第5戦 7月16日(金)~7月18日(日) 2010 Rally in Shiribeshi
2クラスで優勝を飾ったダンロップ勢!
JN4クラスでは勝田がシリーズ首位をがっちりキープ!


羊蹄山の麓にステージが設定されダートを駆け抜ける勝田範彦/足立さやか(インプレッサ)。

 全日本ラリー選手権第5戦の舞台は再び決戦の地を北海道に移し、倶知安町周辺を中心に近年で稀に見る激しい戦いが繰り広げられる事となった。この倶知安町での全日本ラリー選手権の開催は今年が初めて、一昨年まで10年間に渡り開催されていた小樽郊外赤井川村周辺での「キロロトラバース・カムイミンダラ・ラリー・イン赤井川」この赤井川と倶知安町を結ぶ国道がこの度、開通を迎えた事で赤井川でも使用されていたスペシャルステージも織り交ぜたステージ構成で名称も「ラリー・イン・シリベシ(後志)」として新たに開催された。ここ最近は全国的に不安定さを見せる天候。その気になる天候だがDAY1のスタート時、空には晴れ間が広がり、気温は24度近くまで上がる本格的な夏の天候の中、各車がスタートを切った。

最後まで優勝を諦めず攻めの走りを続けた勝田範彦/足立さやか(インプレッサ)。

 競技はギャラリーが見守るSS1「HSP 1」1.32kmのステージからスタート。このSS1でステージベストをマークしたのはチャンピオンの奴田原文雄/佐藤忠宜(ランサー)、これにダンロップユーザーの石田正史/竹下紀子(ランサー)が僅差の0.3秒差で続き、タイトル奪回を狙うダンロップユーザーで現在ポイントリーダーの勝田範彦/足立さやか(インプレッサ)は奴田原から2秒2遅れの6番手スタートとなった。続くSS2は10.08kmの「BROOK Trail 1」このステージからJN4クラスが大きく動き始める。3番手に付けていた大嶋治夫/井手上達也(ランサー)が2位より5秒近くも早い8分13秒1のステージベストで抜けに出ると、今ラリー最長のSS3「KIRORO Traverse 1」19.18kmでも連続してステージベストをマークし大嶋一人が更に大きな差を広げる。2位に岩下英一/高橋昭彦(ランサー)、3位に星野博/石田裕一(ランサー)とスポット参戦の3台がポイントランキング上位のドライバー達を押し退け上位に付ける。SS4は再びギャラリーステージの「HSP 2」1.32km、2位に付けていた岩下がリタイヤとなりグラベルラリーならではのサバイバルさを見せ始めた。この岩下のリタイヤで勝田が3位に浮上。SS1では遅れをとったもののその後は着実にタイムを伸ばし2位の星野に4秒1差まで詰め寄る。SS5は本日3度目の「HSP 3」、距離の短いこのステージでは大きな動きが無いが奴田原がステージベストを獲得し勝田との差を縮めた。SS6「BROOK Trail 2」、この10.08kmのステージでは現在クラス7番手のダンロップユーザー福永修/奥村久継(ランサー)がステージベストをマークし上位勢の戦いに喰らいつく。SS7「KIRORO Traverse 2」、ここでコースオフにより石田正史が惜しくもリタイヤとなってしまう。また、このステージで2位の星野がタイムを落とし勝田が代わって2位へポジションをアップ。ステージベストをマークした奴田原が2位に浮上した勝田との差を更に18秒1にまで詰め寄る展開に。このDAY1最終のSS8はギャラリーステージの「HSP 4」、奴田原がまたもステージベストをマーク、勝田も2番手タイムでトップ大嶋との差を44秒6としてDAY1を終えた。

2位表彰台の獲得でシリーズトップをキープする勝田範彦/足立さやか。

 翌DAY2、この後志地方は昨晩遅くに雨が降り、路面コンディションに大きな影響は無くやや路面を湿らしSS9「LAVENDER 1」7.2kmのステージを迎えた。DAY2最初のこのステージからトップの大嶋に対し、追い掛ける勝田、奴田原のそれぞれがペースアップし激しい展開を見せ始めた。奴田原がこのSS9でステージベストをマークするとこれに勝田が続き大嶋は3番手、大嶋との差が少しずつだが縮まり始めた。SS11「KIRORO Traverse 3」、このDAY2でも19.18kmの最長ステージが設定されていて勝負所となると誰もが注目を集める。ここでもステージベストは奴田原、更に差を縮められた勝田だがトップの大嶋がタイヤバーストで大きくタイムを下げ40秒2あった差が一気に10秒ジャストまで縮まった。しかし後ろからは連続してステージベストを叩き出す奴田原が2秒差にまで迫る。SS12は6度目の「HSP 6」1.32kmの短いステージで1分39秒2の奴田原がステージベスト、勝田が0秒6差で2番手、大嶋は1分40秒7でまたも三人の差が少しだが縮まった。残すステージはSS13とSS14の2つ、最終ステージのSS14は1.32kmの「HSP 7」は距離が短く、勝負を掛けるのはこのSS13「LAVENDER 2」7.2kmのステージになる。このステージでトップの大嶋がここに来てステージベストを獲得。勝田は大嶋に差を広げられてしまうが逆に奴田原との差は広がり、2位のポジションは濃厚になった。残す最終ステージで、勝田は逆転優勝に希望を残し走行。今ラリー初のステージベストを獲得し最後の最後まで諦めない闘志を見せつけた。トップの大嶋はそのままゴールし優勝を獲得。勝田は激しく迫られていた奴田原の追撃をかわし2位表彰台を獲得。優勝は逃してしまったがライバル奴田原とのポイント差を更に広げる結果となった。

