第2戦 4月22日(日) 三井オートスポーツランド
第2戦・悪天候をものともせずダンロップユーザーが7クラスで優勝!
N1クラス大塚選手
全8戦で争われる全日本ダートトライアル、福岡県大牟田市、有明海を臨む三井オートスポーツランドが第2戦の舞台となった。
三井オートスポーツランドは日本のダートコースの中では高速コースに分類される。例年、連続するテクニカルなコーナーの先に、2本の長いストレートが設けられ、これを繋ぐ高速コーナーを含めた終盤のセクションが、このコース最大の見せ場となっている。マシンパワーと高いグリップ性が要求される難コース。有明海から吹く潮風は堤防に遮られ、マシンの挙動には問題が無いものの、掲げられたフラッグを勢いよくはためかせ、集う人々に、ここが海に面したコースである事を印象付けさせる。今年はそうしたタフなコース設定に加え、荒天がドライバー達を悩ませた。
気象予報から決勝当日が雨天である事は、かなり前から予想されていた。その為前日の練習走行時には、降雨が無い中、あえてコースへの散水をやや多めに行い、悪天候対策としたようだ。水を含んだダートでは、当然のようにマシンコントロールが難しくなり、タイムが伸びない。いつ、どれ程の雨が降り出すのかが、レースの命運を左右する重要なファクターになっていた。
決勝、レースのすう勢を左右する運命の雨は、早朝からやって来た。序盤こそ小雨だったものの、雨足は時を経る程激しくなり、雨粒は容赦なくコースを叩いていく。ダンロップ勢は過酷な状況を想定し、泥ねい路での走行で持ち味が発揮されるSP SPORT 73-Rをチョイスした
時々刻々と路面状態が悪化していく中、まずN1クラスがスタート。昼以降も降雨が続くという予報から、各車1本目に全てを賭ける展開になった。その中で一歩抜け出したのはSP SPORT 73-Rを履いて臨んだ大塚晋祐選手(インテグラ)まだ路面状態が良好な2番手でのスタートを生かし、1分54秒073の好タイムでフィニッシュ。他のドライバーの結果を待つ。1分54秒台で3台がせめぎあう大混戦となったが、結局このトップタイムを誰も破れない。2本目が始まる頃にはコースは走破する事さえ困難なコンディションになっており、そのまま大塚選手が優勝した。
N2クラス佐藤選手
N2クラスはトップドライバー達のテクニックが光った。グリップした地面がえぐれ、そこが水溜りになるような状況では、SP SPORT 73-Rのような悪条件でもしっかりと地面を捉えるタイヤと、確かなドライビングテクニックが勝利への鍵となる。
N1クラス同様、1本目で全てが決まる緊迫したシチュエーションの中で、06シーズン総合4位の岡林亮太選手(ブーン)がまず1分51秒493をマーク。しかし次に登場した佐藤秀昭選手(ブーン)が、1分51秒283で悪路を駆け抜け、すぐさま抜きさる手に汗握る展開に。前走の二人に負けじと伊藤益弘選手(ブーン)も素晴らしい走りを見せ1分51秒792。このまま順位は変わらず、この三人のダンロップユーザーが、表彰台を独占する結果になった。
N3クラス吉村選手
N3クラスでもダンロップ勢の快走は続く。注目は前年度総合2位ながら、第1戦丸和で満足な結果が得られなかった吉村修選手(ランサー)。このレースは雪辱戦であり、またランサーエポリューションⅨMRのデビューを飾る大事な1戦でもある。他のダンロップユーザー同様SP SPORT 73-Rを装着、泥ねい地となった三井に挑んだ。
まず飛び出したのは、赤羽政幸選手(ランサー)この日初めて1分47秒を切る1分46秒952のタイムで、この時点でのトップに躍り出る。他のドライバーが47秒台で苦戦する中、吉村選手の前を走る田崎克典選手(ランサー)が第1戦優勝の勢いもそのままに、1分46秒426で代わってトップに。
しかしその後、様々な想いを込めた吉村選手のランサーがゴールを駆け抜ける。タイムはこのクラス唯一の1分45秒台となる1分45秒710。ニューマシンの門出を勝利で飾るとともに、ダンロップユーザー1、3フィニッシュを演出した。
