ドライバー
第3戦 5月20日(日) ALL JAPAN GYMKHANA in 名阪 まほろば決戦
PN全クラス制覇!
ニュータイヤZIIに最強の称号


薄曇りの中でも多くの観客であふれた名阪スポーツランドのメインスタンド。この中から未来のジムカーナ選手が現れてくることを期待したい。

全9戦で争われる2012年の全日本ジムカーナ選手権。序盤戦の最後となる第3戦、今回は奈良県の名阪スポーツランドに舞台を移して開催された。今シーズン最多!180台という驚きのエントリー台数を集めた今回のイベント。土曜日に行われた公開練習の天候は、夏を感じさせるほどの快晴。ところが決勝が行われる日曜日になると、朝から雲が広がる曇天となる。だが、そんな天候にも関わらずメインスタンドは満員。1本目走行後の慣熟歩行中に観客向けのアトラクションが行われると、コース上ではドライバーが移動しパドック内では観客が集まる。人でごった返すジムカーナ場の模様が、数年ぶりに再現された感じだ。だがドライバーたちにとってこの天気は頭の痛い一因。北から吹いてくる冷たい風に路面温度は思った以上に上がらない。03Gユーザーたちはコンパウンド選択に頭を悩ませることに。一方、デビュー戦となった第2戦でPNクラスに吹いたZII旋風。今回もダンロップユーザーにとっては嬉しいリザルトが待ち受けていた。では早速その活躍を見てゆこう。

全日本ジムカーナ初出場から10年。愛知県の鵜飼洋一が2本目に逆転で全日本初優勝を飾ったPN1クラス。今回のコースのポイントとなった前半セクションでの走りが光った。

180台というエントリー中、最多の24台を集めたPN1クラス。マツダデミオやホンダフィット、スズキのスイフトなどが主力車種だ。今回のコースは、前半セクションに2回転というトリプルA難度のフリーターンが設定された。土曜日に行われた慣熟歩行では、多くの選手がこのターンのポイントに集まる。右回転がいいのか?それとも左回転か? 次のコーナーに向けてのライン取りは?最速ラインを探す論議はいつまでも続いていた。開けて翌日の決勝1本目がスタート。1分16秒609とただ一人16秒台を叩き出した蛯原輝彦がトップに立つ。冷たい風が吹きながらもわずかに気温が上がり始めた2本目、ゼッケン20、2位につけていた愛知県の鵜飼洋一が1分15秒935で逆転。鵜飼はポイントとなった前半区間で他の上位陣が36秒台の中間タイムにとどまるところ35秒935と35秒台にまとめてきた。このタイムは後半ゼッケンに入っても破られることなく、逃げ切る。2003年に初の全日本エントリーを果たしてから10年目の全日本初優勝となった。

Z34遣いの河本晃一が第3戦からZIIをチョイス。その圧倒的なポテンシャルの高さが今シーズン初優勝を強力に後追し、河本は2年連続チャンピオンに向けスタートを切った。

2011年に始めて成立したPN2。フェアレディZやシビックタイプR、そして今シーズン最も注目を集める86やBRZが参戦するクラスだ。今回もパドックではZIIのポテンシャルの高さに驚きの声を上げる選手が続出。そんな選手の中にPN2初代チャンピオンとなった河本晃一がいた。河本は第3戦となる今回からZIIをチョイス。その理由をこう語る。「全体のポテンシャルが高いこと、そして限界領域の前でのレベルが高い。それと限界を超えたところでも、しっかりとしたコントロール領域がある安心感ですね。スイートスポットを広く取ったタイヤですね。それと偏磨耗せず、キレイに磨耗してくれるのでユーズドでもしっかり走れますね」と絶賛。新ウェポンを手に入れた河本は、1本目から絶好調。1本目にクラスただひとり、1分16秒台に叩きこむと2本目に入ってさらに自己タイムを更新。1分16秒117は2位の二木達也に1.1秒差、さらに3位で前戦タカタサーキットBRZデビューウィンを飾った山野哲也をも1秒以上ぶっちぎっての今シーズン初優勝だ。「今回はZでワン・ツーを獲れたのがうれしいですね。2本目はお客さんの目も気にして走ってました」と語る河本。事実最終コーナーを横っ飛びにカウンターを当てながらゴールする姿に観客席からは大きなどよめきが上がった。最新マシンが駆動方式も問わず争うPN2クラス。今シーズンは目が離せない戦いが続きそうだ。

