第3戦 6月19日(日) 輪島市門前モータースポーツ公園
ドライの門前で行われた全日本第3戦
7クラスをダンロップ勢が制覇!


晴空の中、今回も地元輪島市の青年部などが特産品のブースを出展。関係者や観客たちも笑顔で舌づつみをうつ。門前の全日本ダートラでは恒例となった光景が繰り広げられていた。

全8戦で争われる全日本ダートラは、石川県輪島市にある門前モータースポーツ公園にその場所を移して開催された。選手から高い評価を受ける門前での全日本戦、その最大の特徴は地元密着型の開催。門前モータースポーツ公園は、輪島市のHPにも掲載され地域活性化の一因をになっている存在だ。会場内には地元の特産物を並べたケータリングや売店が並び、付近の住民もダートラ観戦を楽しむ。地方行政と一体化したダートラ場は他に比べるものが無い。そしてコースは林道風ブラインドコーナーにアップダウンをともなうクレストが組み合わされたもの。コース攻略の難しさも選手にとっては、門前を楽しむ大きな要因だ。141台が参加して争われた第3戦、晴天の中で行われた決勝の模様を早速お届けしよう。

開幕戦から3連勝と見事なスタートダッシュでシリーズリーダーに立つ黒木陽介。今回は1本目のトップタイムを更新されたものの、そこから逆転!速さだけでなく強さも身につけた。

朝夕の気温は下がったものの、競技車両が走りだす頃にはTシャツ1枚で充分過ごすことができた第3戦門前の天候。気温は昼過ぎからもどんどんと上がり、路面は砂利が掃かれ硬質部分が現れるタイムアップに適した路面へ。散水も走行開始前の2回のみと、競技への影響も最小限で済んだ。22台と多くのエントリーを集めたN1クラスは、開幕から連勝を飾った黒木陽介がシリーズリーダーで第3戦を迎えた。決勝の1本目は黒木が1分35秒795のタイムをでトップに立つ。2位に入った昨年のチャンピオン内藤聡を1.4秒近く引き離すスーパーラップは好調さの現れか?2本目に入るとライバルたちも続々とタイムアップを果たす。地元の石崎雄一が1分35秒469とトップタイムを更新し、黒木の走行を待つ。だがここでも黒木は速さを見せ、1分35秒399と自己タイムを更新して再度逆転。最終ゼッケンの内藤もこれには追いつけず、黒木の3連勝を許すこととなった。開幕から3連勝で60ポイントを獲得。チャンピオン獲得に向けスタートダッシュを決めた黒木は、シリーズリーダーで中盤戦を迎える。

見事な逆転優勝を飾った佐藤秀昭。西田裕一と同ポイントながら、シリーズリーダーに立った。震災からの復興活動が続く中で何とかエントリーにたどりつけた。

開幕戦で優勝を飾った伊藤益弘が第2戦でも3位に入り、シリーズ序盤戦を有利に進めているN2クラス。シリーズポイント的には32ポイントでトップに立っていた伊藤、続く2位には2位、4位と上位をキープして25ポイントを獲得した西田裕一がつける。だが前戦丸和からエントリーを再開し優勝を飾った佐藤秀昭の復帰で、シリーズ争いの流れが大きく変わろうとしている。1本目西田に次ぐ2位につけた佐藤。2本目に入ると西田は1分34秒062と自己タイムをさらに更新する。だが、ここ門前でもディフェンディングチャンピオン佐藤は自らを鼓舞する。震災から3ヶ月未だ先の見えない復興活動が続くなか、なんとかやりくりをしてのエントリー。貴重な走行をムダにすること無くゴールするとタイムは1分32秒672!逆転優勝を飾った佐藤は今回の優勝で20ポイントを加え40ポイント。西田と同ポイントながら、2回の優勝でシリーズリーダーに立った。

逆転優勝で開幕3連勝を飾った吉村修。エボXのメリットを十分に引き出し、N3クラスただひとり28秒台のタイムを叩き出した。堂々のシリーズリーダーで中盤戦を迎える。

こちらも22台のエントリーを集めて行われたN3クラス。今シーズン、開幕からここまで連勝でスタートダッシュを決めたのは吉村修。チャンピオン獲得に向け3連勝を決めたい所だ。対するライバルは2戦連続で2位、エボIXを駆る北島広美。決勝1本目は1分30秒020を叩き出した北島が、ディフェンディングチャンピオンの意地を見せる。対する吉村はコンマ14秒差で2位につける。表面の砂が掃かれ、固く締まったダートの硬い部分が顔をのぞかせた2本目。クラス前半から自己タイムを更新する選手が続出。だが北島のタイムは破られない。シードゼッケン勢にトップタイム更新の期待が集まる。赤羽政幸が3秒以上のタイムアップで30秒台に叩き込むがわずかに届かない。最終ゼッケンの北島を残し吉村がスタート。レコードラインにできた硬質路面を外さずリズミカルな走りを見せる。各コーナーでタイムを稼いだ吉村は、自己のタイムを1.5秒近く短縮し1分28秒797のスーパーラップを叩き出す。北島も必死に喰らいつくが1分29秒095と届かない。ただひとり28秒台を叩き出した吉村が、逆転で開幕3連勝を飾った。「前半戦は、シリーズチャンピオンに向けて有利に展開することができました、次の北海道でも頑張ります」いち早くエボXをダートラに投入した吉村のマシンは、熟成も進み大きなアドバンテージを
築いた。チャンピオン獲得に向け、次戦北海道のオートランドスナガワが楽しみだ。

