第9戦 10月11日(日) 本庄サーキット
2009年最終戦で3クラス優勝
来年につながる好結果!


ドリフトやサーキット走行会などが多く開催されている本庄サーキット。

 2009年の全日本ジムカーナは、早くも最終戦を迎えた。Special driver only gymkhana!というキャッチのように、今回出場できるのは今シーズンの全日本ジムカーナで上位のポイント獲得者のみの120台限定。しかも、各クラスエントリー台数×1万円の賞金が優勝者に手渡されるというプレミアムな大会となった。
 会場は2007年JAFカップ以来のビッグイベント開催となる、埼玉県の本庄サーキット。全日本戦初開催ということもあり、トップ勢でも初めて走行するという選手も多かった。主催者が用意したコースは、1分30秒を越える最近のジムカーナとしては距離が長い。しかも、ふんだんに高速区間を使った設定だ。
 全120台(2台棄権)中でダンロップ勢は27台とやや少なめだった。だが、各クラスで決勝日の秋晴れのような、爽快な優勝を飾ってくれた。

2位に約1.2秒の差をつける完璧な勝利だった。

 1秒内に10人近くがひしめく、そんなリザルトが頻繁に起こるN2クラス。1本目1分36秒台の西川純一にとってトップの35秒台は大きなカベになってしまうのかと思われた。しかし……、2本目に入ると高速コースでめっぽう速い西川の走りが爆発! 35秒台を一気に飛び越える1分34秒373を叩き出す。このタイムにはライバルたちも着いてこれず、4年ぶりのうれしい全日本優勝をもぎ取った。さらにN2クラスは今回最多参加の20台。優勝賞金20万円の大きなお土産までついてきた。

おめでとう! 4年ぶりの全日本優勝を飾った西川純一が、長いトンネルを抜けた!!

 優勝が決まった瞬間、周りの仲間たちから人一倍大きな歓声が上がった。
「今日の2本目は、最高のグリップで走ることが出来ました。フロントにM1コンパウンドを選択しましたが、スタートした瞬間にいけると実感しました。賞金もうれしいし、優勝もうれしいです。帰ってから意気揚々と出勤できますね!」
 とニコニコ顔で語った西川。鈴鹿やおおむたなどハイスピードコースを得意とする西川のドライビングは、本庄サーキットとの相性も抜群だった。

1、2本目ともにトップタイムを叩き出した津川。最終戦でぴたりと歯車があった
ようだ。

 川脇一晃のシリーズチャンピオンがかかったSA3クラス。ライバルの天満清選手とは2ポイント差の2位ながらも、ベスト6戦の有効ポイントの関係で優勝しなければポイントが加算されない。事前の練習会から津川信二とともに、ベストのセッティングと攻略法を探る。前戦終了時、津川のコメントにもあるとおり(川脇)アニキを全力でサポートする態勢だ。空けて決勝の日曜日、一本目トップに立ったのは1分29秒283を叩き出した津川だった。2位には約コンマ3秒遅れで川脇がつける。
 レースと違い駆け引きが存在しないスピード競技に、チームオーダーは存在しない。全ての選手が全開でトライする。津川は2本目に入って、さらに1分28秒台にトップタイムを引き上げる。後は、川脇の逆転を待つのみ。しかし川脇のタイムが伸びない……。結果、津川が今シーズン2勝目を挙げる。

「波に乗れなかった1年でした」と語る津川信二だが今季2勝目。来季は期待のエボX投入だ。

 「微妙な位置につけちゃいましたね……。昨日の公開練習までアニキの方が調子良かったんで、ちょっと追いつかないかなと思ってました。だけど今日は、ボクの方が歯車が合っちゃった感じですね。2007年のJAFカップで優勝して以来、ここを走るのは2回目なんです。そんなワケで相性が良かったというのもあったのかな? 
 今回のコースでポイントとなったのはS字の走り方。進入で縁石を乗り越える時にアクセルを抜き気味にして、立ち上がりでトラクションをかけるようにしました。といのも縁石で大きくクルマが浮いてしまうと、その後のセクションにつながらなくなってしまう。3回もS字を走る設定だから余計そうですよね」来年には、エボXを投入するという津川。SA3クラスは来シーズンも激しい戦いを見せてくれるに違いない。

5ポイント差のシリーズ2位で2009年を終えた川脇一晃。来年のリベンジに期待したい。

 3位に終わり、5ポイント差で惜しくもチャンピオンを逃してしまった川脇。
「今シーズンは勝てると思ったイベントで勝てなくて、どうかなと思っていた時に勝てたり……。悔しいですが、今日勝てなかったことも含めて、全て自分の責任ですからね。色々なことがあった1年でした」とサバサバとした口調で語った。数々のチャンピオン争いを繰り広げてきた川脇自身、結果の重さを人一倍感じているのも事実。来シーズンも明るいキャラクターで、全日本に挑んできてくれることだろう。

1、2本ともトップで完全優勝の茅野成樹。来年への足がかりを、しっかりとつかんだ!

 ジムカーナとしては比較的ロングなコース設定となった今回。そんな設定は、ドライバーの真の実力が試されるステージだ。そんな中で安定した走りを見せたのが茅野成樹。1本目に1分30秒297を叩き出してトップに立つ。
 強い日差しながら風が吹いていた決勝当日の天候は、昼を過ぎても思った以上に路面温度を上げなかった。タイムアップのチャンスとなった2本目。茅野はさらに攻めまくる。ゴールしたタイムは1分29秒947。N4クラスでただ一人の29秒台を叩き出し、今シーズン2勝目を挙げた。

今後の目標を「現役最多12回のチャンピオン獲得記録を抜きたい」と語る茅野。熱意は衰えない。

「今日は久しぶりにキター!って感じ。今回は練習から一歩一歩正解に近づいて行けましたね。SA3クラスの選手とも話しながら進めたんですけど、決勝ではフロントにM1、リヤにS1コンパウンドを履いて走ったのが良かったですね。本庄サーキットは初めて走ったコースですけど、うまく行くときはこういうものかもしれませんね。
 今年は、3位が多い(4回)シーズンでした。ちょっとずつの差が重なって、置いてかれたというのが実感です。今季2勝目ですが来年につながる優勝だと思います」
 今シーズン目一杯のトライを続けてきた茅野。だからこそ今回の優勝はうれしかった。シリーズ3位という結果は悔しい。だけど“破顔一笑”そんな言葉がぴったりと当てはまる笑顔だった。


 最終戦で来年につながる活躍を見せたダンロップ勢。ニューマシンを投入するという話も聞こえてきた。これから長いシーズンオフに突入するが、その間に選手たちは期待感を持ってクルマを作り上げてくるだろう。
 3月27~28日に備北サーキットで開催される全日本ジムカーナ開幕戦に向けて、選手たちのモチベーションは高い。
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ニュルブルクリンク2014