第7戦 10月25日(土)~26日(日) 富士スピードウェイ
Rd.7 Report

BLITZ DUNLOP ER34

 数々のドラマを生んだ2008年のD1グランプリも、ついに最終戦を迎えた。新兵器である『ディレッツァスポーツZ1スタースペック』を与えられたダンロップ勢は、野村謙がランキング3位、古口美範が第2戦の富士で優勝するなど、いずれも好成績を収めている。日比野哲也、猪瀬徹、一柳和人、林渡らも1年の締めくくりに相応しい走りを披露しようと、万全の体制で富士スピードウェイにやってきた。また野村にはチャンピオンの可能性も、わずかながら残されている。

惜しくも予選不通過の一柳

 25日(土)の予選には、シードの野村を除く5名がエントリー。まずは古口が2本目に100点満点をマークし、幸先のいいスタートを切る。続く日比野も3本目に99.5点を獲得。猪瀬も1本目と2本目で高得点を叩き出し、1回戦への進出を決めた。なお順位は古口が2位、日比野が16位、猪瀬が7位だった。いっぽう、残念な結果に終ったのが一柳と林。「通るラインを間違えた」と話す一柳は3本とも98.8点で24位、今シーズンの途中からダンロップワークスの一員に加わった林は23位で予選を通過できず。そして第6戦のエビスで4位に入賞した中村直樹も、26位と振るわない成績に終わる。


予選2位の古口

 朝の練習走行で少し雨が降ったものの、天候はすぐに回復。1回戦がスタートする時刻には、路面も完全に乾いた。まずはシードの野村がコースイン。1本目からとんでもない角度と白煙でアピールし、いきなり100点満点を獲得する。さらに3本目でも100点満点を出し、1回戦を5位で通過した。続く古口も2本目に100点満点で2位。猪瀬は小さなふらつきやライン取りのミスを指摘されたが、13位でベスト16に進出する。日比野も懸命の走りをみせるが、ハイスピードの富士とはマシンの相性がよくない。結果は17位だったが、リタイヤが1台あったため繰り上げで16位とトーナメントへ進んだ。


野村vs上野

 ベスト16にまず登場したのは日比野。誰もが不利と認めるハチロクを駆り、手塚強と対戦する。手塚が先行する1本目はパワーの差から引き離されるが、2本目は300Rで手塚がアンダーを出して逆転し、ベスト8に勝ち上がった。野村はソアラでのラストランとなる、上野高広と対戦。先行の1本目はあえてインを閉めずに正々堂々と勝負し、ほぼ互角という判定が下される。ところが2本目は、300Rの出口でわずかに流されてしまう。本当に僅差だったが、コレが決め手となり野村は惜しくもベスト16で姿を消した。

古口vs長澤

 続いては猪瀬。昨シーズンのチャンピオンである川畑真人との対戦だったが、スタート地点での様子がおかしい。しばらくの沈黙の後、「マシントラブルでリタイヤ」という放送に会場が騒然となる。予選~決勝と勝ち進んだ猪瀬だが、なんとも無念な結果となってしまった。古口は予選Bグループから勝ち上がった、長澤淳吉との対戦だ。先行の1本目はインを大きく開ける貫禄をみせながら、角度も迫力も上まわる。後追いの2本目は古口のプレッシャーに押されたか、長澤が大アンダーステア。“帝王”古口、ベスト8進出!

日比野vs熊久保

 ベスト8で日比野が対戦するのは、第6戦で見事な復活を遂げた熊久保信重。車両の戦闘力を考えれば不利だが、1本目は5:5という健闘をみせる。しかし、2本目のスタート直後にミッションブロー。痛恨のリタイヤとなったが、非力なマシンで素晴らしい走りを披露した日比野は、ギャラリーから大きな拍手で見送られた。ダンロップ勢、最後の砦となったのは古口。勝負はサドンデスに突入するが、中盤以降に食い込まれたのが決め手となり、準決勝に進むことはできなかった。

シリーズ4位の野村謙

 期待のハイグリップラジアルタイヤ『ディレッツァスポーツZ1スタースペック』を手に入れ、昨シーズン以上に活躍したダンロップワークス。シリーズチャンピオンこそ逃したが、ランキングは野村が4位、古口が11位、日比野が12位と上位に食い込んだ。また一柳がD1グランプリで初めてのポイントを獲得するなど、明るい材料も多かった。来シーズンもドリフトを楽しみつつ、記憶に残る名バトルを繰り広げてくれることだろう。

TEAM BLITZ

「最終戦ということで今まで以上に激しい走りをみせるべく、タービンのエキゾーストハウジングをサイズアップし、ブーストも上げて臨みました。またアライメントも見直したことで、300Rの振り返しがクイックに。第6戦と異なり、今回はシリーズ争いの重圧からも解放。結果はベスト16止まりだったけど、ドライバーもメカニックもリラックスでき、来シーズンに向けていいスタートが切れそうです。引き続きの応援をお願いします!」(阿部監督)
「今回はプレッシャーもなく、テーマの“エンジョイ・ドリフト”そのものでした。マシンは練習日にミッショントラブルが起きたけど、すぐに修理してもらい大勢のお客さんの前で納得のいく走りをみせることができ、何よりだと思っています。残念ながらシリーズチャンピオンは獲れなかったけど、『来シーズンはみてろよ!』という気持ちで頑張ります」(野村謙)

ベスト8の古口

「300Rに飛び込んでからの車速の伸びを重視し、ファイナルを4.3から4.1に変更しました。それが予選、1回戦の高得点に繋がったんだと思います。さらにアライメントやアームを変更し、クルマ自体はピーキーになったはずなんですけど、タイヤのグリップが想像以上に高くコントロールできました。ベスト8では末永選手に敗れましたが、コレは自分の操作ミス。もっと正確な走りを身に付け、来季はさらなる上位を目指します!」(古口美範)
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ニュルブルクリンク2014