ドライバー
第6戦 8月11日(日) ツインリンクもてぎ 北ショートコース
激暑と豪雨の影響は全日本ジムカーナにも!
波乱のもてぎでダンロップ勢は各クラスでポディウムに!


夏休み真っ盛りのもてぎで開催された第6戦。暑さと豪雨、パイロンに翻弄された一戦となった。

2013年全日本ジムカーナ選手権もいよいよ終盤に向けて、タイトル確定の可能性が出てきたクラスが増えてきた。第5戦から約1ヶ月。お盆休み最初の週末という、猛暑を通り越して激暑の中、第3回がんばれ日本!チャリティスラローム IN もてぎが、栃木県にあるツインリンクもてぎの北ショートコースで開催された。中国地方や東北地方で豪雨の被害が相次ぐなど、今年の夏は天候が荒れ模様。この日の関東地方は暑さがピークを迎え、気温でも40度近くにまで達した。一方で夕方近くになるとゲリラ的に発生する豪雨の不安も拭えず、暑さと不安定な気候に、タイヤ選択や攻略方法にもせめぎ合いがヒートアップした。北ショートコースは、カート用のコースだが、設定者が全日本ジムカーナ参戦経験者とあって、スタンダードなコース回りの中にも、立ち上がりのアクセルを踏みたいポイントに規制パイロンを配置するなど絶妙なレイアウト。好タイムを目指す現役全日本ドライバー陣も、攻略に頭を悩ませていた。

超僅差のポイント争いに目が離せないN1クラス。調子が上がってきている村井への期待も高い。

SCP10ヴィッツのワンメイクとなっているN1クラスは、コンパクトな車両がSタイヤを履き、今回の高速コースでもスピード感たっぷりの走りを披露した。今回が今季成立5戦目となったが、序盤3連勝していた鎌尾邦彦が前戦で3位に沈む一方で、この仙台戦で今季初勝利を果たした村井勝(DL和合NUTEC小杉 ヴィッツ)、接戦を演じた平田有三がポイント差を詰めてきていた。今回もその村井と平田が再び激戦を展開。まず先に走行した平田が1’28.694秒をマークするが、次に走行した村井は、わずかに0.056秒及ばず2番手タイム。トップにつけた平田は2回目の走行でパイロンタッチを喫し、村井にとっては大チャンス。しかし、酷暑の影響が大きいコンディションの中でその村田もタイムアップを果たすことができず、前戦のリベンジを果たした平田に村田が勝利を譲った形になった。しかし、今回、選手権リーダーの鎌尾が6位で終わったため、ポイント争いでは鎌田が78、村井が77、平田が 72と大混戦となってきており、ベスト5戦で争われるタイトルの行方は最終戦までもつれこみそうだ。

「今季の残り2戦はパイロンコースなので、レイアウトによっては面白い展開になると思います」と語る川北。残り2戦での勝利に期待がかかる。

NSX、MR2、RX-7、エキシージなど個性豊かな車種が集まることで人気のSA2クラス.今季はエキシージの柴田優作が破竹の5連勝を収めており、このもてぎでタイトル確定のチャンスを握っていた。それを阻止せんとするのは、名阪で柴田と激戦を演じた川北忠(オートバックス DL RX-7)だ。過去、自身としてはあまり相性がいいとは言えないコースだが、ダンロップタイヤの特性を最大限に活かせるようタテ方向の動きを意識した走りを心がけた。しかし、路面温度とタイヤのピークで誰もが翻弄されたこの厳しいコンディションの中、久保真吾(DLチャレンジャーLT・ NSX)を抑えての2番手タイムを叩き出すが、その後に登場した柴田は、1.790秒と大差をつけてのトップタイムをマーク。これで後がなくなった川北は、2本目でタイムアップを果たすも柴田には届かず、2位が確定。しかし、2本目でタイムアップしたドライバーは少なく、久保も1本目のタイムで3位に入り、表彰台の両端をダンロップ勢が占めた。鬼門のもてぎで大一番を迎えることになってしまった川北は、タイトルを確定した柴田の姿に悔しさをにじませながらも「でも、T3は、路面温度が50度くらいを超えてくるとすごく効果が出てきて、2本目でもしっかり使えるので、SとT をコンディションに合わせてキッチリ使うことが肝になってくると思います。トラクション重視のタイヤなので、基本に忠実にタテ方向の動きを生かした走りが利いてくるのが特徴。他メーカーとは違うアプローチですが、だからこそ個性を生かした戦い方ができると思いますし、それでこそ楽しいです。今季のタイトルは獲られてしまいましたが、自分も今年は勝てるのに取りこぼしてしまったイベントもあったので、来季はそこをキッチリ逃さずに 獲っていくつもりでがんばっていきます」

