第2戦 5月15日(日) 丸和オートランド那須
成立8クラス中7クラスを制覇
表彰台はダンロップ勢が独占状態!


選手たちとともに多くのファンも来場した第2戦。台数が足りず不成立だったものの、初めてAEクラス(ハイブリットカー)のダートラ車も走った丸和オートランド那須。

九州での開幕戦を皮切りにスタートした2011年の全の本ダートトライアル選手権。第2戦の会場となるのは、栃木県北部にある丸和オートランド那須だ。震災の影響で当初中止もしくは延期も危ぶまれていた。だが、主催者の努力によりイベント名も『がんばれ東北!がんばろう日本!トライアル』に変更され開催にこぎつけた。選手たちもそれに呼応するように132名の参加者がここ、丸和オートランド那須に集まった。今回も各クラスでダンロップ勢が大活躍!その模様をお伝えしよう。

2本とも圧倒的なトップタイムを刻み、チャンピオンの強さと速さの両方をライバルに見せつけた川島秀樹とスイフト。

ディフェンディングチャンピオンの川島秀樹を開幕戦で打ち負かしたPN1クラスの鳥居晴彦。だがホームグラウンドとなる丸和では、負けるわけにゆかない。気合の入った川島は1本目から2位佐藤卓也にコンマ5秒差をつけ、クラス唯一の57秒台にトップタイムを叩き込みそのまま逃げ切った。だが、チャンピオンの貫禄を見せたのは2本目の走行。1本目のタイムを3秒近く更新する1分54秒915を叩き出し、圧倒的な差を見せつける。毎戦スタート前に必ず散水が入るPN1クラス、路面の微妙な変化を読み取りドライビングに活かす。2年連続チャンピオンに向けて、ライバルたちへの強烈な1勝を挙げることができた。

開幕2連勝を飾った香川の黒木陽介。2本目に選択した最新ダートタイヤ87Rのチョイスが勝利を呼び込んだ。

1本目トラブルでタイムを残せなかった黒木陽介だが、2本目に見事な集中力を見せて優勝。多くのダンロップユーザーたちが、1本目74Rから87Rへと履き替える中でただひとり逆の87Rから74Rへタイヤをスイッチ。それが黒木のドライビングと路面にピタリとマッチした。N1クラスでただ一人1分48秒台にタイムを叩き込んで開幕2連勝を飾って、スタートダッシュに拍車をかけた。

被災地福島からの参加に大きな意味を持った佐藤秀昭の優勝。自分への挑戦とともに今シーズン残り全戦参加すると力強いコメント。

東日本大震災で被災し、開幕戦を欠場した佐藤秀昭が元気に第2戦からエントリー。1本目こそ西田裕一と伊藤益弘のブーボー軍団、スマッシュの中嶋ケンタローに置いてゆかれてしまう。だが2本目に入り気温も上がった昼過ぎ、路面は散水のウエットからドライへと変わりトップタイムが一気に3~4秒近く更新される。トップタイムは中嶋の1分47秒797。このタイムを聞いてチャンピオンゼッケンをまとう佐藤が強さを見せる。適確なスピードコントロールとコーナリングでスームーズに走りぬけ、ゴールするとタイムは1分47秒185。最後の最後に大逆転で今シーズン初優勝を飾った。表彰式では、「今回の震災で福島に住む自分も被災してしまい、出場を断念しようかとも思いました。だけど自分が出なかったら、周りの選手も諦めてしまうかもしれないと思い参加しました。今年は頑張って残り全戦出場します」との佐藤の決意に会場からは大きな拍手が沸き起こった。自粛することを良しとする圧力が強い中で、被災地の選手からも力強い言葉が聞かれる。他クラスの選手からも、切谷内で開催される第5戦の東北ラウンドに参加しようとエールが送られる。こんな時節柄だからこそ、同じダートラ仲間との絆を強く感じさせてくれる光景だ。ただ、N2クラスは佐藤の復活でますます戦いの激しさを増すことになったのは間違いない。でもそんな中で争ってこその全日本ダートラだと、ライバルたちは感じているに違いない。

