第1戦 4月8日(金)~4月10日(日) ツール・ド・九州2011 in 唐津
王者の強さと最下位からの逆転優勝まで
ダンロップ勢が全クラス制覇でニッポンを激励!


全日本ラリーでは恒例となっている開幕戦での唐津神社へのお参り。今シーズンの祈願はもちろん「みんなでがんばろう日本」。

未曽有の大惨事を引き起こした東日本大震災。通常であれば3月中旬から始まる国内モータースポーツにも大きな影を落としている。お祭りムード自粛の流れの中、様々なカテゴリーの開幕戦は軒並み中止もしくは延期となった。亡くなった多くの方々には改めてお悔やみを申し上げ、被災した方々にも心よりお見舞い申し上げます。
4月8~10日に開催された全日本ラリー開幕戦ツール・ド・九州 2011 in 唐津でも、両日共にチャリティーオークションと義援金募金が行われた。ターマックイベントとして開催された今回のラリー。気になるダンロップ勢のエントリー状況だが、総合チャンプ勝田範彦/足立さやか(インプレッサ)は、昨年に引き続きラックカラーのGRBインプレッサで全戦参戦予定。状況によっては新型のスペックC投入もありうるとのことで楽しみにしたい。そして石田正史/竹下紀子(ランサー)だが、今回は震災の影響と計画停電による仕事の都合で欠場。速さを増してきたエボXだったが、不運なリタイアが続いた昨年。グラベルの開幕となる第2戦久万高原ラリーからの参加を期待しよう。

強いチャンピオンとして君臨するには是が非でも欲しい全日本タイトル連覇。勝田は開幕戦で最高のスタートを切った。

さて今回のラリー、DAY1は林の上(4.16km)、三方(6.86km)、白木々場(8.99km)をループする6本のSSトータル40.02km。DAY2は三方、白木々場に加え肥前(1.38km)を2回使う4本のSS。両日トータル58.63kmのSS距離で争われた。唐津で行われるツール・ド・九州といえば、勝田の5連覇。勝田の強さが増してきたバロメーターと言っても過言ではない。日中は18℃近くまで上がる快晴。金曜日に降った雨が気がかりだったが、林道はほぼ全線でドライ。注目のSS1でトップを奪ったのは、昨年後半から上り調子だったハセプロラリーチームの福永修/奥村久継(ランサー)エボX。今シーズン全戦参戦予定の福永は勝田に1.8秒差をつけるトップタイム。間に奴田原文雄/佐藤忠宣(ランサー)を挟んで3番手の勝田は、次のSS2から臨戦態勢に入る。今度は福永に1.6秒差でベストを奪う。
続くSS3は、今回新たに加わった今回最長の白木々場。なんと福永に6秒差をつけるスーパータイムだ。ここで逆転した勝田はサービスを挟んだDAY1後半の3ステージ中2ステージでトップを奪う3連続ベスト。対する福永は何とSS3でフライングを犯してしまう。ペナルティが加わり、勝田との差は18.1秒にまで広がった。SS2でミッショントラブルを抱えた奴田原はそのままDAYリタイア。2位にはSS6でトップタイムを刻んだ九州のターマックスペシャリスト、『エンペラー』の異名をとる榊雅広/井手上達也(ランサー)が10.7秒差、3位に福永がつける。
一歩抜きん出た勝田だったが、DAY2に入っても手綱を緩めない。今シーズンから採用されたデイごとの順位に与えられるデイポイント(1位3点、2位2点、3位1点)が頭の中にあったかもしれない。チャンピオン争いが後半までもつれるほど、1ポイントの重みは大きい。そんな事は百も承知の勝田。特にDAY1リタイヤした奴田原がミッションを修理してDAY2のグリッドに並んでいるからなおさらだ。前日に使用した三方、白木々場に加えギャラステとなる1.38kmで締めるDAY2。SS7三方でいきなり勝田が魅せた。2位榊を3.7秒引き離すスーパーラップ。SS8でも榊との差をさらに1.3秒引き離す連続ベストで強さを見せつけた。SS9、10こそ奴田原に譲ったものの、終わってみれば2位に18.8秒差の圧勝。優勝の10ポイントに、2日分のデイポイントを合わせてフルハウスの16点をゲット。同一イベント6連覇の偉業とともに2011年を幸先の良い優勝でスタートさせた。
「SS3、6、8で使った白木々場はRのきついコーナーが連続するツイスティな道。しんどかったけど、初めて走った道でベストを出せて満足です。ことしもチャンピオンを目指して頑張ります」と勝田。次戦はグラベルでの開催となる久万高原ラリーだ。ここ数年、勝田のグラベルでの速さと安定感には高い評価が付いている。開幕ダッシュを決めて早い段階でチャンピオン確定?そんな青写真も見えてきそうな強さを見せてくれた。

最下位からの逆転優勝という全日本ラリーでは聞いたことのない展開を見せてくれた眞貝。今シーズンの台風の目となるか?