SA1クラス大栗選手
混戦だったのはSA1クラス、活躍されると思われたドライバー達のタイムが伸びない。第1戦に勝利した木島龍一選手(インテグラ)もまさかの2分台。前年度N1からスイッチし、同じく第1戦で2位に入った柴田一洋選手も1分59秒台に止まる。雨天で刻々と状況が悪化していく中では、2本目での挽回は望めない。
この乱戦を制したのはやはりダンロップSP SPORT 73-Rを装着したの大栗一也選手(シビック)見事な走りで1分55秒567をたたき出す。それまでトップに立っていた鈴木良信選手(セリカ)を僅かコンマ186秒差でかわして、見事優勝を勝ち取った。川島秀樹選手(インテグラ)も悪条件の中を奮闘、5位入賞を果たしている。
SA2クラス北島選手
SA1とは対照的に順当な結果だったSA2クラス。昨年圧倒的な強さを誇った北村和浩選手がクラスを移行、第1戦はN3からクラスを変えての参戦となった荒井信介選手(ランサー)が勝利したが、このレースでは第1戦2位に終わった北島広美選手(ランサー)が、昨年度同クラス総合2位の意地を見せた。
他のクラス同様1本目勝負の流れの中、前を行く荒井選手が1分49秒422の好タイムを出すと、北島選手はその上を行く1分49秒005をたたき出し、第1戦のリベンジを果たす。北島選手は殆どのドライバーがタイムを大きく崩した2本目でも驚異的な1分49秒198をマークし、他を圧倒した。
またこのクラスでは櫛田正文選手(ランサー)も第1戦に引き続き手堅い走りで3位に入り、SA1に続いてダンロップ勢の1、3フィニッシュとなった。SP SPORT 73-Rの地力がいかんなく発揮されたレースが続く。
SC2クラス岩田選手
2本目のSC1クラスの頃から、雨足が弱まり始め、僅かながらタイムを縮める事ができる余地が現れ始めた。SC2クラスでこのチャンスを生かしたのは、今日ダンロップユーザー6人目のウィナーとなった岩田真理選手(ストーリア)1本目はトップの青木辰之選手(ミラジーノ)と4秒差の3位だったものの、2本目はSP SPORT 73-Rで泥のプールとなったコースを果敢に攻め、1分54秒798で一気に逆転。同じく1本目に出遅れた鈴木功敏選手(ストーリア)が猛追するものの1分55秒283に終わり、見事な逆転優勝となった。
SA2クラスで圧倒的な強さを見せ、SC3クラスへと移行してきた北村和浩選手(インプレッサ)は、第2戦でも成熟を要するマシンを駆り、悪路に苦しみながらも、高いポテンシャルを発揮した。1本目中間タイムでは2位となる1分03秒127をマークするなど、内容の濃い3位。2本目に期待が集まったが、タイムを縮める事は出来ず4位に終わる。しかし確実にSA2クラスに順応し始めており、マシンも進化している中、今後も目が離せない存在である事に変わりはない。北村選手に代わって3位に食い込んだのは、同じくダンロップユーザーである橋本和信選手(ランサー)2本目で順位を一つ上げ、表彰台を勝ち取った。
Dクラス三上選手
レースのラストを飾るDクラス、優勝したのはやはりダンロップ、SP SPORT 73-Rを装着した青森の三上悟選手(ランサー)アクシデントやリタイアが続出した同クラスで、恐れる事無くアタックを敢行、1本目、2本目共にトップタイムという圧勝だった。昨年の覇者であり、今期第1戦も優勝した河内渉選手(ミラージュ)を押さえての栄冠は価値のあるもの、さらに今後のシリーズを占う上でも大きな意味のある勝利だったといえる。
悪天候により乱戦が予想されたダートトライアル第2戦だったが、フタをあければ9クラス中7クラスでダンロップユーザーが優勝という、まさに圧倒的な勝利に終わった。どのようなコンディションであってもマシンの性能を引き出し、ドライバーの期待に応えるダンロップタイヤのふところの深さを知らしめるに相応しい一戦だった。第3戦は5月、初夏の日差しさす福島県二本松市のメーハイランドSSパークサーキットグラベルコースで行われる。更なる活躍を期待したい。