高速コースで速さを増す吉村修のエボX。丸和での優勝で開幕2連勝! 今シーズンこそチャンピオン獲得を目指す。

N3クラスでは高速コースで強さを見せるエボX勢が上位を占める。中でも吉村修の速さは際立っていた。1本目はイン側の土手にヒットするも、そのまま走り切り1分42秒741でトップに立つ。エボIX勢では、昨年のチャンピオン北島広美が1本目排ガス検査に引っかかり不出走を余儀なくされる。対策を施して挑んだ2本目には1分42秒034を叩き出すも、吉村はその上を行く1分41秒269。開幕から連勝でポイントトップの座をがっちりと固め、門前モータースポーツ公園で行われる第3戦に挑む。

早くも全日本ダートラで優勝という結果を残したケン・ミレニアムチーム。市村弘義は自身2回目の全日本優勝を飾った。

昨年末に若手ドライバーオーディションを行い大きな注目を集めたケン・ミレニアムチーム。会社の福利厚生としてのモータースポーツ参戦に、ダートラ業界を盛り上げたいという大きな目的を持って挑んでいる。そのケン・ミレニアムチームのレギュラードライバーの一人であるSA1クラスの市村弘義が、今シーズン2戦目にして自身2度目の全日本優勝を飾った。とはいえ今回、市村は1本目に排ガス検査で不出走となるトラブル。2本目に集中力を発揮してSA1クラスただひとりの46秒台。ジェットコースターのような1日を経ての優勝に、一緒に戦う仲間たちも喜びを共有できたことだろう。パドックではダートラファンに向けての活動も活発に行われるとのこと。会場を訪れた時は、ケン・ミレニアムチームのテントを訪ねてみてはいかがだろうか!

北村VS松田のガチンコ勝負が展開されているSA2クラス。ふたりの激しい走りは全日本ダートラの華と言える見て楽しい勝負だ。

今回最多27台のエントリーを集めたSA2クラス。今回も開幕戦に続き北村和浩が速さを見せる。1本目1分43秒274をたたき出しトップに立った北村。2本目に入ると今回の丸和がエボXデビュー戦となる、ケン・ミレニアムチームの松田周一が1分43秒137で逆転。しかし北村は、多くの観客に北村走りをアピールしながらも1分42秒979をたたき出して再度逆転。開幕2連勝をかざった。だが、エボXデビューで北村を僅差まで追い込んだ松田のポテンシャルには目を見張るものがある。2011年シーズン、SA2クラスの戦いは北村vs松田を中心に展開するに違いない。両者ともに激しい走りを信条とするだけに、観ている方も楽しくなるに違いない。今後もSA2クラスの走りには注目だ。

拮抗するDクラス上位3人の争い。今回は宮入がベテラン勢を押さえての優勝。次戦門前では誰が抜きん出てくるか楽しみだ。

開幕戦こそ3位に終わった宮入友秀だったが、河内渉と炭山義昭を加えた上位3名はコンマ差でクルマ実力ともに拮抗しているDクラス。今回の丸和でも激戦が展開された。1本目シードゼッケンのトップを切って1分41秒台をたたき出したのは91Rを選択した中本吉彦。宮入は87Rを選択し中本をコンマ9秒近く上回る1分41秒020を叩き出す。続く河内はわずかに届かず1分41秒183。ラストゼッケン、チャンピオンの炭山は1分43秒と出遅れてしまう。2本目に入るとパンパンの硬い路面に根石も顔を出し、シードゼッケン後半勢も硬質タイヤに履き替える。宮入も91Rを選択してタイムアップを目指す。だが2本目にタイムアップしたのは炭山のみで、タイムは1分41秒784に終わる。宮入は1本目のタイムで逃げきり優勝。その激しい走りからクラッシュも多い宮入だが、今シーズンこそ河内、炭山のベテラン勢ふたりを押さえてのチャンピオン獲得を目指す。


SC1・2クラスの不成立があったものの、成立した8クラス中7クラスで優勝を飾ったダンロップユーザー。表彰台はまさに黄色いダンロップの帽子をかぶった選手たちで独占された。全日本ダートラは第3戦を石川県輪島市にある門前スポーツ公園を舞台に開催される。日時は6月19日と梅雨の時期に重なる可能性も高い。最新の87Rをはじめ多くのパターンで路面とのマッチを測り、好成績を治めるダンロップ勢の次戦での活躍にも期待しよう。