第4戦 7月10日(日) オートスポーツランドスナガワ
水飛沫の中で地元北海道勢が大活躍!
全8クラス中7クラスをダンロップ勢が独占


決勝前日の土曜日夜半に強く降り続いた雨。決勝の2本目こそ天気は快晴となったものの、各コーナーに残った水たまりが勝負の行方を大きく左右することになった。

全8戦の折り返しとなる4戦目を迎えた2011年の全日本ダートラ選手権。会場は先週の全日本ジムカーナに引き続き、北海道のオートスポーツランドスナガワ。スナガワといえば、スピードメーターを振り切るかのような豪快なストレートが大きな特徴。だは今回は土曜日の夜半に強い雨が降り練習走行の路面はウエット。決勝スタート頃には太陽が顔をのぞかせ、2本目に入ると強烈な太陽光線が差してきた。だがスナガワの各コーナーには水たまりが残ってしまう。ラインを重視して横切るか?それともエンジンへの吸込みを嫌って避けるか? 水の深さは?そんな水たまりの走り方が勝敗の行方を大きく左右する。予想外の展開に大きな波乱が待っていた……。では早速イベントの内容を見て行こう。

PN1クラスに参戦して3回目の全日本優勝を飾った佐藤卓也。9秒以上のタイムアップを見せた2本目の走りには、他のシードゼッケン勢も追いつくことは出来なかった。

スイフト、デミオ、フィットなどバリエーションに富んだ参戦車種で人気のPN1クラス。改造範囲が厳しく制限され、最低限の装備だけで争われるこのクラス。さらにファーストクラスのため、大半の会場で砂ボコリ防止の散水直後にスターとすることになる。それだけにドライバーの個性や走り方の差が顕著に出てくる。このPN1クラスに参戦2年目、東北の佐藤卓也が今回のスナガワで素晴らしい走りを見せる。1本目2分4秒817でシリーズポイントトップの鳥居晴彦に次ぐ、2位につけた佐藤。日差しが強くなった2本目に入ると9秒以上のタイムアップを見せ1分5秒100を叩き出す。これには1本目トップの鳥居、2010チャンピオンの川島秀樹も追いつけず佐藤の今シーズン初優勝が決まった。

2本目に入って強烈な走りを見せつけた児島泰。SA1、SC1とクラスを変更してきた2年間だったが、やはりここ一番の速さは健在だった。黒木の連勝を止める活躍を見せた。

前戦の門前モータースポーツパークで開幕3連勝を飾った黒木陽介。もちろんその黒木がN1クラスシリーズリーダーを走っている。注目は誰が黒木を止めるか?好調の黒木は1本目2位に1.5秒差をつけるタイムでトップに立つ。だが2本目に入るとライバルたちもタイムアップし、トップタイムが更新される。2シーズンぶりにN1クラスに復帰した児島泰。さすが全日本チャンピオンを獲得したことのある実力者、トップタイムを一気に1分49秒500に引き上げる。これにはシード勢も追いつけない。森田英文が1分50秒472を叩き出すも追いつけない。黒木も1分50秒926で3位につけるのがやっと。児島の今季初優勝で黒木の連勝が3で止まった。

スナガワでの豊富な走行量と効率的な水たまりでの走り方で、全日本選手たちを食った和田誠。地元北海道ではベテラン選手と呼ばれているが、全日本初優勝に笑顔がこぼれた。

8台の参加があったN2クラス。震災からの復帰後連勝を飾った佐藤秀昭、関西からエントリーのブーボー勢。それに対し地元北海道、原宴司が率いるプロジェクトガレージ勢の対決に注目が集まった。そんな中、快走を見せたのは和田誠。N2クラスただ一台のストーリアユーザーながら1分50秒860を叩き出し1本目を逃げきる。タイムアップの期待がかかった2本目、ファーストゼッケンの和田は自己タイムを更新し1分48秒162を叩き出す。これに伊藤益弘が食い下がるが、1分50秒844がやっと。全日本初優勝飾った和田だが、北海道ではベテランといわれる選手。激しい闘いを展開する北海道地区戦SA1クラスで今シーズンもチャンピオンを争っている。またこちらはブーンで参戦中だが、ラリーとの2足のわらじを履きラリー北海道にも参戦予定とのこと。今回は地元北海道の選手たちが各クラスで活躍、上位に食い込んだ。水たまりも含め、地の利を活かした走り方が全日本有力選手たちをブッちぎったリザルトだった。

1本目の自己タイムを更新し逆転した北島広実。3戦連続2位から今季初優勝を飾り、20ポイントを加えてシリーズリーダーの座を奪い取る。後半戦に向けチャンピオンの実力を発揮!