繰り上がりの優勝で神妙な顔つきだった山崎利博。だが今回の優勝で獲得ポイントは39。ポイントトップで迎える中盤戦は、連続チャンピオン獲得に向け重要な意味を持つだろう。

昨年のドライバーオーディションが大きな話題となったケン・ミレニアムレーシングチーム。今回はオーディションに合格した高崎保浩選手も、インテグラで全日本デビューを果たした。今シーズン第2戦の丸和では、市村弘義がシビックで優勝を飾るなど早くも実績を重ね全日本ダートラで大きな注目を集めている。市村はココ門前でも絶好調でトップタイムを叩き出し連勝だったが……。新たに投入した車両の車台番号が申請書に記載されていないことが再車検で発覚し、失格という結果に終わってしまった。これで繰り上がりの優勝となったのは昨年のチャンピオン山崎利博。門前では2005、2009年で勝って以来3回目の優勝。今回の優勝で市村からシリーズリーダーの座を奪い取りトップに立った。仕切り直しで戦う北海道での第4戦。シリーズの行方を占うには重要なイベントとなることは間違いなさそうだ。

今シーズン2戦連続で3位に甘んじていた山野光司だったが、ここ門前ではその速さを発揮!2009年の京都で行われた第7戦以来の優勝に笑顔を見せた。

ブラインドコーナーが連続し、慣熟歩行での走りの組み立てが重要となる門前のコース。1本目、1分29秒809を叩き出しトップに立ったのは北村和浩。昼休みになると各選手は、2本目に向けて入念な慣熟歩行が行われる。硬質路面が顔を出し、各車順調にタイムアップを果たす中、シードゼッケン2台目に走行した山野光司が1分28秒447を叩き出しトップに立つ。山野のタイムは更新されずラストゼッケン北村を迎える。だが北村のタイムは思った以上に伸びず1分29秒428。山野は2009年コスモスパークで行われた第7戦以来の優勝を飾る。満面の笑顔を浮かべる山野。実は今シーズンは2戦連続3位に甘んじていた。その隣で、山野のマシンをメンテナンスするスマッシュの平塚忠博が「門前は思っていた以上にパワー勝負じゃなかったね」と一言。吸排気系の変更が認められるSA部門の車両だが、ブラインドコーナーの連続する門前はドライビングに対するマシンのバランスが要求されるコースだったようだ。

今回の震災で大きな被害を受けた青森県八戸市から参加の工藤清美が、圧倒的な速さを見せて優勝したSC1クラス。次戦北海道から中盤戦にかけ、ますますの混戦が予想される。

前戦丸和では不成立となってしまったSC1クラスだが、今回は10台の参加でクラス成立。そして今回から青森県八戸市の工藤清美がエントリーしてきた。これまで震災の影響でエントリーできなかった工藤だったが、今季初参戦の1本目からいきなり1分35秒171のトップタイムを叩き出す。2位に1.5秒以上の差で2本目、タイムアップの期待がかかる。1本目の工藤のタイムは更新されていたものの、甲高いエキゾーストを響かせてゴールするとタイムは1分32秒995。なんと今度は2位に2秒以上の大差で堂々の復活優勝を遂げた。表彰式で工藤は、「やっと参戦することが出来ました。北海道も参戦します」とコメントし、会場からは大きな拍手が起こった。まだまだ横一線のシリーズポイントを考え合わせても、工藤の参戦でSC1クラスはますます混戦となることが予想される。

得意とする門前で優勝を飾った宮入友秀。丸和から続く連勝にシリーズポイントでもトップに立ち、チャンピオン獲得に向け重要なイベントとなる中盤戦を迎えることになった。

九州での開幕戦は炭山義昭、第2戦の丸和で宮入友秀が優勝を飾り互いに32ポイントを獲得して迎えたDクラス。決勝の1本目は1分30秒102を叩き出した炭山がトップに立つ。対する宮入はマシンが不調で1分33秒699と5位に終わった。だが2本目スタート前までメカニックによる必死の作業で復活。2本目に入ると各選手とも自己タイムを更新する。シードゼッケンに入ると、2位につけていた中本吉彦が1分28秒567をたたき出し一気にトップに立つ。マシンの復調なった宮入は、中本のタイムをさらに更新!1分27秒612までトップタイムを更新する。これにはライバルも追いつけず、宮入はオーバーオールのトップタイムで今シーズン2勝目を挙げた。全日本初優勝を飾り、相性の良さから得意とする門前のコース。ポイントでもトップに立った宮入は、シリーズリーダーで次戦北海道を迎える。


7月10日に行われる次戦の北海道。オートスポーツランドスナガワのダートコースは豪快を絵に描いたようなコースレイアウトでも有名。長いストレートの加速も見所の一つだ。シリーズを占う上でも注目の1戦となることは間違いない。ダンロップ勢の活躍に期待しよう。