伏兵野中に勝利を譲った牧野だが、ポイント争いでは首位をキープ。混戦のSCクラスも展開が面白くなってきた。

改造範囲の広いSCクラスは、昨年王者の牧野タイソン、大橋渡、高橋和浩のダンロップ勢が勝利を取り合い三つ巴の激戦を展開している。しかし第 一ヒートでは、前戦仙台で唯一今季2勝目をマークした高橋(DLCB保険スタッフランサー)が、痛恨のパイロンタッチ。続く大橋(DL奥伊吹 PRSインプレッサ)も4番手タイムに留まる一方で、王者の牧野(DL★PRS速心クスコランサー)はただ一人、18秒台に乗せるスーパータイムで首位に立つ。しかし好事魔多し。第2ヒートでは、このクラス3番目にスタートした野中信宏が、パイロンタッチを喫した第1ヒートから一気にタイムアップ。突如首位に躍り出た。第2ヒートに勝負をかける高橋も届かず、大橋はここでパイロンタッチ。そして迎えた最終走行の牧野は渾身のアタックをかけるも、野中にわずか0.020秒及ばずの2位となった。しかし、ポイント争いでは依然として、ダンロップ3人衆の優勢は変わらず、有効ポ イント6戦の計算の中で、1戦ずつ欠場している大橋と高橋が、いかに欠場分を巻き返すか、終盤の展開が注目される。

日本列島を波乱に巻き込んでいる豪雨に翻弄されたDクラス。有効戦数計算では、村上にも、川村にも残されているタイトルチャンスは大きい。

今季限りで廃止が決まっているDクラスの戦いも、残り3戦。最後のチャンピオンの座を狙うバトルは、5ポイント差に村上仁、小河謙輔、川村徹がひしめいての混戦となっている。ここから終盤に向けて、ひとつのミスが大きな痛手となりかねない緊迫した展開が予想される中、このトップ3で最初に走行した村上(LABOTEC☆DL☆TG)は、第1ヒートでパイロンタッチを喫してしまう。一方で12秒のスーパータイムを叩き出した小川に 必死でくらいつきたい川村(ラボテック☆TG☆ダンロップ)は、2番手タイムにつけて第2ヒートを待つ。しかし午後になると、Dクラス中盤の走行の頃には、激しい雨が打ち付けコンディションは一変。トップの小川はミスコースに終わったものの、村上も14秒台で2位が精一杯。最終走行の川村 はタイムアップを望むべくもなく、それでも3位につけて、残り2戦での追い上げに大きなチャンスを残した。

「第2ヒートは、実は一カ所ミスをしてしまったので、あれがなければトップに立てていましたね」と悔しさをにじませながらも、新たな開催地で迎える次戦に士気を高めた。

全日本チャンピオン経験者がぞろりと揃い今季は勝利を分け合っているSA3クラス。前戦の仙台で今季台風の目となっている野島孝宏(DLレイズ ChalWMランサー)が、待望の初勝利を挙げ、一気にタイトル争いに加わってきた。しかし、もてぎに入って練習走行から好調を見せていたのは、今季開幕戦を制している津川信次(DL☆itzz☆URGランサー)。S字に合わせたセッティングがうまくマッチしたという津川は、金曜日、土曜日共にトップタイムを叩き出していた。ところが、決勝のレイアウト、際どい位置に配置されたパイロンの攻略が勝負を分けた。「ラインの一番大事なところにパイロンが置かれていたので、コースの設定者はよく分かっていましたね。そんな中で、少しでも攻め側にいた人が今日は勝てたということだと思います」という津川は、第1ヒートで、西原に0.094秒差をつけるものの、天満がそれをさらに0.253秒上回るトップタイムをマーク。この天満のタイムを目指して挑んだ第2ヒートだったが、津川のタイムアップは0.027秒に留まった。「決勝のレイアウトで置かれたパイロンの140度ターンなどシビアなポイントを攻め切れませんでしたね。パイロンタッチの怖さを知りすぎているだけに、怖れ過ぎちゃったかな。ポイント的にはまだ2位につけていますが、首位とはポイント差が離れてしまったので、残り2戦は勝つしかありませんね!」と語る津川は、まだチャンスが残るタイトルに向けて、意気込みを新たにした。


今季の全日本ジムカーナも残り2戦。第7戦は日本列島を一気に南下して九州が舞台。「とびうめジムカーナフェスティバル in 九州」は9月14-15日、熊本県のHSR九州で開催される。タイトル獲りにはもう一瞬の油断も許さない正念場の終盤戦、ダンロップ勢の活躍にご期待ください。
Global Race Category
Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014