第3戦 チャン・インターナショナル・サーキット

2014/12/24

二度目の開催となる、灼熱の地タイで
Epson NSX CONCEPT-GTは、確実な進化を見せる

6月20〜21日、SUPER GTシリーズの第3戦「BURIRAM SUPER GT 300km RACE」が、今年も海を渡って、タイのチャン・インターナショナル・サーキットで開催された。今年もダンロップとともにGT500を戦う、NAKAJIMA RACINGの「Epson NSX CONCEPT-GT」(中嶋大祐/ベルトラン・バケット)は、随所にキラリと光るパフォーマンスを見せるのだが、どうにも御難続き。開幕から2戦連続でトラブルに泣いている。しかし、二度目の開催となるタイのレースは、どのチームもデータが決して豊富とは言えないだけに、巻き返しをはかるには絶好の機会と映っていた。
シリーズ第3戦はSUPER GTシリーズでは唯一の海外戦で、長く開催されてきたマレーシア・セパンサーキットでのレースに代わるもの。今回が2回目の開催で、タイは親日国として知られており、その影響か日本のレースに対する関心も強いよう。さらにモータースポーツ人気も年々上がっているのは間違いなく、今回のレースも3日間のトータルで60,984人の観客動員が発表されている。なお、海外戦とはいえ基本的にレースフォーマットは日本と一緒。土曜日は公式練習と公式予選、日曜日にはフリー走行と決勝レースが実施される。
土曜日の午前中には公式練習が1時間35分に渡って行われ、しっかりと走り込んでおきたかった「Epson NSC CONCEPT-GT」だったが、序盤のうちにマシントラブルに見舞われたため、ピットでの長い修復を余儀なくされてしまう。そのため、中嶋だけがわずか10周を走るに留まり、予選を前に一抹の不安を抱えることとなる。
しかしながら、午後の予選ではQ1を担当した中嶋が、チャンスは1周のみという厳しい条件の中でも1分25秒998をマーク。8番手につけて今シーズン初となる、Q2進出を果たすこととなった。公式練習を走れなかったためにぶっつけ本番となってしまったバゲットながら、中嶋からのフィードバックで、しっかりコースをイメージ。よりセットアップも進んだことで、落ち着いたタイムアタックを見せ、1分25秒873をマークして5番手につけることとなった。
日曜日の午前中に行われたフリー走行では、さらにピットが沸き立つこととなる。バゲットが1分26秒688を記録して4番手につけたからだ。また、中嶋と合わせ、トータル18周を走行してセットアップもさらに詰め、公式予選の遅れも取り戻すこととなった。
そんな勢いに乗るバゲットが今回のスタートドライバー。鋭いダッシュを決めて、オープニングラップのうちに4番手に浮上し、上々の滑り出しを見せる。しかし、5周目にスピンを喫し、13番手にまで順位を落としてしまうも、闘志に衰えのないバゲットは20周目に12番手、24周目に11番手、28周目に10番手に上がって、ついにポイント圏内に。そして30周目に、中嶋にステアリングを委ねることとなった。
ドライバー交代の間にひとつ順位を落としたものの、バゲットの奮起に応えようと中嶋も力走を見せて36周目には10番手へと順位を戻し、44周目には9番手に。今シーズン初めての完走がほぼ現実味を帯びてきたものの、あろうことか残り10周というところでエンジントラブルに見舞われ、レースを終えることとなった。しかし、規定周回数を満たしていたため11位での完走扱いとなった。
「序盤にポジションが落ちてしまいましたが、ペース自体は良く、ふたりとも前を行くマシンを追いかけることができました。エンジントラブルでリタイアとなりましたが、今回は十分に表彰台を狙えるパフォーマンスがあったと思うので、とても残念です」とレース後に中嶋。
そして、ダンロップモータースポーツ部の斉脇課長は「このコースのレイアウトは、コーナーをストレートでつないでいくような形です。想定どおり気温と路面温度はかなり上がり、当初路面はフラットでしたが、マシンが走るごと変化する路面に対しても、しっかり対処できて、まずまずの手応えを得られました。今回も決勝結果は残念でしたが、次のレースではさらにタイヤのポテンシャルを上げて臨みたいと思います」と強く宣言していた。