第2戦 4月29日(金)~5月1日(日) 久万高原ラリー
天候の変化にも安定した性能を発揮した87R
各クラスで表彰台を独占!


メロンちゃんとの痛車対決も含め注目のサトリアネオが投入されたJN3クラス。マシンのポテンシャルは上々でこれからの戦いに期待が持てそうだ。

国内モータースポーツも各カテゴリーで幕を明け、本格的シーズンインが到来した。全日本ラリーは唐津での開幕戦から、瀬戸内海を越え愛媛県浮穴郡の久万高原へと第2戦の会場を移す。四国山地西部に位置する標高1,982mの石鎚山は、近畿以西の西日本最高峰であり、空海も修行したとされる霊峰。この石鎚山にほど近い久万高原で開催されるラリー。そのため朝と昼との温度差も大きく、天候の移り変わりが激しい。
ゴールデンウィーク序盤に開催された今回のラリーは、4月30日の昼12時10分にスタートし翌5月1日の14時49分に1号車がゴールするというもの。ここ数年ターマック路面で行われていたが、ことしはグラベルでの開催。Day1ではイワタケ(3.28km)、安田(6.35km)の林道に美川スキー場でのギャラリーステージ。Day2に入ると場所を移し大谷支線(7.04km)、大野ヶ原線(9.08km)と同じくスキー場のギャラステが組み合わされる。トータル14SS、総走行距離202.83kmで争われた。第2戦以降3戦連続で続くグラベルイベント。ダンロップ勢にとっては、今シーズンデビューした最新のダートタイヤDIREZZA87Rの実戦ポテンシャルを試す上でも重要なイベントとなる。
注目はもちろん2年連続総合チャンピオンを目指す勝田範彦/足立さやか(インプレッサ)。開幕戦優勝からスタートダッシュをかけたい勝田だが、ターマックで開催されていた昨年までの久万高原ラリーで4連覇を飾るなど四国との相性は抜群。ニュータイヤ87Rとの組み合わせでどんな結果を残してくれるかも楽しみだ。そして今シーズンからキャロッセによりJN3クラスに投入されたニューマシン、プロトンのサトリアネオの走りにも注目が集まる。ラリーは薄曇りながらスタート時には太陽も顔をのぞかせ、20℃近くまで気温が上がったドライコンディションの中スタートした。

今回は今ひとつトップを追い込めなかった勝田だが、次戦のひむかをシリーズリーダーで迎えられることは大きなアドバンテージとなるだろう。

13台がエントリーしたJN4クラス。オープニングのSS1でトップタイムを刻んだ勝田。だがSS2安田に入ると路面が大きく変わった。砂利が表面に浮き、その下から大きめの根石が顔をのぞかせる路面コンディション。ゼッケン1番で先頭ランナーの勝田は、砂利掻きとともに慎重なドライビングを余儀なくさせられる。ここでトップに立ったのは奴田原文雄/佐藤忠宜(ランサー)。そして奴田原と勝田の間に割って入ってきたのが桑田幸典/澤田耕一(ランサー)エボIXだった。悪路に強い桑田はその後も好タイムを重ね、セクション1ではトップ争いに絡んできた。美川スキー場でのサービスを挟み3本のSSを走るセクション2。ここに入るとキャロッセの柳澤宏至/中原祥雅(ランサー)、ここ一発の速さを見せる福永修/奥村久継(ランサー)の調子が上がってきた。だが終始安定してトップタイムを叩き出す奴田原にじわじわと引き離される勝田。Day1を終わってみるとトップ奴田原に11.1秒差で勝田。続く3位に柳澤、そして健闘の桑田は4位につける。「今日は距離の短いSSが多くて今ひとつテンポがつかめなかった。でもタイヤを8本温存できた。明日はプッシュしますよ」と勝田。翌日の天気予報は雨。まだまだ予断の許さない展開が待ち受ける。

