DUNLOP MOTORSPORT
ドライバー
第1戦 4月6日(金)~4月8日(日) ツール・ド・九州2012 in 唐津
開幕戦連勝記録更新の勝田範彦と眞貝知志
86のデビューと話題満載の全日本ラリーが開幕!


注目のスポーツカー86が4月6日の発売後、早くも全日本ラリー開幕戦でデビュー。ステアリングを握るのは、昨年JN3クラスシリーズランキング2位の筒井克彦だ。

2011年最終戦の新城から約半年を経て、ついに2012年全日本ラリーの開幕戦、ツール・ド・九州が佐賀県の唐津で開催!唐津ICから北西に位置する唐津港に設けられたサービスパークには、40台のラリー車が集結した。金曜日には、ここ数年恒例となっているエントリー全員での唐津神社への祈願。華やかなセレモニアルスタートが行われる中、一段と注目を集めたニューカマーが。筒井克彦/船木一祥組のGAZOO Racing ラック86には、スタート前から観客のみならず多くの関係者が集まった。シーズンオフに行われたラックのドライバーオーディションから86に乗ることになった筒井。昨年はS2000を駆りJN3クラスのシリーズ2位に食い込むなど速さを見せる選手。またGT選手権やスーパー耐久にも参戦経験があるマルチドライバーだ。共同記者会見では、「予想以上にコーナリングも速く、エンジンも下から回るのでラリーに向いていると思います。本格的な林道のテストができていないこともあり、セッティングをこれからどこまで詰められるかが課題ですが、活躍できるように頑張りたいと思います」と意気込み十分。

全日本ラリー開幕戦では恒例となった一コマ。唐津神社へエントリーする選手全員でのお参りに、2012年のラリーシーズンインを実感する。

また2006年から全日本ラリーの開幕戦ツール・ド・九州が行われている佐賀県唐津市は、主催者と自治体の連携も抜群。JR唐津駅近くという絶好のロケーションに設置されたラリーパークをスタート&ゴール、さらにギャラリーステージが行われた。多くの観客が全日本ラリーを直に見て肌で感じることが出来たはずだ。そしてもう一つ注目なのが7年連続の同一イベント、さらに開幕戦優勝がかかるチャンピオン勝田範彦。今シーズンもナビの足立さやかとコンビを組み、インプレッサで参戦する勝田。ライバルの奴田原文雄をはじめ、今シーズンからインプレッサに乗り換えた福永修、昨年速さを増した高山仁など強豪ひしめくJN4クラスでの偉業達成に期待がかかる。オープニングのSS1は、いきなり今回最長の三方ロング(10.02km)から。見所満載の条件がそろったなかラリーはスタートした。

チャンピオン勝田範彦は、今シーズンもインプレッサで全戦に参戦。今回の開幕戦は、ツール・ド・九州での7連覇という連勝記録がかかったイベントでもあった。

得意とするターマックステージ、しかも03Gとの相性が抜群に良いロングレンジが開幕戦最初のSS。このコンビネーションに勝田は燃えた。スタートからライバル奴田原に圧倒的なアドバンテージを築く!そのためのイメージトレーニングは万全だった。ゼッケン1をつけ、スタートした勝田。この日の気温は最高でも12℃と寒風が吹くサービスパークでは、ジャケットが必要な状況。予想以上に上がらない路面温度という不確定要素はあった。だが、SS1では2位の地元榊雅広/井手上達也(ランサー)に5.8秒、奴田原には10.7秒という大差をつけてぶっちぎる。ここから2.80kmのSS2浮岳、4.28kmのSS3林の上まで3連続ベストでダッシュ!波に乗る勝田は、ここからリピート走行となるSS4の浮岳でも自己タイムをさらに更新して4連続ベスト。続く林の上のSS5では奴田原が意地を見せて0.6秒上回ったものの、セクション1を走り終えた時点で2位の榊とは10.6秒差。「ロングステージは行かなきゃね!」とサービスで語る勝田。その言葉にウソは無かった。セクション2最初のSS6は、2回目となる三方ロング。ここでもSS1での自己タイムを上回る快走を見せてベスト、2位との差を一気に18.4秒まで広げる。勝田の快進撃は止まらない。リピートステージとなるSS7~10まで圧巻の5連続ベスト!Day1を終えて2位奴田原に23.3秒、僅差で榊が続き4位柳澤宏至/中原祥雅(インプレッサ)には50.6秒という大差。ライバルたちも手をこまねいて見ているしかなかった。

全16SS中13SSでトップタイムを記録!圧倒的な速さと、強さを見せた2012シーズンの開幕戦。コドライバーの足立さやかとのコンビも、今シーズンで3年目を迎える。

