第3戦 6月20日(日) 輪島市門前モータースポーツ公園
雨の予報を吹き飛ばすほどの戦い!
この門前でダンロップユーザーが5クラスを制覇!


雨による泥まみれの戦いの予想が一転、砂煙が舞うドライコンディションの展開に。

 日本全国が本格的に梅雨入り迎えた6月20日、全日本ダートトライアル第3戦が石川県は輪島市門前モータースポーツ公園にて開催された。門前モータースポーツ公園での開催は今年で13回目を迎え、昨年は最終戦として開催された門前だが今年はスケジュールに若干の変更が入り、今年は開催時期が大幅に代わり第3戦として6月20日に開催を迎えた。この輪島市門前モータースポーツ公園の特徴は日本海に程近い山間部を切り開いて造成した事でコースはアップダウンに富んだ設計となっている。決勝当日の天候は開催前より午後から雨が降る予報となっており、この雨がどの様に影響を及ぼすかが心配である。
 迎えた決勝当日、心配だった雨は夕方の表彰式まではどうやら持ちそうな状態。しかし夏本来の暑さが会場には漂い。この暑さとの戦いも強いられ厳しい状態は変わらない。

3戦中、優勝2回、3位1回と表彰台をキープし続ける川島秀樹(スイフト)。

 Nクラスよりも改造範囲が狭く全日本ダートトライアル選手権を戦う車両の中では一番市販車に近いこのクラス。その仕様は排気量1,600cc以下、駆動方式は2輪駆動に制限され競われる。そんなPNクラスで現在、ポイントリーダーに立つダンロップユーザーの川島秀樹(スイフト)がこの門前でも大活躍を見せた。曇り空の下、朝の散水の為、セミウエットの路面でスタートした1本目。クラス最終走者の川島はまだまだ安定しない路面状況ながら1分30秒407のタイムで1本目を走り切り、2位に付けた同じダンロップユーザーの長田聖人(スイフト)に0秒533の差で競り勝ち1本目からトップに立つ。続く午後の2本目でも雨の心配は無い中での戦いとなった。最終走者の川島の1つ前を走行する長田がそれまでのトップタイムを更新し1分29秒101のタイムでクラストップに立つが、このタイムを川島はきっちり1秒縮める1分28秒101でトップタイム更新に成功。見事、今シーズン2勝目をマークし、2位以下にポイント差を広げる事となった。

第2戦に続いての連勝を達成。タイトル獲得へ大きく前進を果たした佐藤秀昭(ストーリア)。

 毎回、ダンロップユーザーが表彰台の真ん中を指定席としているN2クラス。この門前でもダンロップユーザーが優勝を獲得。午前中に行なわれた1本目、シード勢の走行順になり、現在シリーズランキング4位に付けるダンロップユーザーの西田裕一(ブーン)が、これまで25秒台だったトップタイムを一気に23秒台にまで入れる1分23秒977でトップに立つ。これに伊藤益弘(ブーン)、佐藤秀昭(ストーリア)の現在シリーズランキング、トップワン・ツーのダンロップユーザー二人が挑むが僅かに届かず西田が1本目トップで折り返す。お昼のインターバルを挟み2本目がスタート。各ドライバーがタイムアップを果たした事で実質2本目が勝負所となった。ここでノーシードの小川静夫(アルト)のマークしたトップタイム1分23秒602のまま、残す走者は西田と佐藤の二人。先に走行する西田は自身の1本目のタイムを1秒299、小川のマークしたトップタイムに対しては0秒924上回りトップを奪い返す。そして最後は佐藤。注目を集めた佐藤のゴール後、タイムが場内放送で流れ、そのタイムは1分21秒136。西田のタイムを1秒以上も上回るタイムで堂々の優勝を手にする事となった。これで佐藤は第2戦の丸和に続いての連勝を達成。佐藤、西田によるダンロップ、ワン・ツーフィニッシュを決めた。

今シーズン初優勝を飾った吉村修(ランサー)。着実にタイトル奪還を狙う。

 今大会、18台がエントリーし、SA2クラスの21台に次いで2番目に多いエントリーとなったN3クラス。現在ポイントランキング6位とやや不調と思われていた吉村修(ランサー)がここ門前で遂に復活を果たす。このクラス全18台中、シード勢が3台と他のクラスに比べて一番シード勢が少なく、その事もあって1本目からトップ争いはノーシードも入り乱れた戦いとなった。ノーシードでは星盛政(ランサー)が最初に19秒台に突入し1分19秒575のタイムでトップに立つと、ダンロップ勢の一角で現在、2戦連続2位の好成績でシリーズランキングトップを行く北島広実(ランサー)が星のタイムを0秒689差で交わし1分18秒886でトップに立つ。シード勢でもこの北島のタイムに届かず最終走者の吉村に出走順が廻る。吉村はセミウエットからほぼ乾き始めた路面ながらも各セクションをうまく攻略し1分18秒648で、見事トップタイム更新を成功させ1本目が終了。
 午後の2本目ではダンロップユーザーの今福和彦(インプレッサ)が吉村の1本目のタイムに及ばないものの1分18秒754のタイムで2番手に付けると、前戦の丸和で初優勝を果たした佐藤隆行(ランサー)が17秒台に突入する1分17秒644で一気にトップへと躍り出た。これに続いて走行した北島は佐藤のタイムに僅か0秒109差で届かず現時点で2位に付ける。最終走者の吉村は1本目のタイムで3位以内が確定している。しかし吉村はドライ路面となった午後のコースで絶妙なまでのマシンコントロールを披露。ミスが見受けられない走りでゴールを通過し、注目のそのタイムはなんと1分17秒082。遂に今シーズン初優勝を手にする事となった。そして2位には佐藤、3位に北島が表彰台を獲得。これに続いて4位は今福、5位に赤羽政幸(ランサー)、6位に影山浩一郎(ランサー)と表彰式の1位から6位までをダンロップユーザーが独占する大活躍を見せた。