今シーズン、グラベルラリーで2勝目の挙げた香川秀樹/船木一祥(インテグラ)。

 JN3クラスはDAY1のSS1スタート後、トップに立ったのは昨年度のJN2クラスチャンピオン田中伸幸/遠山裕美子(ミラージュ)。第3戦のラリー北海道で優勝している田中はここ北海道が地元とあってこのラリーでもダンロップ勢の強敵になるに違いない。その田中の後続には松原久/香川俊哉(ブーン)をはじめ、森博喜/藤網和敏(セリカ)、高橋悟志/箕作裕子(レビン)のダンロップユーザーが追い掛ける。続くSS2では8分50秒5のクラスベストをマークした森が田中を抜きトップに立つと、このステージで2番手タイムを出した香川秀樹/船木一祥(インテグラ)がクラス10位から一気にポジションを4位まで上昇させる。SS3では再び田中がクラストップタイムを出しトップに返り咲くと、これにダンロップユーザーでは香川が続きクラス2番手まで追い上げてきた。SS4・SS5と連続で田中にクラストップタイムを奪われるもSS6では田中が大きくタイムロスした事で遂に香川がクラストップに立つ。SS7は香川が今ラリー初のクラスベストでトップを守るがDAY1最終のSS8を終えて田中に総合タイムで1秒2差をつけられクラストップを奪われてしまいDAY1が終了する。

クラス優勝で終止笑みが耐えない香川秀樹/船木一祥。

 実質、優勝争いは田中と香川に絞られ、迎えたDAY2でもこの二人の戦いが激しく展開。1秒2差で田中を追い掛ける香川はSS9でクラスベストをマークし5秒1のアドバンテージを築き再びクラストップへ。続くSS10は田中、SS11は香川とそれぞれがクラスベストを奪い合いトップの香川が6秒4のアドバンテージを確保して最終サービスへと戻る。残る3つのステージでも二人がクラスベストの獲得が交互に続き最終のステージSS14を残して香川が7秒1のリードを保っていた。そして優勝が決まるこのSS14は田中にステージベストを奪われるが香川が4秒の差を守りきり優勝を獲得。田中との一騎打ちとなったDAY2での戦いを見事香川が勝利しJN3クラスの優勝を獲得。今シーズン2勝目を飾り、ポイントランキングでも堂々のクラストップを守った。

4分以上のアドバンテージを築き今季3連勝を達成した天野智之/井上裕紀子(ヴィッツ)。

 6台のエントリーで争われたJN2クラス。今ラリーと同じグラベルラリーでの第2戦ひむかラリーで優勝を飾ったダンロップユーザーの鷲尾俊一/鈴木隆司(スイフト)がSS1でクラスベストを獲得し幸先良いスタートを切った。SS2では現在ポイントランキングで大幅なリードを保ちトップを行くダンロップユーザーの天野智之/井上裕紀子(ヴィッツ)がクラスベストを獲得しトップの鷲尾に続く。SS3でもクラスベストを獲得した天野が鷲尾をかわしトップに立つとSS4も連続してクラスベストをマークし1回目のサービスを迎えた。その後のSS5・SS6・SS7とSS3から数え5連続のクラスベストをマークした天野は気づけば2位以下に3分12秒もの大差を築きあげていた。SS8では3位にポジションを下げていた鷲尾がクラスベストで2位の畠山貴之/伊勢谷巧(ヴィッツ)を追い掛ける状況でDAY1が終了。

タイトル獲得に大きく近づく天野智之/井上裕紀子。

 天野が大量のリードを保ちDAY2をスタートするとSS9でもクラスベストをマークしトップを独走。これを追い掛ける2位争いが激しい展開を見せ始める。2位に付ける畠山と3位の鷲尾との差は41.2秒。この差がステージを重ねる度に縮まり始め、SS10を終えて24秒3差あった畠山と鷲尾の差は次のSS11で畠山がタイムを大きくロスした事で鷲尾が逆転し2位へと浮上する。2位に上がった鷲尾は最終ステージでもクラスベストを獲得し2位表彰台をゲット。トップは天野が最後まで守り続け4分以上の差を広げ見事クラス優勝を飾った。天野は第3戦のラリー北海道から三連勝を達成。タイトル争いでも更に優位に立つ優勝となった。


 JN1が不成立となった事でJN4、JN3、JN2の3クラスが成立。その内2クラスでダンロップが優勝を遂げる活躍を見せた今ラリー。次戦は9月24日に開催される第6戦の新城ラリー。多くのラリーファンを集めるこのラリーでタイトル争いも更に激しいものになるに違いない。大注目の一戦でもダンロップユーザーが活躍するに違いない。
Global Race Category
Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014