昨年、JN3でターマック全勝を飾ったメロンブックスラリーチャレンジの眞貝知志/田中直哉インテグラ。昨年同様ターマック、グラベル3戦ずつのエントリー予定。今シーズン全日本ラリーに本格復帰するキャロッセ勢だが、今回は震災の影響で不参加。注目のサトリアネオとの痛車対決もJN3クラスの見所となるに違いない。だが唐津で速さを見せたのはS2000を駆るGTレーサーの筒井克彦。総合でもシングルに入るタイムを叩き出しDAY1をトップで折り返した。注目の眞貝だったが、あろうことかSS1でスピン!最下位まで順位を落としてしまった。だが、そこから眞貝がポテンシャルを発揮。筒井とトップタイム争いを繰り広げ4連続SSベストで終わってみれば7人抜きの2位。26.1秒差で筒井につけた。
6.86kmのSS7からスタートしたDAY2。3度目の走行となる三方で眞貝が渾身の走りを見せる。刻んだタイムは5分48秒6!総合でも7番手に入るスーパータイムに、筒井との差は一気に20秒まで詰まった。わずかな期待がにわかに高まり始めた、勝負のSS8。JN3トップでSSアタックに入った筒井のS2000に異変が……。ミッショントラブルでコース上にストップしてしまったのだ。走行を遮られた筒井以降の選手に同タイムが与えられ、眞貝がトップ。“最下位からの逆転優勝"というミラクルな展開が全日本ラリーで実現されようとしている。2位には曽根崇仁/桝谷知彦(セリカ)が12.7秒差でつける。だが、いかんせん残るギャラリーステージ2SSの距離が短すぎた。差はほとんど縮まらないままラリーはフィニッシュ。最下位からの逆転優勝は全日本ラリー史上でも、ほとんど稀なケース。
「あきらめないでよかった!」と表彰式で語る眞貝。痛車対決、新車両投入など派手なニュースにあふれるJN3クラス。そんな中、メロンブックスラリーチャレンジは今シーズンの台風の目となるミラクルな優勝を飾った。

上位選手の脱落があったものの、ニューマシンのデビュー戦を優勝という最高の形で締めくくった天野ヴィッツ。

JN2クラスはチャンピオンでラックスポーツの天野智之/井上裕紀子組がNCP131ヴィッツを投入。イベント初参戦となる今回だが着実にタイムを刻む。2位につけてDAY1を折り返した。一方圧倒的な速さを見せつけているのが丹羽和彦/藤田めぐみ(フィット)。七山エンペラー榊を師と仰ぎ、学生時代からここを走りこんできた丹羽。各SSでも総合シングルに入るかというタイムを叩き出し、2位天野に1分の差をつけてトップ。
だが好事魔多し。丹羽はDAY2最初のSS7でコースアウト、リタイヤとなってしまう。2位狙いのところにトップが転がり込んできた天野。「まだセッティングが煮詰め切れていませんが、そんな状態でも勝ててうれしいです」とコメント。セッティングの進化も含め、これからポテンシャルを発揮してくるNCP131ヴィッツの活躍に期待が集まりそうだ。

安定した速さで優勝を飾った西山マーチ。第2戦から始まるグラベルイベント3連戦に向け参加者の増加を期待したい。

5台の参加で成立したJN1クラス。西山敏/大谷美紀夫と山北研二/後田茂宏の2台のマーチでトップを争う展開に。ともにクラス成立を願うふたりの対決となった。DAY1は西山が5本、山北が2本のSSを奪い合う。DAy2に入るとSS8のキャンセルをはさみ、西山が徐々にその差を広げ優勝を飾る。
次戦から全日本ラリーはグラベル3連戦が始まる。グラベル比率の高まった2011シーズン、DAYごとのポイントも加算されシリーズポイントの行方は終わってみるまで分からない。開幕ダッシュを目論む選手たちには、ダンロップ勢期待のDIREZZA 87Rが投入される。全国でラリーを楽しみにしているファンに向けてダンロップが元気を与えたい。そんな楽しみな2011年のラリーシーズンが最高の形でスタートした。
Global Race Category
Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014