D1グランプリ第1戦 3月27日(土) お台場特設コース
ダンロップが優勝・準優勝を飾る!!

幸先よく2010年の開幕戦を征した今村陽一選手、予選から迫力のドリフトでファンを魅了した準優勝の日比野哲也選手

2010年のD1グランプリシリーズが幕を上げた。10周年を迎えた今シーズンは東京・お台場が第1戦の舞台となった。
昨シーズンがそうであったように、広大な駐車場を使ってコース設営されるお台場は、エキシビジョンマッチとして開催されることが多く、本戦となったのはじつに5年ぶり。Rの文字をひと筆書きしたような4つのコーナーからなるコースレイアウトで、コースと観客席が間近にあるのが特徴。ゆえに、コースアウトした際のセーフティゾーンは皆無という状態であり、ワンミスが即クラッシュにつながりやすい。選手たちは、この過酷な条件下で戦い、限界ギリギリの高度なテクニックを披露する。スリリングな展開が容易に想像でき、間近で繰り広げられる白熱のドリフトバトルに観客の盛り上がりもひとしお。また、お台場特設コースが最後ということもあり、大勢のファンで観客席は埋められた。真冬の寒さを思わせる気温の低さだったものの、天候は晴れ。絶好のコンディションのなかで第1戦が始まった。
ダンロップは、10台のマシンがエントリーした。昨シーズン大活躍したエースの野村謙選手、古口美範選手、日比野哲也選手をはじめ、箕輪慎治選手、松川和也選手と、福田浩司選手、加藤貴也選手、林正俊選手、森田登選手という顔ぶれ。さらに、ディフェンディングチャンピオンの今村陽一選手も新たにダンロップ勢に加わり、タイトル連覇へ向けて戦うこととなった。
D1グランプリは、単走(1回戦)、追走トーナメントを経て優勝者が決まる。単走は、2本を走ったうちの高い得点が採用され、各選手の得点の優劣によって追走トーナメントへ進出する16台が決まる。
前日に予選が行なわれ、古口選手、松川選手、福田選手が通過。シード選手と合わせて6台のマシンが本戦へと駒を進めた。

お台場では優勝経験がある古口美範選手。スピード感に溢れる走りをファンを魅了した

1回戦の単走のトップバッターとして登場したのは、福田選手。2本ともベテランらしい安定感のあるドリフトキレイなドリフトで決めたものの、得点が伸びずに惜しくも1回戦敗退となった。
続いて登場したのが、SC430の松川選手。その1本目は、勢いよく進入したものの、2コーナーの手前でスポンジバリアに接触。フロント部分にダメージを受けたものの、大事にはいたらなかった。続く2本目も1本目と同じく勢いよく1コーナーへ進入、こんどはキレイにドリフトが決まった。99.30点の高得点をマークし、結果、13番手で追走トーナメントへの進出を決めた。昨シーズンは後一歩及ばすという悔しい場面の多かった松川選手。今年は初の追走トーナメント進出で、幸先のよいスタートとなった。
次の登場したのが古口選手。昨年のお台場(エキシビジョンマッチ)の初日では、ボディを歪めるほどのクラッシュに見舞われたものの、修復ののちにみごと優勝するという快挙を成し遂げた。期待が高まる古口選手の単走1本目は、高い進入速度と角度あるドリフトの攻めの走り。2本目に99.53点の高得点となり、堂々の7位で追走トーナメントへの進出を決めた。

ベテランならではの安定感が光る野村謙選手。白煙番長は健在だ

シード選手は、野村選手、日比野選手、今村選手。まず登場したのが、今年、Team UP GARAGE with DROO-Pからのエントリーとなり、カラーリングを一新したAE86で登場した日比野選手。昨シーズンは岡山で優勝するなど、めざましい活躍を見せた日比野選手は、お台場のコースも得意とする。800psといった他車と比較してパワーで見劣るぶん、軽さを武器に、持てるパワーを100%引き出して迫力とキレのあるドリフトが功を奏し、進入速度、深い角度、そしてラインもみごとに決め、2本目で99.8点の高得点となり、2番手のポジションで追走トーナメントへ進出した。
ダンロップのエース、野村選手も新たなカラーリングとなってコースに登場。「原点に戻ってドリフトを楽しみます」と出走前にコメントしていた野村選手は、1、2コーナーの壁ギリギリを通るラインで、観客を大いに沸かす。続く2本目でも進入から豪快に角度をつける野村選手であったがこれは失敗。しかし、すでに1本目で99.5点をマークしており、9番手で決勝トーナメントへ駒を進めた。

今シーズンからダンロップで挑む今村陽一選手。D1チャンピオンの連覇を目指す

昨シーズンの覇者で、D1グランプリ史上初となる2度目のタイトルを手に入れた今村選手は、昨年と同様のシルビア(S15)でのエントリーとなった。今シーズンからディレッツァスポーツZ1・スタースペックで戦う今村選手は、「早く慣れるために街乗りでも使いましたが、とても素直でコントロールしやすいタイヤですね」とコメント。単走の1回戦ではディフェンディングチャンピオンらしい安定感と同時に攻めのドリフトで、99.6点の5番手通過を決めた。