シリーズリーダー吉村修の開幕3連勝で主力車種がエボXに移ったイメージのN3クラス。だが、今回は吉村の走りに精細がなく9位とわずかに2ポイントの獲得。今回のスナガワで元気な走りを見せたのは、昨年のチャンピオン北島広実だった。ここまで3戦連続の2位で吉村を追いかけていた北島だが、スナガワでエボIXのポテンシャルを引きずりだした!スタート直後の長~いストレートを一気に加速。遥か彼方の先にある1コーナーをキレイなコーナリングフォームで走り抜ける。1分目1分43秒864でトップに立つと、2本目に入っても路面はザクザク。さらにコーナー各所にできた水たまりが、選手たちに2本目もウエットタイヤのDIREZZA74Rでの走行を強いることとなる。だがそんな中でも2本目に入ると地元北海道のシード選手北条倫史は、1分39秒844を叩き出した北島を逆転。最終ゼッケンの北島はこれに動ずること無くゴール、タイムは1分38秒042。自らの自己タイムを5秒以上更新する走りを見せ最後の最後に逆転。今季初優勝の北島は、表彰式でも笑顔がこぼれる。この勝利で北島のポイントは65。それまでトップを走っていた吉村をかわして、シリーズリーダーの座をゲットした。

2位のタイムから、2本目に1分48秒873を叩き出し見事優勝を飾った和泉泰至。全日本公開練習3年連続トップ『練習番長』のありがたくないニックネームを自らの走りで払拭した。

元祖丸和スペシャリストから充実したチーム体制に変わり、活躍を見せるケン・ミレニアムチームの市村弘義。今回調さを維持して1本目に1分53秒616を叩き出しトップに立つ。だが2本目に入ると前半セクションで大きくタイムロス、下位に沈んでしまう。ここで速さを見せたのは1本目2位に着けていた和泉泰至。全日本で3回の優勝経験のある和泉だったが、最近では『練習番長』というありがたくないニックネームをつけられていた。というのも全日本ダートラの公開練習ではここ3年連続でトップを取りながら、決勝では勝てなかったからだ。だが本人もこのニックネーム返上に燃えていた?特に2本目後半セクションでライバルたちを圧倒する走りを見せ、SA1クラスただひとりの1分48秒台を叩き出し全日本で久々の優勝を飾った。

2本目に1分36秒323というオーバーオールでも2位に入るスーパーラップを叩き出した松波克知。3回目の全日本優勝を地元北海道のオートスポーツランドスナガワで飾った。

門前で行われた第3戦、山野光司の優勝で一気にポイント差が詰まったSA2クラスのシリーズ争い。1本目トップに立った北村和浩だったが、2本目に入ると不調で7位に。逆にこの2クラスでも好調さを見せたのは地元北海道勢だった。中でもシード選手、松波克知が快走を見せ叩き出したタイムは1分36秒323!2位に何と3秒以上の差をつけたこのタイムは、オーバーオールでも2番手に食い込むスーパーラップに追いすがることのできるライバルはいなかった。これで松波はスナガワで開催された全日本ダートラで3回目の優勝。シリーズポイントも一気に20ポイントが加わり、後半戦に向けて明るい材料がそろった。

ここオートスポーツランドスナガワでも元気な走りを見せた工藤清美。1、2本目ともにトップで圧倒的な優勝。第3戦の門前からの連勝でシリーズポイントでもトップに立った。

甲高いエキゾーストノートが響く改造車クラスのトップを切ってスタートしたSC1クラスには、6台がエントリー。2本目に入ると路面も乾いた部分が出てきて、砂ボコリも上がり始めた。だがコース上には大きな水たまり何箇所もあり、ドライタイヤを選択するまでには至らなかった。このクラスで元気な走りを見せてくれたのは、東北の工藤清美。1本目、2本目ともにトップを譲らずに優勝。特に2本目には1分46秒301と2位に4秒以上の差をつけるスーパータイム。第3戦門前から連勝を飾った。シリーズポイントでも40ポイントでトップに立った。

練習走行から好調さを見せていた丹羽政彦が2本目に逆転で今季初優勝。シリーズでもトップと27ポイントあった差を一気に12ポイントまで詰める会心の優勝となった。

8台のエントリーがあったSC3クラス。1本目1分42秒633を叩き出しトップに立ったのは関西の杉尾泰之。2位にはここまで3連勝中の谷田川敏幸。2本目に入ると練習走行から好調の丹羽政彦が1分37秒156を叩き出しトップに。2位には10秒以上のタイムアップで平塚忠博が37秒442で続き、3位には37秒979で杉尾が入る。1本目2位の最終走者谷田川だったが、コース上のギャップでオイルクーラーをヒット。エンジンブローでリタイヤしてしまった。優勝は丹羽。第3戦まで27あったポイント差を、今回の優勝で一気に12ポイントまで詰めた。シリーズ折り返しから後半戦にかけて、SC3クラスのチャンピオン争いも激しさを増し始めてきた。


2011シーズンも折り返しを迎え、各クラスとも激しいチャンピオン争いが繰り広がられている。今回のイベントでは地元北海道勢とシリーズ2~3番手につける選手たちの活躍が目立った。それにもかかわらず成立した全8クラス中7クラスでダンロップユーザーが優勝を飾った。これはダートラに参加する選手たちからの高い信頼の証明だといえるだろう。東北の切谷内で行われる全日本ダートラ第5戦。ダンロップ勢の活躍は、東北地方の選手たちにも大きな力を与えてくれることだろう。