好調ダンロップ勢5クラスで優勝!初夏の北海道を制す!
全日本ダートトライアル選手権も中盤となる第4戦。舞台は津軽海峡を渡り、初夏の北海道、砂川へと移った。
道央に位置する砂川市。会場となるオートスポーツランドスナガワは、市の西部を流れる石狩川河畔と遊水地に囲まれた広大な河川敷にある。2本の長いストレートが特徴の高速コースだ。全長約4500メートルのこのコースはコース幅も広く、ドライバー達の緻密なコース取りと果敢なアタックを堪能する事が出来る。当日は快晴に恵まれ、午後からは汗ばむ程の陽気。コースコンディションも良好で、ドライバーにとっても、観客にとっても、これ以上無い環境の中での開催となった。
好調を維持する原選手
N2クラスでは第3戦で優勝を勝ち取った原 宴司選手(ブーン)の勢いが止まらない。地元北海道での一戦、第1ヒートこそ1分29秒910のタイムで2位に甘んじたものの、タイヤをより硬質な路面に適したSP SPORT 85-Rへとスイッチすると、猛然とチャージを開始する。第2ヒートではタイムを一気に3秒削り、クラス唯一の1分26秒台となる1分26秒998をマーク、本人もまさかと驚く大逆転勝利で2連勝を飾る。このクラス現在首位を走る佐藤 秀昭選手(ブーン)も安定した走りで好タイムを2本揃え、3位表彰台を獲得。依然トップを快走している。
果敢にコースを攻める吉村選手
続くN3クラスでも、ダンロップ勢の活躍が光る。路面を確実に捉え、マシンパワーを余すところ無く伝えるDIREZZA 86Rのポテンシャルは、北の大地でもその威力を発揮した。
主役となったのは吉村 修選手(ランサー)と、山野 光司選手(ランサー)他のドライバーが散水された路面を意識して、第1ヒートではウエット用タイヤを選択する中、二人のドライバーは第1ヒートからDIREZZA 86Rをチョイスし、タイム勝負に打って出た。山野 光司選手は1分24秒087で2位、そして吉村 修選手は1分22秒703でトップに立つ。
第2ヒートになって路面状態が変化すると、各車ドライタイヤへと変更するが、両ドライバーには同じのタイヤで一度コースを走りこんだアドバンテージがあった。この経験値の違いがそのままタイムに表れ、吉村 修はタイムを1秒6縮める1分21秒110でトップを堅守する。山野 光司選手も第1ヒートから1秒5タイムを短縮する素晴らしい走りで2位。ダンロップ勢の1-2フィニッシュで勢いはさらに加速していく。吉村選手は今期2勝目でランキングトップを堅持した。また、2位山野選手の走りが、スマッシュ勢のドライブにいい流れを生む事となった。
チームで勝利を勝ち取った北島選手
その影響を受けたドライバーの一人が、SA2クラスで登場した北島 広美選手(ランサー)第1ヒートはトップ3台が1分23秒台でしのぎを削る混戦模様。北島選手も奮闘するが、3番手。しかし山野選手等から得たコースの詳細な情報と、硬い路面で最も威力を発揮するSP SPORT 91-Rの性能が大逆転を呼ぶ。
第2ヒートでは順位争いがさらに白熱、各車好タイムを叩き出し、目まぐるしく順位が変化していった。しかし北島選手は動じず、自らの走りに集中、驚異的な追い上げを見せる。そのタイムは1分21秒543。2位を僅か0.331秒上回り、見事今期3勝目をマークした。チーム一丸の勝利で、こちらもクラスランキングトップ。全4戦中3戦で優勝と、圧倒的な成績を残している。また櫛田 正文選手(ランサー)も第2ヒートではSP SPORT 91-Rを装着、第1ヒートからタイムを一気に2秒半縮める1分22秒479の好タイムで3位入賞を果たしている。
混戦を制した岩田選手
SC2クラスでは、第3戦で2位に終わった岩田 真理選手(ストーリア)が快走する。
表層のやわらかい泥が剥ぎ取られ、序盤から果敢なアタックが可能となった同クラス。ダンロップ勢もドライで硬い路面を得意とするSP SPORT 85-Rを装着するが、第1ヒートではエントリー7台中6台が1分26秒台という大混戦。一つの判断ミス、ドライビングミスが明暗を分けるタイトなレース展開となった。
しかし、岩田選手はこのタフな状況を、臆する事無く切り抜ける。タイヤをタイムアップが期待できるDIREZZA 86Rに変更し、攻めに出た。第2ヒート、他のドライバー達も2秒以上タイムを上げてきたが、岩田選手はそれをさらに上回り、3秒以上のタイムアップとなる1分23秒013、脅威の追い込みでこのコースでは自身初となる優勝を勝ち取った。
僅差で優勝を勝ち取った梶岡選手
逆転劇が数多く見られた第4戦、ダンロップ勢5クラス目の覇者となった梶岡 悟選手(インプレッサ)も、やはり一気にタイムを上げ、栄冠を勝ち取っている。
第1ヒート、梶岡選手は1分22秒820のタイムで5番手と出遅れてしまう。トップに立ったのはここまでランキング3位の北村 和浩選手(インプレッサ)ここに来てマシンの成熟度が増し、ドライビングテクニックとのシンクロが始まった。タイムは第1ヒート唯一の1分21秒台となる1分21秒952。
第2ヒートでは、どの車両もより硬質な路面で威力を発揮するタイヤをチョイス、他のクラス同様好タイムを連発する。各車2秒以上タイムを削る中、北村選手も負けじとこの日初となる1分20秒117をマーク、トップを守る。
このまま勝負あったかに見えた終盤、梶岡選手の驚異的なドライブが観客を魅了する。タイムは北村選手を僅か0.024秒上回る1分20秒093。まさに紙一重となったこの戦いを制した。だが今回2位に終わった北村選手もここに来て一気にポテンシャルを上げてきているだけに、今後も激しい争いが続きそうだ。ファンとしても目が離せない。
優勝はならなかったものの、N1クラスでは河石 潤選手(インテグラ)が2位に入り、内藤 聡選手(インテグラ)も同じく1分28秒台の走りで3位表彰台を獲得した。SC1でも現在ランキング2位のすずき みがく選手(インテグラ)が2位に入り巻き返しを狙う。Dクラスでは三上 悟選手(ランサー)が第1ヒートでの痛恨のミスコースを挽回、3位に食い込んでいる。
北の大地での熱戦も、ダンロップ勢の好調は変わらず、選手のポテンシャルを引き出す事に成功した。次回は本州へと戻り、関西、京都コスモスパークでの戦いとなる。梅雨の時期だけに目まぐるしい判断が要求される可能性があるが、いかなるコンディションにあっても、ダンロップの優勢は変わらない。