追走トーナメントで内海彰乃選手を破ってベスト8に進出。野村謙選手は7位となってシードが確定

追走トーナメントは午後からおこなわれた。シーズンを戦ううえで、とくに第1戦は重要。追走トーナメントに進出し、10位以内の成績を収めると、第2戦のシード選手となるからだ。シード選手は予選を免除される。本戦となる1回戦の単走から出場できるため、ドライバー、マシンともに優位に戦える状況を得やすい。まずは最初の対戦を征すること、つまり是が非でもベスト8に残ることが望ましい。
野村選手の対戦相手は内海彰乃選手。内海選手の先行で始まった1本目、ほぼ同時に後追いから振り出した野村選手は内海選手にしっかり合わせ、2コーナーでもインに食い込む。大きなアドバンテージをもらった野村選手は先行でミスのない走り。ベスト8へ進出。この時点でシードが確定した。
ベスト8の対戦相手は川畑真人選手。単走で100点を出して波に乗っている川畑選手が先行の1本目、1コーナーまで果敢に合わせていくも、2コーナーにかけてやや失速。接近戦にうまく持ち込めずアドバンテージを与えてしまった。野村選手が先行となった2本目は、高いスピードからの進入で逃げようとする。しかし川畑選手も負けずきっちりと合わせてくる。ノーミスで先行を走り終えた野村選手であったが、アドバンテージを覆すところまではいかず、7位で第1戦を終えた。
「川畑選手との対戦では、近づき過ぎてクルマを見てしまいました。素人がやるようなミスですね。情けなか(笑)。でもシードが決まりましたし、なによりお客さんが楽しめる走りをこれからもしていきたいです」(野村選手)
「マシンコンディションのよい状態でお台場を迎えることができました。今回、フロントタイヤを1サイズ太くしました。パワーは上げていませんが、追走ではブーストを高く設定して挑みました。ベスト8止まりは残念ですが、シードが確定しましたし、エンジンのリフレッシュも含めて、いっそうよいコンディションでオートポリスへ乗り込みたいと思います」(阿部監督)

SC430が追走トーナメントに出場。これからが期待される松川和也選手

SC430で初の追走トーナメントを迎えた松川選手は織戸学選手と対戦した。後追いの松川選手の1本目は、1コーナーから2コーナーにかけてアウト側に流れたラインとなるなど織戸選手に合わせきれない。先行では2コーナー手前で、スポンジバリアに接触するという手痛いミス。ここで敗退が決まった。しかし、ドルーピーの松岡スポッターは「追走トーナメント進出は大きな一歩でした。今回の一番大きな成果です」とコメント。SC430の高いポテンシャルを発揮できるシーズンとなりそう。次戦のオートポリスが楽しみだ。

サドンデスの末に熊久保信重選手に勝利した日比野哲也選手。D1グランプリの新たなハチロク伝説をつくる

古口選手は初のカードとなる、ハチロクの田所義文選手が初戦の対戦相手であった。進入時のスピードに加えて安定感のある古口選手は、先行、後追いともに田所選手をつけ入るすきを与えない。後追いでは田所選手にミスがあり、ベスト8進出が決まった。
日比野選手は熊久保信重選手との対戦。先行の日比野選手が豪快につける角度に、追走名人である熊久保選手のビタビタに合わせる走り。後追いでこんどは日比野選手がビタビタに合わせる。接近戦の応酬で決着がつかずサドンデスとなった。再び、先行日比野選手。後追いの熊久保選手は進入でやや引っかかってタイミングを崩し、対して日比野選手はノーミス。さらに後追いとなってもビタビタに合わせる。結果、熊久保選手を下してベスト8に進出した。
ベスト8の対戦相手は、同じダンロップの古口選手。この勝負は、後追いの日比野選手が先行の古口選手との距離を詰められず、古口選手がややアドバンテージをもらうかたちで2本目に入ったものの、後追いとなった古口選手が痛恨のスピン。この同門対決を征したのは日比野選手となった。
さらに日比野選手の快進撃は続く。優勝経験も豊富な末永正雄選手との準決勝のカードでは、後追いで先行の末永選手に対して同時振り出すドリフトを見せる。その2本目で先行日比野選手は、1コーナー進入でテールを壁にヒット。破損はしたものの姿勢を崩すことなく競技を続行。気迫溢れる走りで勝利。決勝へと駒をすすめた。

準決勝で強豪の川畑真人選手に勝ち、決勝で日比野哲也選手を下して初戦を飾った今村陽一選手

今村選手は初戦で高橋邦明選手。先行の今村選手に対して高橋選手が進入でミスを犯す。7:3の大きなアドバンテージをもらい、後追いでは高橋選手にきっちり合わせ、大きなアドバンテージのまま、堂々とベスト8へ進出した。
ベスト8の対戦相手は、松川選手を破って勝ち進んできた織戸選手。今村選手が先行の1本目、どちらもノーミスで走り切るも、コーナリングスピードの速さで今村選手が若干のアドバンテージを得た。続く後追い。先行する織戸選手に対して2コーナーでビタビタに合わせる今村選手。文句なくベスト4(準決勝)へと進出した
準決勝は、川畑選手との対戦となった。先行の川畑選手に対して今村選手はしっかり合わせて2コーナーで川端選手にインに食い込む。両者ノーミスで迎えた2本目、川畑選手が進入でドリフト態勢を戻してしまうというミスをおかし、今村選手が決勝へ進んだ。
決勝は、今村選手VS日比野選手。この時点でダンロップの優勝、準優勝が確定した。そして、その頂に立ったのはディフェンディングチャンピオンの今村選手となった。先行は今村選手。対して後追いの日比野選手は同時振りの進入で対抗する。イーブンで迎えた2本目、先行の日比野選手に対して1コーナーから2コーナーにかけてビタビタに合わせる今村選手。ノーミスで終えた日比野選手であったが、わずかに接近戦でのポイント差が付き、甲乙つけ難い対戦を今村選手が征した。

開幕戦を絶好のかたちでスタートしたダンロップ勢。この勢いでオートポリスでのさらなる奮起に期待したい。
Global Race Category
Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014