず逆転優勝を飾る。「門前で勝ったの何年ぶりやろ?」と満足気。

立ち上る砂ボコリ防止のためSA2クラスのスタート前に行われた散水。多くの選手がウエット路面用の74Rをチョイスするなか、北村和浩はドライ用の87Rを選択。1本目を終えるとトップに立ったのは1分32秒842を叩きだした金枝宣孔。2位に荒井信介が入り、北村は3位につける。1本目終了時に行われた、この日3回目の散水。各選手は自分が走る頃にどうなっているのか?路面コンディションの変化を目を凝らして見つめる。2本目に入るとSA2クラスでは大半の選手がドライ用のタイヤをチョイス。だが金枝のタイムは更新されない。ラス前の荒井が1分31秒934を叩きだして逆転。そして最終ゼッケンの北村がスタート。「気合入っちゃったね~」という北村は各コーナーでアグレッシブな走りを見せる。そしてゴールするとタイムは1分31秒090。最後の大逆転劇に会場から拍手が起こる。
「今回は天気とか全てのことを考えて1本目からドライでいったんよ。だから1本目でトップ取れなかったけど全く迷いはなかった。スナガワの時とは全く逆のこと言っとるけど、1本目は2本目のためにあると作戦を立てたよね。ダートラとは本来そういうモノやからね」と北村。2本目に性格の異なるタイヤを履き、探りを入れたドライビングでタイムが伸びないことを嫌う。一見すると博打に見えるタイヤチョイスも北村の緻密な作戦のうちだった。「門前で勝てたのは何年ぶりやろ?思い出せないや」と満足気な笑顔を見せた。また今回、現役最古参の選手として多くの選手から親しまれ2010年に引退した櫛田正文が復活エントリー。「老人会にいってもワシのダジャレが通じんのよ。ストレスがたまってねぇ」と相変わらずの櫛田節を炸裂させつつも5位に入賞するなど相変わらずの速さを見せてくれた。

中盤戦に入って昨年のチャンピオン工藤清美が本格スタート!2位に約3.8秒という大差を着けての勝ちパターンを見せつけ、SC1クラスで今シーズン2勝目に一番乗りを果たした。

中盤戦に入って昨年のチャンピオンの工藤清美のエンジンがかかってきた。前戦の北海道では2位に終わったものの、1本目から2位に2.7秒という大差をつけてのトップ。路面が乾いた2本目になると自己タイムを2.2秒も更新して1分35秒509。最後は2位に3.8秒差をつける圧勝。今シーズン2勝目を挙げた。「勝つつもりで行った前戦のスナガワで負けて、スゴく反省しました。今回はバンパーが壊れてもいいと思って走りましたよ。2本目も74Rでいけるなと思いましたが、周りの選手がみんな87Rに変えていたので同じ条件で走ろうと思って87Rにしました」と工藤。全く動じない姿勢にシリーズランキングも3位からトップに踊り出た。これからの中盤戦で一気にチャンピオンへの道を走る。

今シーズン2回目の成立となったSC2クラス。2本目に自己タイムを更新してトップに立った福田貴一が、全日本ダートラ初参戦から15年目で初優勝を飾った。

5台の最小台数ながら、今シーズン2回目の成立となったSC2クラス。小気味良いエキゾーストノートが会場内に鳴り響いた。1本目、1分42秒781を叩きだしてトップに立ったのは酒井洋二のアルト。2本目に入って各車がタイムアップするなか、1分41秒211で酒井を逆転してトップに立ったのは中部の福田貴一。このタイムは逆転されることなく終了。福田は初めて全日本ダートラに参戦した1997年7月から数えて15年目で、全日本初優勝。帰り道でその実感をひしひしと感じているに違いない。

「得意の門前で連勝を狙っていた」という吉村修がトップの梶岡悟2本目に逆転で下して2連勝を飾る。シリーズチャンピオンに向けて中盤戦からの追い込みが始まる。

16台がエントリーしてきたSC3クラス。1本目1分32秒590を叩きだして久しぶりにトップに立ったのは梶岡悟。「マシンを軽量化してきて、足を変えて走ったらブッチぎれた」と梶岡。2本目に入って梶岡のタイムを破ったのが前戦の北海道で今シーズン初優勝を飾った吉村修。1分31秒007の吉村のタイムをターゲットにスタートする梶岡だったが……。最終ストレートに出てくるコーナーでドライブシャフトが破損してしまいコース上でストップ。「2本目もいけると思うとったんやけどな」と悔しさを隠せない。他のシ-ド勢も吉村のタイムを破ることが出来ず、逃げ切って連勝!「門前は得意のコースで連勝したいと思ってた。1本目はインにつけないしうまく走れなかったのにタイムを聞いたら2位。これなら2本目ちゃんとラインに乗せたら勝てるなと思いましたよ。今日はストレートが極端に少ないコース設定だったので、ワダチができてもコーナーの硬いところにタイヤを乗せて走ることを心がけました」と吉村。シリーズポイントを70に伸ばし、万全の体制で切谷内での第5戦にターゲットを合わせる。

炭山義昭が1本目のタイムで逃げ切って開幕4連勝を飾る。「モチベーションを上げてくれるタイヤだよね」と炭山。この優勝でダンロップは全日本ダートラ全クラス制覇を達成!

ここまでの全クラスでダンロップ勢が優勝を飾ってきた今回の1戦。最後となるDクラスでは今シーズン開幕戦から、ただひとり3連勝と連勝街道をひた走る炭山義昭がいる。炭山はここ門前でも好調さを維持。路面の砂利がはけた1本目から87Rをチョイスする。そこまでトップに立つライバルの谷田川敏幸の出した1分32秒673をものともせず、1分31秒981で逆転。ワダチが掘れた2本目の荒れた路面に、炭山のタイムを更新する選手は現れず逃げ切っての優勝で4連勝を飾る。そしてダンロップ勢による全クラス制覇が達成された。「ダンロップにタイヤを変えてからテストにも参加するし、自分でも努力してきた。それがモチベーションを上げてくれるよね。すべてうまくいってるよ」と満足気な炭山。全てのクラスで表彰台中央に黄色い帽子を被った選手が並ぶ。ダンロップのスタッフたちにとっても待ちに待った瞬間。モータースポーツ人口の減少が叫ばれて久しいが、その中でもダートラを愛する選手に向けて作られるダート用のタイヤ。選手がいるからこそタイヤを作り続ける意義がある。今回のように荒れた路面で達成された全日本ダートラ全クラス制覇。そこに価値がある。これからもダンロップタイヤで、ダートを楽しんで欲しい。次戦は青森県の切谷内で行われる全日本ダートラ第5戦。ぜひともそんな選手たちの活躍を見に会場に足を運んで下さい。