荒れたグラベル路面で、速さを見せた桑田。ウエットのSS11ではトップタイムを叩き出すなど、勝田と奴田原のトップ争いに割って入る活躍で3位。

明けてDay2。予報通り朝から冷たい雨が降りしきる。大谷支線を使用する日曜日のオープニング7.04kmのSS7。奴田原の2.4秒後方につけた勝田は徐々に調子を上げ始める。このラリー最長9.08kmの大野ヶ原線でのSS8で1.2秒、スキー場でのSS9で0.3秒。そして大谷支線と大野ヶ原線をループするSS10で3秒、SS11で1.3秒差を詰める。この時点で奴田原との差は7.7秒とワンミスで逆転の位置でプッシュする。残すSSはスキー場でのギャラステ2本と7.04kmの大谷支線の3本のみ。だが、今回の勝田は何かが咬み合わなかった。SS12のギャラステでエンジンストール、続くSS13ではゴール手前1kmでギヤが1速にしか入らなくなってしまうトラブルを発生。SS14を1速のみで走り切ったものの、最終的には奴田原と26.8秒差の2位に終わる。だが今回の2位でポイントリーダーを守り、残るグラベル連戦に挑むことができた。次戦HIMUKA RALLY in美郷は勝田が得意とする1戦。前半戦でライバルに差をつけるには、またとないチャンスだ。次戦での勝田の活躍に期待しよう。
今回JN4クラスで予想以上の大活躍を見せた桑田幸典/澤田耕一(ランサー)。荒れ気味のグラベル路面を得意とする桑田は各SSで速さを見せた。SS2で勝田と奴田原の間に割って入ると初日を4位で終える。2日目最初のSS7で3位を行く柳澤がコースアウトすると、次のSS8で福永との争いから抜け出て単独で3位に。最長距離、大野ヶ原線で2回目のSS11では奴田原と勝田をも押さえてのベストタイム。自身ベストリザルトの3位に、これからの活躍が楽しみだ。

トラブルから下位に沈んだもののそこから追い上げを見せた香川。3連続ベストでトップを奪い返すと逃げ切って逆転優勝を飾る。ことしのJN3は熱い!

今回のJN3クラスは話題が満載だった。というのも冒頭に書いたようにキャロッセが投入した3台のサトリアネオ。そのボディにはオリジナルキャラクター『高崎くす子』のカラーリングが施されていた。対してターマック無敵のメロンブックスチーム、眞貝知志/田中直哉の『メロンちゃん』との痛車対決にも注目が集まる。国内実戦初投入ということもあり、サトリアネオ勢は慎重なドライビングでラリーを進める。だが、ダンロップユーザー期待の石川昌平/菅野総一郎(サトリアネオ)はSS5でコースアウトリタイヤと残念な結果となってしまった。一方、眞貝は苦手のグラベル路面に手こずりながらもDay1を3位で終える。ウエットコンディションとなったDay2でも、入賞圏内を維持していたがSS13でコースアウト。惜しくもリタイヤとなってしまった。だが、これからもメロンvsくす子の痛車対決には注目が集まることだろう。
JN3クラスのトップ争いに話を移そう。オープニングのSS1を制した松原久/香川俊哉(ブーン)だったが、続くSS2でメカニカルトラブルが発生してしまい、早々とDayリタイヤ。ここからトップに立ったのは、香川秀樹/嶋田創(インテグラ)。SS3~4と安定したタイムを刻んでいた香川だったが、SS5で失速。間隙を縫ってトップに立った曽根崇仁/桝谷知彦(セリカ)から36秒差の7位に落ちた香川。だがDay1最終のSS6でベストを奪うと、日付を挟んで3連続のSSベストで一気に2位まで復活する。首位を行く曽根との激しい応酬の後、SS11最長の大野原線で曽根を9秒近く引き離すスーパータイムでトップを奪い返す。残る3SSで追い込んできた曽根を2.4秒かわした香川は、2010年第5戦以来、3度目の全日本優勝を飾った。

ベテランドライバーの増川が全日本初優勝を飾ったJN2クラス。天候の変化があった中でも終始安定した走りで6本のSS奪取は、経験値の高さを感じさせた。

ヴィッツやスイフト、デミオやコルトなど現行車両で争われるJN2クラス。コチラもクルマづくりも含め話題が豊富なクラスだ。トップ争いを繰り広げたのは増川智/赤木弥生(ヴィッツ)と中西昌人/北川沙衣(スイフト)の両ベテランドライバー。4本のSSでトップタイムを奪った中西だったが、6SSを奪った増川に追いつくことが出来ない。最後は中西にペナルティがついて万事休す。増川の全日本初優勝が決まった。

約1年ぶりの参戦となったブーボーの村田。各SSでクラス越えの速さを見せ総合でも12位に入る健闘ぶり。全日本ラリー優勝は3年ぶりとなる。

5台の参加で成立したJN1クラスだが、早々に2台がリタイヤするなど、村田康介/平山真里(ストーリア)が抜け出る。昨年の久万高原ラリー以来、約一年ぶりの全日本参戦となる村田。だが、その速さは健在!全SSでトップタイムを奪い、総合でも12位に入る走りを見せた。結果的には2台の完走で、2位山口貴利/山田真記子(ストーリア)も同じショップ、ブーボー同士での対決の様相。村田は3年ぶりの全日本ラリー優勝を飾った。
Day1のドライ、Day2のウエット路面。JN4こそトップを譲ったが、快走を見せた桑田をはじめJN3、JN2ともにトップ選手は最新の87Rをチョイスした。今回はJN4以外の3クラス制覇。幅広い路面状況に対応する87Rの特性と乗りやすさが生んだリザルトともいえる。今後のグラベル路面での戦いに期待がかかる。
Global Race Category
Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014