6台のシビック同士による激しい戦いを制した大栗一也(シビック)。

 Nクラスと同じナンバー付きだが、Nクラスよりも改造範囲が広く2輪駆動に制限されたクラスがSA1クラス。1本目ではダンロップユーザーはセミウエットの路面に合わせDIREZZA 74Rをチョイスし1本目を迎える。その結果、ダンロップユーザーの山崎利博(シビック)が1分24秒924のタイムでトップに立ち、2位には清野タカシ(シビック)、3位に桜井貴章(インテグラ)、4位大栗一也(シビック)、5位柴田一洋(インテグラ)と1本目では1位から5位までをダンロップユーザーが獲得する好調なスタートを切る。

相性の良い門前で2年ぶりの優勝を手にする事となった大栗一也。

 しかし2本目では予想された天候の崩れは無く、路面は完全なドライとなるがダンロップユーザー達はDIREZZA 74RとDIREZZA 86RWのそれぞれに仕様が分かれた。また暑さとの戦いも強いられ、この影響もあってか順位も大きく変化を見せる。1本目では7番手だったノーシードの松下和樹(シビック)が1分23秒999と一気に24秒台を破る大幅なタイムアップに成功し2本目のトップに立つ。この松下の走りに続きシード勢最初の大栗が登場。その大栗も大幅なタイムアップを成功させ松下のタイムを僅か0秒019差で交わし逆転でトップに立つ。この大栗同様にダンロップユーザーのシード勢も好タイムをマークすると予想されたが、思うようにタイムが伸びず順位を下げてしまう結果となってしまう。SA1クラスの全エントリーが出走を終え優勝を手にしたのは1分23秒980のトップタイムをマークした大栗。前回の大栗が手にした優勝は2008年の第6戦のここ門前。またもや同じ門前で2年ぶりの優勝を味わう結果となった。

ランサー新旧入れ乱れての戦いが繰り広げられ、これを見事制した松田周一(ランサー)。

 この大会で最多エントリーの21台を集めたSA2クラス。その内、20台のミツビシランサーと残る1台がスバルインプレッサで、圧倒的にランサーでのエントリーが多くなっている。雨の心配がほぼ無くなったこのクラスの1本目では、路面コンディションはドライへ移行し走行車両が駆け抜けた後は激しく砂煙が舞う程の状況となっていた。そんな状況を意識して殆どの選手がルースから硬質ウエット路面をカバーするDIREZZA 74Rをチョイス。その中でも開幕戦のおおむたから連勝中のダンロップユーザーの北村和浩(ランサー)が好調にトップタイムをマーク。これに現在ポイントランキングでも北村を追い掛ける山野光司(ランサー)が2番手で続く。そして3位には昨年にこのクラスへとスイッチした松田周一(ランサー)。4位に田上正彦(ランサー)と5位にアキマただゆき(ランサー)が続き1位から5位までをダンロップユーザーが独占し1本目を終える。

SA2クラス初制覇に喜び、コメントを語る松田周一。

 午後の2本目では更に引き締まった路面に対してダンロップユーザーの大半はDIREZZA 86RWを選択。その2本目の走行順でシード勢の前を走るノーシードの松田が1分17秒390のトップタイムをマーク。そしてこれ以降の選手がこのタイムを破ろうと果敢にアタックを試みるがなかなか上回る事ができない。シード勢もこの松田のマークしたタイムに苦戦を強いられ、ついには連勝中で1本目にトップタイムをマークした北村や最終走者のチャンピオン荒井信介(ランサー)でさえもこのタイムに届かずこのクラスの走行が終了。見事に松田がSA2クラスへスイッチして初の優勝を飾る大金星を手にする事となった。


 日本全国が本格的に梅雨入りを果たしたこの次期にも関わらず、雨に降られる事も無く無事、競技が終了できたのがなによりである。そして開催クラスの半分以上となる5クラスでダンロップユーザーが優勝を果たしその活躍を見せてくれた。7月11日に行なわれる次戦はいよいよ夏の北海道ラウンド、北の大地でもダンロップユーザーが大活躍するに違いない。