Day2は6SS、24kmとショートレンジでの戦い。この日の気温は昼過ぎには20℃まで上がるなど上昇傾向で異なる路面温度への対応もポイント。だが10SS中9本のベストを記録した勝田の勢いは、まったく衰えることを知らない。SS11の3.63km、白木々場リバースでこのラリー10回目のベストを刻む。続く6.641kmのSS12三方ショートでも2位奴田原に2秒差をつける連続ベストで、トータルのタイム差は今回最大の25.6秒まで広がった。1.33kmと苦手のショートステージSS13の肥前こそ先行を許すものの、リフューエルを挟んだリピートのSS14、15で再度ベスト。この日設定された6SS中4本でベストを記録して、最後は24.6秒差をつけて7年連続同一イベント&開幕戦優勝と自己の記録を更新した。2012年のシーズンで最高のスタートを切った勝田。優勝とともに2日間のDayポイントまで、文句なしの満点をゲットした。

こちらも連覇記録を更新した眞貝知志/田中直哉組のメロンブックスインテグラ。全日本ラリー初の痛車チャンピオンは、シリーズ連覇に向けて順調すぎる滑り出しを見せた。

筒井/船木組のGAZOO Racingラック86のエントリーに注目が集まったJN3クラス。だが注目すべきはそこだけじゃない。同一イベント&開幕戦の連覇記録を続けているターマックキング、3連覇を継続中の眞貝知志/田中直哉組のメロンブックスDLテインBRIGインテだ。特に昨年はトラブルで最下位に落ちながらも、大逆転で優勝。ドラマチックなエピソードと痛車カラーリングで、観客からの注目度も高かった。SS1では8分30秒を叩き出した眞貝。ランサー、インプレッサのJN4勢をかき分け、総合7位という驚異的なタイムからラリーはスタート。続くSS2、3と連続ベストの眞貝は、この時点で2位の曽根崇仁/桝谷知彦(セリカ)に22.5秒の大量リードを築く。なんとか一矢報いたい曽根。SS2の再走となる2.80kmのSS4浮岳2で0.9秒眞貝を抑え、この日初めてのトップタイムを叩き出す。だが、眞貝がスキを見せたのはこの時だけ。残るSS5~10まで6連続ベストでDay1をゴールし、2位につけたタイム差はなんと45.2秒。セーフティーリードを保ってDay2を迎える。明けてDay2。眞貝の勢いは止まらずSS11~15まで連続ベスト。最終のSS16こそ曽根に譲ったものの、全16SS中14本でトップタイムを記録するなど圧勝。同一イベント&開幕戦4連覇を成し遂げた。「仕事が忙しかったこともあって、シーズンオフの準備があまり出来なかった。だからこそ今回はがんばらなきゃと思っていたので、優勝できてすごく嬉しいです」と笑顔で答えた眞貝。今シーズンのチャンピオン獲得に向け、幸先の良いスタートを切った。一方、注目の筒井86だが、前半のSection1ではアンダーステアが収まらない。サービスに戻りセッティングを変更すると、クルマの動きが一変し4位までポジションを回復。Day2ではドライバーの感覚も含め様々な実戦データを蓄積することができた。ラックチーム監督の勝田照夫氏は86のラリー参戦に関して、「グラベルイベントも含め、今年は86で全日本ラリーの全戦にエントリーする計画です」と明言。第2戦の久万高原でもGAZOO RacingのマシンがJN3クラスで走る事になりそうだ。86やBRZに乗り換えるという選手のウワサも各所から聞こえてきた。今シーズン、JN3は大注目のクラスとなりそうだ。

川名賢/安東貞敏組とのまれに見る接近戦に敗れたものの、3位に入賞したディフェンディングチャンピオン天野智之/井上裕紀子組のヴィッツ。

一足先に開幕した、ジムカーナやダートラなど他のカテゴリーでも全国的にエントリー台数が増えているヴィッツ、デミオ、スイフト等のFF1500cc車両。全日本ラリーでも、その流れは顕在で開幕戦となる今回、JN2クラスには一大勢力となる13台のエントリーを集めた。ラリーはJN3マシンをもしのぐタイムを連発する丹羽和彦/永山聡一郎フィットが先行して進む。だがその影で昨年一足早く新型ヴィッツを投入してJN2チャンピオンを獲得した天野智之/井上裕紀子組と川名賢/安東貞敏組の、新旧モデルが激しい2位争いを続けていた。SS1では川名に4.7秒差をつけての2番時計で天野が飛び出した。続くSS2では逆に川名が3.5秒取り返す。お互いに相手のタイムを更新し合う展開が続き、Section1を終えた時点で2位天野と3位川名のタイム差は4秒。だがSS6に入り再走となる10.02kmのロングステージで川名が3秒、続くSS7で1.1秒詰めて2位に上がる。息の詰まるような接戦はDay2の最終SSまで続き、最後は2.5秒差で川名に逃げ切られた。グラベルでの開幕となる第2戦の久万高原ラリー。次戦には天野の巻き返しを期待しよう。今シーズンはJN2の戦いからも目が離せなくなりそうだ。
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Motercycle
ニュルブルクリンク2014