第1戦 3月29日(土)~30日(日) エビスサーキット
Rd.1 Report

エースドライバー野村選手

 世界最高峰のドリフターたちが熾烈なバトルを繰り広げる、日本初のモータースポーツ『D1グランプリ』。2008年の開幕戦は3月29日~30日、エビスサーキットで幕を開けた。今シーズンのダンロップ勢はもはやお馴染みの野村謙、日比野哲也、猪瀬徹のほか、古口美範、吉岡秀一、一柳和人を加えた6名のドライバーで臨む。また、注目したいのは前作を凌ぐグリップ力とコントロール性が与えられた新タイヤ、『ディレッツァスポーツZ1スタースペック』の投入だ。「熱の入りがよく、1本目から全開でイケる」とドライバーの評価も高い。新兵器を手にした彼らは、果たしてどんな戦いを見せるのか?

初の開幕シードとなった古口選手

 予選日は時おり強風が吹きつける天候ながら、前日に雪が降ったとは信じられないほどの快晴。野村、古口、日比野の3名はシード権を獲得しているため、決勝を想定しての練習走行を繰り返す。昨年はトーナメントにも定着した感のある猪瀬は、2本目に高得点をマークし危なげなく予選をパス。カラーリングを一新した一柳も、1本目に99.50点を叩き出し久しぶりの予選通過を果たす。残念だったのが吉岡。練習走行中にミッショントラブルが発生し、スタッフが懸命の修復作業を試みるも、予選時刻に間に合わず。コースに姿を見せることなくリタイヤとなった。


惜しくも1回戦突破を果たせなかった一柳選手

 1回戦、再舗装でグリップが変わった路面にいち早くドライビングを合わせた野村と日比野は、ともに100点満点を獲得。さすがはシード、と誰もが納得する走りだった。それに対して、本来の実力を発揮できなかったのは、今年からダンロップワークスに加わった古口。シードで開幕を迎えるのは初ということもあり、気持ちが守りに入ってしまったためか。3本とも古口らしからぬ消極的な走りで、決勝トーナメントには進出できなかった。また、猪瀬は1本目の走行中にエンジントラブルが発生するという不運に見舞われ、2本目以降を走行できず。久々の決勝進出となった一柳もプレッシャーからか、無難な走りに終止して29位に沈む。「ミスしないのは当たり前、審査員に訴える何かがないと勝てない」という、D1の厳しさを痛感……。


日比野選手と吉岡選手のハチロク対決

 ベスト16、まず登場したのは日比野。対戦相手は同じくハチロク使いの吉岡稔記選手で、「ハチロク世界一決定戦」というアナウンスに会場もひときわ盛り上がる。1本目は日比野が先行し、ターボパワーを活かした進入スピードでわずかながらアドバンテージを得る。2本目もスピード、角度とも吉岡選手に競り勝ち、ハチロク対決を制してベスト8へ。続く野村は、今回からゼロクラウンを投入した時田選手。勝負は野村の先行でスタートし、スピード・角度・白煙とも「コレぞのむけん!」という走りを見せるが、時田選手も負けてはいない。サドンデスにもつれ込むかと思われた2本目の3コーナー、時田選手が突然の失速。それが決定打となり、野村選手がベスト8に駒を進めることとなった。


4ドア決戦は野村選手の勝利で幕を閉じる

 日比野がベスト8で対戦するのは、熊久保選手を破り波に乗った田中選手。1本目は日比野選手が先行するも、パワー差があまりにもありすぎた。最終コーナーを飛び出してくる時点からピッタリ後ろに食い付かれ、引き離すことができないまま審査区間を走り終える。2本目で懸命の挽回を試みるも、なかなか懐に入り切れない。日比野にミスはなかったが、田中選手の迫力に一歩及ばなかった。いっぽう、野村は同じく4ドアのチェイサー使い、高橋選手と相対する。1本目は2コーナー以降の食い込むが評価されるものの、直線区間でドリフトが戻っており減点。2本目も4コーナーまでは互角。「マズい」と思った瞬間、なんと高橋選手がアンダーステアを出す。最後の最後で大逆転。準決勝に進出したのは、ダンロップワークスの野村謙だ!

田中選手とのサドンデスは野村選手に軍配が

 チームメイトの熊久保選手、またダンロップ勢の日比野を破った田中選手が、準決勝で野村と対決する。1本目は野村が6:4で先取し、2本目は審査員をして「神業だ」と言わしめる食い込みで田中選手が振り出しに戻す。サドンデスの1本目、田中選手は4コーナーでアンダーを出しつつ失速。減速が間に合わず接触するが、原因は田中選手ということで8:2と大きくリードする。4本目は巻き返しを狙う田中選手を巧みに押さえ込み、昨年夏と同じく川畑選手との決勝戦に進出!


川畑選手と野村選手の手に汗握る激しいバトル

 ついに迎えた決勝。昨年はシリーズを意識した川畑選手を、“エンジョイ・ドリフト”をテーマに掲げた野村がサドンデスの末に破り、シーズン初優勝を遂げている。因縁の再選、勝利の女神はどちらに微笑むのか。会場が静まり返る緊張のなか、バトルは川畑選手の先行でスタートした。角度は川畑、食い込みは野村、採点はイーブン。2本目も同じような展開で、サドンデスにもつれ込む。その後も両者は自分のスタイルを変えず、気がつけばサドンデスは4本目に。そこで川畑選手は、従来の深い角度に加えて“食い込み”という新戦法を繰り出してくる。ほんの少しの違いだが、実力伯仲のバトルでは決定打として十分。惜しくも準優勝だった野村だが、結果としてはさい先のいいスタートだろう。

ニュータイヤの感触も上々

「縦方向と横方向のグリップはもちろん、熱の入りがよく減りにくい」とブリッツ阿部監督も絶賛する、『ディレッツァスポーツZ1スタースペック』という新たな武器を手にしたダンロップワークス。出走した6台のうちマシントラブルを除く5台が予選を通過、さらにシリーズチャンピオン候補の一角である野村が準優勝。昨シーズン以上の大活躍を予感させる、D1グランプリ開幕戦だった。

準優勝に輝いた野村選手

野村選手コメント
「優勝こそ逃したものの、気持ちいいスタートを切れたと思います。エンジンもタイヤも新しくなり、マシンは戦闘力がさらにアップしているので、楽しむことを忘れずシリーズ争いができれば何よりですね。次の富士はまた少しセッティングを変えていくので、ファンのみなさんにイイ走りを見せますよ!」
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ニュルブルクリンク2014