第8戦 11月5日(金)~11月7日(日) MSCC東京ラリー2010
2010年チャンピオン奪還の勝田が最終戦も有終の美を飾る!

今夏の猛暑がすごかっただけに、紅葉が棚倉周辺の山々を鮮やかに彩る。

今シーズンの全日本ラリー最終戦は、紅葉が深まった福島県東白川郡棚倉町で行われた。13本のSS約68kmを含む総延長約520kmの構成。ダンロップ勢の注目は、前戦MCSCで総合チャンピオンを確定させた勝田範彦/足立さやか(インプレッサ)。今シーズン好調の勝田がどこまで勝ち数を伸ばすか?そしてJN3クラスのチャンピオンがかかる香川秀樹/船木一祥(インテグラ)など。東日本地区戦も併催され49台のラリー車が、スタート会場のルネサンス棚倉をスタートした。
山並みに立つ木々は深く紅葉し、空は雲ひとつない秋晴れ。朝には厳しい冷え込みの中3℃近くまで気温が下がった。だが日中は半袖で過ごしたくなる20℃近辺まで上がる。大きな寒暖差の中、オールグラベルのSSコースでは所々にウエット路面が顔をのぞかせる。

DAY1を終え、サービスに戻ってきた勝田が駆るインプレッサ。そこではDAY2に向け、サービス作業が黙々と進められていく。

12.5kmで、今回の最長SSとなるManahataYamizoからラリーはスタート。10分18秒6のベストタイムをたたき出し、ここで飛び出したのは勝田。約2秒差でこれに続いたのは鎌田卓麻/伊勢谷巧(インプレッサ)。久々の全日本ラリー参戦となる鎌田は、この後も好タイムを叩き出し勝田を苦しめることになる。3位には奴田原文雄/佐藤忠宜(ランサー)がつけた。SS1をリピートするSS2、いきなりロングSSが2本連続するハードな設定。ここでSS1から10秒近くタイムアップを果たした奴田原と鎌田が、勝田を抜き去る。SS3はスタート会場ルネサンス棚倉の裏側に設定された500mと超ショートのギャラリーステージ。ここでも奴田原、鎌田がワン・ツーでセクション1をリードしてサービスに帰ってきた。
ここまでトップ奴田原に4.7秒差をつけられ、勝田は3位。セクション2最初のSSは、先程のショートSSのリピートからスタート。ここでも奴田原と鎌田が速さを見せる。SS5はタイムスケジュールに遅れが生じたためキャンセル、そして迎えたステージは8.57kmのSS6(Higashinobokuya)。ショートSSで後塵を配していた勝田だったが、ここで奴田原を1秒上回るベストタイム。鎌田はタイヤバーストで、交換に時間がかかり6位まで順位を落としてしまう。続くSS7は2.67kmのショートステージ。ここで奴田原がコンマ2秒返す。この日最後のSS8は、SS6をリピートする8.57km。このままDAY1が終了するかと思われたが、風向きはチャンピオンに吹いていた。SS6の時よりも1秒近く自己タイムを更新しベストを奪った勝田に対し、奴田原はタービンにトラブルを抱え10.8秒差の3位。ここで勝田が奴田原に6秒の差をつけて逆転。総合トップの座を奪い返してDAY1は終了した。

今回もライバルをスパートで抜き去り突き放す、完璧なラリー展開で優勝を飾った。8戦中6勝という圧倒的な勝率、勝田範彦は速さだけでなく明らかに強くなった。

あけてDAY2、天候は昨日同様にラリー日和な秋晴れ。残すSSはMuroOodairagusa(5.01km)を3回とMikabubokuya(2.67km)2回をリピートする5本。前日のタービントラブルをサービスで必死に修復した奴田原の調子が気になるところ。だが、ここから勝田が王者の貫禄を見せつける。SS9で2.9秒、SS10で2.2秒、SS11ではベストタイムで3.4秒差をつけて奴田原を突き放す。SS12でも0.1秒、今シーズン最後のSS13では1.6秒差をつけてこの日2回目のステージベストタイム。
「今までグラベルは苦手といわれてきましたが、今回はがんばって勝てました」と笑顔の勝田、終わってみれば2位奴田原との差は16.2秒。DAY1後半からDAY2にかけて見事なまでのラストスパートで、一気に抜き去り突き放した。3位には前戦のMCSCで確実な手応えをつかんだ福永修が入った。これで勝田は今シーズン8戦で6勝を挙げ、チャンピオン獲得に自ら花を添えた。

最終戦までもつれ込んだJN3クラスのチャンピオン争い。ラリーの流れは明らかに香川秀樹/船木一祥(インテグラ)に向いていた。ライバルたちの脱落を尻目に完走してチャンピオンを獲得!

JN3クラスではチャンピオン争いが最終戦までもつれ込んでいた。係数2のグラベルラリー2回をきっちりと勝って、シリーズランキングトップに立つ香川秀樹/船木一祥(インテグラ)。逆に得意のターマックで4回勝っているものの、グラベルではノーポイントの眞貝知志/田中直哉(インテグラ)。対して最大係数2.5、地元北海道での優勝が大きく効いて最終戦まで権利を残した田中伸幸/遠山裕美子(ミラージュ)。この3人がチャンピオンをかけ、最終決戦を棚倉町で繰り広げた。
オープニングのSS1でトップを奪ったのは香川。だがここで田中が早々とリタイアでチャンピオン争いから脱落してしまう。流れは大きく香川に傾いた。TC3に帰ってくると、眞貝のマシンから異音が……。ミッショントラブルでリタイア。この時点で香川のチャンピオンが確定した。ここで香川は、走り切ってチャンピオン獲得を目指すことに。上原利宏/郷右近孝雄(シビック)、曽根崇仁/桝谷知彦(セリカ)に抜かれ、トップに立っていたのは松原久/香川俊哉(ブーン)。DAY1終了時点で香川の順位は4位。「勝ってチャンピオンを決めたいのはもちろんですが、リタイアして決まることだけはイヤだった。チームの監督からもそう言われましたし」と香川。

序盤で稼いだマージンでトップの座を譲らなかった松原久/香川俊哉(ブーン)。上原利宏、曽根崇仁らの追撃を振り切って全日本初優勝を飾った。

対して好調にラリーを進めた松原は、一度もトップの座を譲ることはなかった。「路面を気にして走りました。今日(DAY2)の1本目を走って優勝を確信しました」と松原。今シーズン最後の戦いで、嬉しい全日本初優勝を飾った。香川もしっかりとコースを走りきり、今シーズン自他ともに認められる見事な結果を残した。

終始安定した走りでトップを守った鷲尾俊一/鈴木隆司。コンマ差まで詰め寄ったライバルたちのリタイアなどもあり、第2戦以来の今シーズン2勝目を挙げた。

12台と多くの台数がエントリーしたJN2クラス。デミオやヴィッツ、そしてスイフトなど様々なクルマで争われるクラスだ。そんな中で一発の速さこそないものの、確実にタイムを刻んだ鷲尾俊一/鈴木隆司(スイフト)。序盤こそ、ライバルとのシーソーゲームに終始していたのだが、SS6でトップに立つと、その後はトップを譲らず、全日本レギュラードライバーの貫録を見せつけ、今季2勝目をゲットした。
今シーズン様々なカテゴリーで優勝を飾ったダンロップユーザーたち。この好調さを来年つなげて、全日本ラリーを盛り上げてほしい。

Global Race Category
Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014