第6戦 9月24日(金)~9月26日(日) 新城ラリー2010
3か月ぶりのタ―マックラウンド。
ダンロップ、全クラス制覇! JN2天野が念願のチャンピオン獲得!


幅広い2車線の道路を使用した「作手」も新城ラリー名物のステージ。ハイスピードなバトルが繰り広げられる。

全8戦で戦われる今年の全日本ラリー選手権も第6戦を迎え、各クラスではタイトル争いも激戦の真っ只中。その戦いの舞台となるのは愛知県新城市、戦国時代に織田信長、徳川家康連合軍と武田勝頼軍との大規模な合戦が行われた「長篠の戦い」の地、この地を舞台に「新城ラリー2010」が開催された。この新城ラリーは地域再生法に基づき内閣府の認定を受けた「DOS(Do Outdoor Sports)地域再生プラン」の中心事業として新城市の協力のもと今年も開催。競技と平行に行われるイベントも豊富で、有名ドライバーによるデモンストレーションランやトークショー、完全無料のスペシャルステージ観戦は今年も行われ、昨年を上回る大勢の観客を集め、観戦ステージでは大声援が送られた。ステージは新城名物、ロングステージの雁峰(がんぽう)林道含む4本のステージを使用、2日間、全13SS、SSの総距離は105.98kmとなっている。

タイトル奪回が見えてきた勝田範彦/足立さやか(インプレッサ)。次戦ハイランドで決めるのか!

初日のDAY1。朝10時から多数の観客に囲まれた中、セレモニアルスタートからラリーは戦いの火蓋を切った。最初のステージはSS1「作手(つくで)1」3.81km。全線2車線道路を使った上りのハイスピードコース。各車は幅広い車線を左右一杯に使ってコーナーをクリアしていく。秋雨前線の影響からかここ数日、気温が平年より低くかったのだが、この日は朝から快晴、気温も28度を予想している。このステージでベストタイムを叩き出したのは、奴田原文雄/佐藤忠宜(ランサー)、これに柳澤宏至/加勢直毅(ランサー)、3位にはダンロップユーザーで現在ランキングトップの勝田範彦/足立さやか(インプレッサ)がトップから2.2秒差で続いている。続くSS2は今ラリー最長の「雁峰北1」。昨年まで使用していた雁峰林道のスタート側を延長、ツイスティなステージはついに19.40kmとなり、滑りやすい路面と相まって、多くの選手が手こずる事となった。ここで勝田が2番手タイムの徳尾慶太郎/大庭正爾(ランサー)を22秒6引き離す、17分41秒8の驚速タイムでステージベストをマーク。一気に首位に浮上した。SS3はサービスパークから徒歩でアクセスできる、4.15kmのギャラリーステージ「ほうらいせん1」はスタートが上りで後半が下りの典型的な山越えステージ。下り坂になってからは日陰の場所が多く、コースを苔が覆い非常に滑りやすい路面となっている。朝から詰め掛けた観客が見守る中ここで、ダンロップを履く杉村哲郎/立久井和子(インプレッサ)がステージベストをマーク、2位に浮上するが首位の勝田は確実に2番手タイムをマークし、24秒6のセーフティマージンをキープしている。SS4からは2周目のループに入るのだが、順番はシャッフルされ最初は2回目の19.40km「雁峰2」。ここでも勝田が17分35秒3のスーパータイムを記録、2番手タイムで2位に浮上してきた、高山仁/広田紗貴子(ランサー)に38秒8にまでリードを広げた。DAY1残りのステージは「ほうらいせん2」、「作手2」、「雁峰北3」の3本。杉村と高山の両者がやりあっているすきに、勝田は危なげない走りで2番手、3番手タイムをマーク、この日最後のSS7終了時点で2位高山に42秒ものマージンを得、試合巧者ぶりを存分に発揮した。しかし2位高山と3位杉山の差はわずか4秒9、この2位争いは翌日のDAY2に持ち越される事となったのだが、4位徳尾とは1分16秒3と大差があり、DAY1はダンロップが1位から3位までを独占することになった。

26歳の若手、高山仁/広田紗子(ランサー)。ランキングも遂に3位に浮上、JN4クラス活性化の台風の目となるか!

