DUNLOP MOTORSPORT
チーム紹介
第3戦 6月15日(土)~16日(日) マレーシア・セパンサーキット
Epson HSV-010、灼熱の舞台で12位フィニッシュ
ポテンシャルの高まりを実感する一戦となった!

リヤウイング形状が変更されたEpson HSV-010

 6月15日~16日、2013年スーパーGTシリーズ第3戦「SUPER GT INTERNATIONAL SERIES MALAYSIA」が開催された。マレーシアの首都クアラルンプール郊外の国際空港に近いエリアに造られたセパンインターナショナルサーキット(SIC)。スーパーGTのマレーシア大会は、2000年に特別戦として初開催され、翌01年も特別戦として開催された後、02年からはシリーズ戦に昇格。03年は中止となったが、国内が梅雨に見舞われるシーズン、年に一度、海外に飛び出しての熱いバトルが繰り広げられる、恒例のイベントとなっている。
 舞台となるSICは、赤道直下にも近く、灼熱のコンディションが大きな特徴の一つ。レイアウトは中高速のまわり込んだコーナーが多いが、コース幅も広く攻めがいのあるサーキットでもある。シリーズ戦が行われるようになる以前から、シーズンオフのテストが行われてきたことでも知られており、各チームともにサーキットのデータあり、マシンのセットアップも高いレベルでの争いとなっている。
 ダンロップは、今季、GT500クラスは1チーム1台、GT300クラスは1チーム2台のマシンにタイヤを供給する。GT500クラスは、ダンロップユーザーとして9年目を迎える「NAKAJIMA RACING」が、デビュー以来4シーズン目となるHonda HSV-010 GTの「Epson HSV-010」で参戦する。HSV-010 GTは、2010年のデビュー時からコーナリングスピードの速さは目立っていたが、開発を続けた結果、当初課題とされていたストレートスピードもライバルに引けをとらなくなり、トータルでの競争力が大幅にアップ。また09年から実施されてきた車両規定が今シーズン一杯で一新されることから、現行マシンでのレースは今年が最後となる。
 一方、GT300クラスは、ダンロップユーザーとして4年目となる「GAINER」(ゲイナー)。昨年と同じFIA GT3仕様の最新モデルながら、「Audi R8 LMS Ultra」から、「Mercedes-Benz SLS AMG GT3」の「GAINER DIXCEL SLS」にスイッチ。2カーエントリーへと体制を強化し、悲願のタイトル獲得を狙う。
 今回持ち込んだタイヤは、GT500クラス、GT300クラスともに、ドライ用は、トレッド面により柔らかめのコンパウンド(表面ゴム)を用いたソフトと、少し硬めにシフトしたミディアム。前回の富士では絶対的なグリップに不満があったので、セパン特有の条件である“高温対策”とともに、グリップ性能を1ランクアップしたレンジでタイヤを用意。摩耗に関してはギリギリまで攻めたタイヤ選択となった。予選はGT500がミディアム、GT300の2台はソフトで出走。ソフトのGT300は、まずまずの予選結果を得ることになった。

予選13位となったEpson HSV-010

【GT500】
 今季、「NAKAJIMA RACING」に新ドライバーが加入した。ベテラン道上 龍選手は継続で、中山友貴選手に代わり、中嶋大祐選手が父・中嶋 悟総監督のチームに加わった。中嶋大祐選手は、昨年GT300クラスでCR-Zをドライブし、スーパーフォーミュラ(フォーミュラ・ニッポン)には「NAKAJIMA RACING」から参戦する注目株だ。
2010年のデビューイヤーにチャンピオンを獲得したホンダHSV-010 GTは、年々進化を重ねてきた。マシンのラストイヤーとなる今季は、ラジエターの位置を前輪の後方からフロントに移した。今回、新たに「スワンネック」と呼ばれる新型リヤウイングを投入し、さらなるポテンシャルアップを目指している。
「NAKAJIMA RACING」は、昨年の第2戦富士でポールポジション獲得し、第7戦オートポリスでは2位、最終戦(第8戦)もてぎでは3位とウエット絡みの難しいコンディションでは、抜群のパフォーマンスを発揮してウエットに強いダンロップを印象づけている。
 予選日である土曜の公式練習は午後1時にスタート。走り始めから好タイムで上位に着けるが、コースが次第に出来上がり、ライバル勢もタイムアップしていくにつれてポジションはダウン。中嶋大祐選手は1分57秒539をマークして10番手、道上 龍選手は1分58秒099のベストタイムでセッションを終えた。トップとのタイム差は0.829秒で、グリップ性能を1ランク上げて臨んだタイヤは、マッチしているようであった。
 今季の予選は、Q1とQ2という2回のセッションによるノックアウト方式で争われる。15分間で争われる予選1回目のQ1は、午後4時45分にスタート。タイムアタックは中嶋大祐選手が担当。セッション後半になって続々と各車がコースイン、このタイミングで中嶋大祐選手はアタックしたがタイムは伸びずに13番手で、トップ8台が進出する12分間のQ2への進出はならず。気温は33℃と公式練習とほぼ同じだったが、路面温度(開始時39℃)は大きく低下していたため、中嶋大祐選手は自己ベストを更新したが、ライバルの方がタイムアップの幅が大きく13番手とはなったが、トップとは0秒998差と1秒を切るタイム差で、ここでもタイヤのグリップ性能がアップしている手応えを感じられた。
「中嶋選手が出走したQ1 は、気温が下がったということもあって全車タイムアップしました。当初、自分たちが目標とするタイムはマークできましたが、ライバルのタイムアップが大きく、結果的にQ2 には進むことはできませんでした。トップから1 秒以内のタイム差に入り、タイヤの進化も感じられ、よい方向に進んでいる手応えがありました」と道上 龍選手。

