Point1

タイヤの基礎

タイヤは自動車と路面の唯一の接点。車体をしっかりと支えるのはもちろん、走る、曲がる、止まるという基本的な走行パターンをつかさどる重要なパーツです。タイヤは加速や減速、停止といったドライバーからの指示を的確に路面に伝える機能があります。サーキット走行において、このタイヤの性能が最重要課題の一つと言っても過言ではありません。速く走ることは勿論の事、安全にコーナリングし停まるためにも、タイヤの基礎を学んでおくことは必須です。

Point2

スポーツラジアルタイヤの特性

サーキット走行に適しているラジアルタイヤ、それがスポーツラジアルです。でも、グリップが高い分、通常のタイヤと異なり摩耗が早い、すぐ無くなる、というイメージを持たれている方が多いかと思いますが、実際は一般走行する分には通常のタイヤに大きく劣ることはありません。一般的に販売されている低燃費タイヤとゴムの物性を比較した場合、DIREZZA ZⅢ は、ゴムが硬く(摩耗有利)、発熱が高い(摩耗不利)という特徴があり、一概にどちらが有利とは言えません。また、タイヤが摩耗する場合は、タイヤの滑り、接地面に掛かるせん断力、使用温度などの要因が影響しますが、サーキット走行は一般公道の走行に比べ、これらの条件がシビアでタイヤへの負荷が大きいことから、サーキット走行時は摩耗が早くなります。以上より、スポーツラジアルは摩耗が早い。というイメージがある理由はタイヤの材質等による要因よりも、サーキット走行の負荷の高さが摩耗の早さに大きく影響しています。そして、耐経年劣化も一般タイヤと同等のレベルを確保しております。DIREZZA ZⅢ の特筆すべき点はサーキット走行でタイムを出せるグリップを持ちながら、耐摩耗性も高いレベルを維持している為、コストパフォーマンスが高く、普段履きからサーキットまで、幅広く、長く使用できるところです。

Point3

タイヤサイズの読み方

タイヤの側面に、数字やアルファベットが記載されていると思います。例えば「195/50R15 82V」といった具合です。「195」はタイヤ幅でmm単位、「50」は偏平率で要はタイヤの厚み、「R」はラジアルのR、「82」はロードインデックスでタイヤ1本に対してどれくらいの荷重に耐えられるか、そして「V」は速度域でこの場合は240km/hを示します。さて、サーキット走行時によく目にするのがタイヤサイズの変更です。サイズ変更は基本的に手法が二つ、インチアップと幅アップになります。インチアップはホイールサイズを変更して偏平率を下げることを指し、コーナリング時の反応が良くなる半面、乗り心地が固くなり、パワーが少ない車だと加速力が落ちます。幅アップはタイヤをより太いものに変えて接地面を増やすことを指し、グリップが上がる半面、ウェット性能が低下、太すぎると速度低下につながります。

Point4

温度と空気圧と接地面

今日のタイヤは中空が主流で、要は気体で充満させてハリを持たせ、路面に設置させています。この内圧、クルマの重量等にもよるのですが、ドア付近のボディーにステッカー等で適正数値が記載されています。ところが、サーキット走行をしているとタイヤに熱が入り、中の気体が膨張、内圧が上がります。そうすると、タイヤが膨れる為、路面との接地面が減少、接地面が減ると、路面への動力伝達面積が減り、コーナリングでもグリップを失います。反面、路面との摩擦が減るため、ストレートは早くなり、燃費が向上します。このため、サーキット走行中でもピットインしてエアゲージで空気圧を確認し、調整しているわけです。

Point5

タイヤを「一皮剥く」

良くサーキットで耳にするのがタイヤを「一皮剥く」作業。新品タイヤを装着した場合に実施するケースが多いですが、実際になぜこの作業がグリップ向上に有益なのでしょうか。実はタイヤのゴムにはオイルやワックスといった材料が添加されています。このオイルとワックス、新品タイヤの場合だと通常より多く表面に出ており、それが要因で滑る為、新品タイヤの表面を敢えて削るとグリップが良くなります。また、新品タイヤは表面に凹凸が少なく、ツルツルです。路面を走らせて、オイルやワックスを削り取り、表面に凸凹を付ける、これを「一皮剥く」と表現するわけです。

Point6

タイヤの保管方法

長持ちさせるため、タイヤには老化防止剤が入っています。スポーツラジアルタイヤも例外では無く、一般タイヤと同じくらいの量が練り込まれています。つまり、経年劣化でのタイヤの老化は、実は他のタイヤと同じで、スポーツラジアルだからといって消費期限が短いわけではありません。ただし、サーキットを走行すると高温下での使用になる為、熱によるダメージが大きくなります。これは一般のタイヤも同様で、過酷な使用環境による影響となります。では保管はどうするべきか、通常タイヤと同じで大丈夫です。直射日光が当たらない、冷暗所に置いておきましょう。

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