第2戦 4月26日(土)~27日(日) 富士スピードウェイ
Rd.2 Report
今シーズン初優勝を狙う野村選手
新たなる武器『ディレッツァスポーツZ1スタースペック』を手に入れ、ドリフト界の頂点を目指すダンロップワークス。D1グランプリの第2戦は4月26~27日、富士スピードウェイで開催された。26日の予選は今にも雨が降り出しそうな空模様だったが、路面はかろうじてドライ。野村謙、日比野哲也の2名はシード権を獲得しているため、猪瀬徹、古口美範、一柳和人、吉岡秀一の4名が1回戦への進出を賭けて予選に臨んだ。
予選を7位で通過した猪瀬選手
D1開催時の富士スピードウェイは逆まわりとなるため、ドライバーの練習量はほとんど差がない。限られた練習時間のなかで、走り方とセッティングをどれだけ合わせられるか。それが勝敗を分けるポイントとなる。予選で華のある走りをみせたのは、古口と猪瀬だ。100点満点には届かないものの、ともに99.8点を叩き出し、猪瀬は7位、古口は8位で1回戦への切符を手にする。対照的だったのが一柳と吉岡だ。開幕戦で好調だった一柳は25位に沈み、吉岡もマシントラブルで姿を消す。さらに走行後、猪瀬のエンジンにもトラブルが発覚し、翌日までの修復が間に合わずリタイヤとなってしまった……。
1回戦で姿を消した日比野選手
予選終了後に降り出した雨も翌日の朝にはすっかり上がり、1回戦が始まる頃には路面もほぼドライコンディション。ダンロップ勢の1番手は、開幕戦で2位に入賞している野村だ。しかし、富士スピードウェイへの苦手意識が払拭し切れないのか、100点満点は獲得できず。ベスト16に進んだものの、順位は10位と振るわなかった。いっぽう、日比野は「スピードが少し足りない」との評価で、残念ながら22位に終わる。古口は3本の走行をいずれも無難にまとめ、9位でベスト16への進出を決めた。なお、今回の1回戦は川畑真人や熊久保信重といった優勝候補が次々に姿を消すなど、波乱含みの展開に。
野村選手VS上野選手
そして迎えたベスト16、古口は今シーズンからS15シルビアに乗り換えた今村陽一と対戦する。1本目は古口の後追い。両者ともノーミス、インを締めるわけでもなく強引にねじこむワケでもなく、「クリーンないい勝負」と審査委員長が賞賛するほどの互角なバトルだった。2本目は今村のドリフトがわずかに戻り、得意とする富士スピードウェイで古口がベスト8に進出! 野村は同じ重量級マシンを操る、ベテラン上野高広が対戦相手だ。富士を苦手としている野村だが、1本目と2本目はまったくの互角。そのままサドンデスにもつれ込み、3本目は中盤あたりから上野のインに食い込んでいく。6:4と若干のアドバンテージで迎えた4本目は、同じような形で食い込まれるが、「食い込んだ量は野村が上」と判断され、富士スピードウェイでは初となるベスト8に駒を進めた。
古口選手VS黒井選手
予選、1回戦を1位で通過した黒井を、古口が止めることはできるのか。この日の勢いは黒井だが、富士を得意とする古口だけに可能性は少なくない。1本目は黒井が先行し、ほぼ互角と思われたが全体的に古口の角度が浅く、4:6でポイントを奪われてしまう。しかし2本目の進入、黒井はドリフトが大きく戻るという大きなミス。古口が7:3でポイントを取り返し、逆転に成功した! 続く野村と斉藤太吾の対戦、1本目は完全にイーブン。ところが2本目、後追いの野村は進入でやや流されすぎ、中盤から後半にかけて追い付いたものの食い込み切れない! ほんのわずかな差だが、ポイントは斉藤がリード……。惜しくも準決勝進出は果たせなかった。
古口選手VS手塚選手
準決勝で古口が対戦するのは、ダンロップと同じくニュータイヤを手に入れ、戦闘力がアップしたグッドイヤーの手塚。バトルは古口の先行でスタートする。300Rの進入では古口が優勢だったものの、振り返しとヘアピンで手塚が挽回。5:5という採点で迎えた2本目、古口は振り返しでラインをクロスさせ、手塚のインに入り込みそのままあっさりと抜き去ってしまう。これは決定的。古口美範、初めての優勝に向けて大きく前進!
古口選手VS斉藤選手
いよいよ決勝戦。対する斉藤は「追走が苦手」という評価を覆し、佐久間・野村・末永といった強豪を次々と破ってきた侮れない相手だ。1本目は古口が先行し、斉藤のミスもあり7:3で奪取。しかし2本目でドリフトが大きく戻り、勝負は振り出しに。決着がついたのはサドンデス1本目。300Rからの振り返しでインに入り込んだ斉藤が、古口の右フロントにヒット! その影響でステアリングまわりにダメージを受け、車検員の「このまま走らせるのは危ない」という判断により棄権。いまいち後味のよくない結末だったが、一時期は不振に喘いだ古口が堂々の初優勝! そして、新兵器『ディレッツァスポーツZ1スタースペック』も、デビュー2戦目にして高いパフォーマンスを見せつけた!!
初優勝を遂げた古口選手
「対戦したときに戸惑わないよう、できる限り多くのドライバーの走りをチェックしました。ライン取りや飛び込みのスピードを分析し、自分と照らし合わせるといった感じですね。あとは、昨シーズン最終戦での失敗を見直して、もう同じミスはやらないぞと。いつもは緊張してミスしてしまうんですが、『お客さんを喜ばせる走りをしよう!』と頭を切り替えてから結果を残せるようになりました」