バトルを展開したEpson HSV-010

 決勝当日は好天に恵まれ、午前11時から30分間のフリー走行がスタート。Epson HSV-010の道上 龍選手は8周、中嶋大祐選手は5周のタイム計測をして、9番手でセッションを終えた。
 レース前のウォームアップ走行は午後2時50分に始まった。その後、午後4時になり、54周、300kmの決勝レースはスタート。
 Epson HSV-010のスタートドライバーは道上 龍選手。1周のフォーメーションラップ後にローリングスタートが切られた。Epson HSV-010はクリアなスタートを決めて、13番手のポジションをキープしながらグランドスタンド前を通過。8周目には12番手に浮上し、安定して周回を刻んでいくが前車をパスするまでには至らず。
 23周目にルーティンのピットインで中嶋大祐選手にチェンジして、タイヤ交換と給油を終えてコースに復帰。各車がピットインを終えると、中嶋大祐選手は12番手で走行を続けていた。コンディションの変化もあり、レース中のペースを思うように上げられずに厳しい戦いとなったが、中嶋大祐選手12位でチェッカーを受けた。

中嶋大祐選手と道上 龍選手

「オフシーズンに精力的にテストを実施したこともあり、手応えをつかむことができました。ただ予選13位、決勝12位という結果には、決して満足するわけにはいきません。これからもダンロップさんと一緒にタイヤ開発を続けて、よりパフォーマンスの高いクルマに仕上げていく必要があります。これから日本に帰っても菅生、鈴鹿、富士と熱いコンディションのレースが続きます。この中盤戦を根気強く乗り切っていくためにも、次回の菅生では、今回以上のパフォーマンスを発揮したいと思います」と中嶋 悟総監督。
「決勝は13 番手からのスタートで、スタートしてからしばらくはタイヤのグリップ感もよく、前車についていける感じがありましたが、少しずつですがタイヤの内圧が上昇してしまいペースを上げられませんでした。予定通り23 周目まで引っ張って中嶋選手に交代しました。これまではスタートしてからライバルたちに離されることが多かったのですが、今回はついて行くこともできたので、ここでもタイヤのレベルアップを感じることができました。もちろん、まだ納得できるものではありませんが、次の菅生に向けてしっかり準備をして挑みたいと思います」と道上 龍選手は次戦への決意を語った。
「決勝日朝のフリー走行ではいい手応えを感じていたのですが、決勝では前後のグリップバランスが一変してしまい、想定したペースで走ることができませんでした。今回は、これまでに比べて走り出しから調子がよく、決勝ではポイント獲得を目標にしていましたが、結果的にそれは叶いませんでした。開発の方向性が正しいことは間違いないと確信できたので、引き続きチーム全体で協力して、いい結果を目指したいと思います」と中嶋大祐選手。

さらなる活躍か期待されるEpson HSV-010

 今年のマレーシアラウンドは、予選13位、決勝12位と好結果とはならなかったが、レース中のペースも含めて、確実なポテンシャルアップを実感できたレースウィークとなった。
 第4戦(7月27~28日)は、真夏のスポーツランドSUGO(宮城県)。アップダウンに富み、中高速コーナーが程よく組み合わされたテクニカルコース。天候の急変などもあり、レースは激戦となることも多い。
 HSV-010 GT勢にとっても得意なサーキットであり、2011年にはEpson HSV-010が3位入賞を果たしている。好調の波に乗り、表彰台獲得なるか注目したい。





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ニュルブルクリンク2014