第1戦 3月28日(土)~29日(日) エビスサーキット
Rd.1 Report
新たな戦いに挑むダンロップ勢
早くも9年目を迎えたD1グランプリ。今年は審査員として神本寿と山路慎一の2名が追加され、単走の走行数が3本から2本に変更されるなど、文字どおり“変革”の1年となりそうな気配だ。また今シーズン後半戦では、土日に連続開催の『デュアルファイナルズ』も予定されている。昨年は新兵器『ディレッツァスポーツZ1スタースペック』の投入もあり、好成績を収めたダンロップワークス。2009年は新たなドライバーも加わり、悲願のシリーズ制覇に向け体制は万全だ。
日比野哲也選手
開幕戦の舞台は昨年と同じ、ドリフトの聖地とも呼ばれるエビスサーキット。3月28日には予選が行なわれたが、昨年シリーズ4位だった野村謙はシードとなり、1回戦からの出走となる。予選には古口美範・日比野哲也・林渡、またニューフェイスの小畑仁宏・箕輪慎治が挑むことになった。素晴らしい走りを披露したのは古口。99.70をマークして3位で予選を通過する。マークIIの箕輪も21位でパスし、決勝に望みを繋ぐ。しかし林・小畑・日比野は惜しくも予選で姿を消した。
箕輪慎治選手
一夜が明けた3月29日、いよいよ1回戦がスタートする。こちらも昨年からシステムが変更され、下位から出走し最後がシードというリバースグリッド風の方式となった。1回戦に進出したダンロップ勢のうち、最初に走行したのは箕輪。1本目こそ目立ったミスはないものの、2本目はラインをはみ出し減点され17位に沈む。続く古口は2本目をノーミスで決め、暫定ながらトップに躍り出る。最後はシードの野村。1本目は丁寧にまとめた走りでベスト16を確実なものとし、2本目もアングル・クリップ・ライン・タイヤスモークともパーフェクトに決めた。野村は3位、古口は4位で決勝トーナメントに進出!
野村謙vs前田謙
ベスト16、まずは古口が末永直登を迎え撃つ。経験豊富な古口といえども、末永は今シーズンから戦闘力の高いランエボ9に乗り換えており、決して気を抜けない強敵だ。1本目はインに食い込まれイーブンで折り返すが、2本目は古口が末永を超える食い込みでベスト8に進出。続く野村はハチロク使いの前田謙と対戦する。前田は久しぶりの決勝だが、過去の対戦成績は1勝1敗。野村が先行した1本目、3コーナーで前田が勢いあまってプッシングし、圧倒的なアドバンテージを得る。2本目もミスを犯さず、ダンロップ勢の2名は揃ってベスト8へと駒を進めた。
古口美範vs今村陽一
ベスト8で古口と対するのは、昨年シリーズ2位の今村陽一。1本目の1コーナーで今村の懐に飛び込んだ古口は、2コーナーでスピードを調整し切れず、ドリフトが戻ってしまう。2本目は今村が卒なく決め、惜しくもココで敗退となった。野村vs末永正雄は、1本目の2~3コーナーで若干のアドバンテージを奪われる。しかし決定打にはならず、逆に2本目でポイントを取り返す。ほんの僅かな差ではあったが、判定は野村。ダンロップワークスのエース野村謙、準決勝に進出だ!
野村謙vs手塚強
準決勝、野村と戦うのは“エビスの主”熊久保を倒した手塚強。どちらが勝ってもおかしくない、誰もが予想困難な対戦だ。1本目は手塚がインに食い込むが、1コーナー進入で若干ドリフトが戻って5:5。2本目は最終コーナー脱出から野村が勝負を仕掛け、ストレートから1コーナーでインに深く食い込み、そのままノーミスで4コーナーまで繋ぎ切った。審査員までも「こんな勢いで飛び込んでくる野村は初めて」と驚かせ、ノーミスの手塚を破り、今村陽一の待つ決勝に進む。
野村謙vs今村陽一
毎年のようにシリーズチャンピオン候補として名前が挙がる、野村謙と今村陽一。1本目は今村が先行。深く食い込んで1コーナーを立ち上がるが、2コーナーで今村のエンジンがストップし、接触してスピンを喫してしまう。しかし原因は今村という判定で、減点はナシ。今村のチームスタッフが懸命の修復作業を試みるも、なかなかエンジンはかからない。そのままレギュレーションで与えられた5分間が経過し、野村が嬉しい今シーズン初優勝! シリーズチャンピオンに向け、幸先のいいスタートを切ることができた。次戦でも熱く気迫にあふれる走りを期待したい!!
優勝を飾った野村選手
野村選手コメント
「今シーズンは成績はもちろん、チーム全体で楽しみながらD1を盛り上げたいと考えています。相手のマシントラブルとはいえ、開幕戦で優勝したのは初めてなので、まだ信じられない心境です。最後は雪のせいで路面が滑りやすい状態。でもタイヤのコントロール性には自信があり、不安なく走ることができました。やはり最後は走ったうえで勝ちたかったけど、やはり優勝は理屈抜きで嬉しいですね。次回もこの気持ちを忘れず頑張ります!」
第1戦を振り返る阿部監督
阿部監督コメント
「この開幕戦はギヤ比の異なるミッション、また富士仕様のエンジンを使いました。エビスは路面が改修されてから、よりパワーが必要なことは分かっていましたから。狙いが見事に当たったといったところです。決勝トーナメントでは、末永選手との対戦がイチバン緊張しましたね。走りを見る限りかなり乗れていたんで。勝てたのはホント、運もよかったと思います。オートポリスに向けては時間の制約もありますが、タービンをサイズアップする予定です。昨年は後半戦でプレッシャーに負けた場面もあったから、もっと気楽にスタッフ一同でD1を楽しむつもりでいます」