翌日のDAY2も朝から快晴の空模様。この日のステージはここ数年DAY2専用で使われる4.58km「大平逆走」に、DAY1「雁峰北」の西側に位置する7.24km「雁峰西」、それにDAY1でも使われたギャラリーステージ「ほうらいせん」の3本を2回ループする6SSで構成される。最初の「大平逆走1」で勝田が3分46秒7でステージベストを奪う。セーフティマージンがあるにもかかわらず、その走りにはペースダウンは全く感じられない。注目の2番手争いは、3位の杉村が高山を2秒6上回り、合計タイム差は2秒台に突入してきた。首位の勝田は続く「雁峰西1」でもステージベストをもぎ取り、順調にその差を広げていく。杉村はここでも高山との差を少しずつ縮め、その差僅か2秒1と、息をもつかせぬ展開になってきた。そして1ループ目最後のSS10「ほうらいせん3」で勝田は3連続ステージベストをマークして、その走りは全く手がつけられないモードに突入してきたようだ。このあと残りの3本のSSも勝田がステージベストを奪取、DAY2を完全制圧。他を全く寄せ付けない完璧な勝利を手にした。これで勝田は今季6戦4勝でポイントを172まで伸ばし、ランク2位の奴田原が今回リタイヤした事で、差を50ポイントにまで広げ、悲願のタイトル奪回が見えてきた。一方、窮地に立たされていた2位の高山は、ラスト2本となったSS12で渾身のスパートを開始。杉村を2秒1差で下し、その差を4秒5に広げたところで勝負あり、2位表彰台を獲得することとなった。追撃及ばなかった3位の杉村まで、JN4はダンロップが1-2-3フィニッシュを決めている。

JN3で雁峰林道を制した眞貝知志/田中直哉(インテグラ)。JN4を喰う走りは圧巻!

大挙22台ものエントリーを集めたJN3。SS1「作手1」から眞貝知志/田中直哉(インテグラ)が2分23秒6でトップタイムを奪いまずは飛び出す。ダンロップユーザーでランキングトップの香川秀樹/船木和祥(インテグラ)は眞貝から4秒9離され、5番手スタートとやや精彩がない。眞貝はその後も好タイムを連発、SS3終了時点で2番手の上原利宏/郷右近孝雄(シビック)に19秒1差をつけ、総合でも5位と早くも独走状態となった。中でも圧巻だったのが19.4kmの「雁峰北2」で出したタイムは17分57秒8。このタイムは総合でも3番手と信じられない速さで、ようやく2位に浮上した香川よりも約20秒も速いタイムと、手の施しようがない領域に突入していた。結局、眞貝はロングステージで抜群の速さを見せ続け、2位の上原に1分26秒7のタイム差でぶっちぎりの今季3勝目を手にした。ランキングトップの香川も3位にまで挽回、2位以下とのポイント差を広げることに成功、念願のチャンピオンに向けまた一歩前進することとなった。

念願だったタイトルを早々と手にした、天野智之/井上祐紀子(ヴィッツ)。

ダンロップユーザーの天野智之/井上祐紀子(ヴィッツ)がランキングトップを独走するJN2は9台がエントリー。SS1「作手1」ではJN1からスイッチしてきた中西昌人/北川紗衣(スイフト)が2分35秒9でトップタイムを奪い、天野と菅野正之/御領親之(コルト)は2分39秒7の同タイムで仲良く2番手ポジションを確保していたのだが、今回の勝負どころである、SS2「雁峰北1」で天野が中西を59秒5も引き離すトップタイムでいきなりの大逆転。続く「ほうらいせん1」、「雁峰北2」とSS2から3連続トップタイムを決め、早くも1分50秒近くのアドバンテージを築いた。翌日のDAY2でも天野は2位以下とのタイム差を完全にコントロール、余裕とも言える今季4勝目を手にした。この結果JN2クラスは天野がランキング2位以下を大きく引き離し、昨年なしえなかったチャンピオンを2戦残して、手にすることとなった。


今回の新城ラリーは、19.4kmのロングステージ「雁峰北」を制したダンロップドライバーが全クラスを制する結果となった。まだチャンピオンが決定していないJN4、JN3でもダンロップユーザーがランキングトップを堅持しており、次戦ハイランドマスターズではJN2に続くチャンピオン奪取の朗報を期待したい。
Global Race Category
Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014