昨年のチャンピオン岡野博史とのコンマ差での激しい闘いを制した山野直也。2本目には1秒近くタイムアップした2本目にはコースアウトギリギリの激しい走りを見せた。

土曜日の公開練習から岡野博史/ランサーとコンマ差の激しいトップ争いを演じていた山野直也/インプレッサ。1本目、1分13~14秒台で推移していたトップタイムを直也が1分12秒412で更新。最終ゼッケンの岡野は渾身の走りで12秒315と逆転する。「前半セクションが重要になりましたね。細かい部分でタイヤを暖めて後半につなげる。1本目は岡野選手に後半部分で追い上げられていたので、ここでのタイムアップを目指しました」と語る直也。2本目に入っても岡野のタイムは更新されず出走順を迎える。直也はその言葉どおり、前半のテクニカルセクションを攻めこむ。タイヤの温まりきった外周からのS字区間をとてつもないスピードでクリアしてゆく。ゴールするとタイムは1分11秒524!このタイムには最終ゼッケンの岡野も追いつくことができず、直也が前戦タカタサーキットに続き2連勝。ここまで互いに優勝、2位という成績で全くの同ポイントで並んでいた岡野と直也。だが今回の連勝で直也はポイントトップで中盤戦を迎えられることになった。

優勝と2位という全くの同ポイントで並んでいた岡野博史と山野直也。だが、第2~3戦での連勝で直也の単独トップ。シリーズ序盤戦を最高の形で終えることができた。

「前戦のタカタはジムカーナでいう高速コース。それに対して今回の名阪は、1速~2速でテクニカル中心のコース。ストップ・アンド・ゴーとなるコースだとランサーが有利かな?とも思ってました。去年は岡野選手にブッチギられてましたしね。でも今回は大きな舵角が必要なセクションでも、ZIIはスゴく良いパフォーマンスを発揮してくれました。サーキットでコンマ5秒上がるっていうことは、ジムカーナなら1~1.5秒くらいの差になると思いますからね。2本目は前半セクションで温まったタイヤでS字にノーブレーキで飛び込めました。飛び出しちゃうかな?って思ったけどしっかり踏ん張ってくれました。タイヤが温まると、ちょっと次元の違う走りができたかな?という感じです。それとZIIはユーズドでも戦闘力が変わらないのも良いですね。ということは、山の高さでもタイヤを変えられるってことですからね。特にインプレッサのような重量車であれば、タイヤの恩恵は非常に大きいと思いますからね。現時点で大きなアドバンテージがあるんじゃないかなと思います。今回のイベントがシリーズを考えるとポイントになってくると思ってました。次戦の北海道は成立するかまだ分かりませんし、前半戦で2勝できるか重要な1戦でした。岡野選手との直接対決で勝てたのが大きな収穫ですね」と笑顔で語る。さらに直也の優勝でラジアルタイヤで争われるPN部門でZIIが全クラス制覇!ZIIはデビュー早々強烈なポテンシャルを全日本ジムカーナで披露することとなった。

見事な走りで観客を魅了した津川信次。今シーズン待ちに待った優勝という二文字にホッと一息つくことができた。次戦北海道での活躍にも大いに期待しよう。

歴戦のチャンピオンたちがフルチューンされた4輪駆動車でトップを争うSA3クラス。マシンチューニングもさることながら、見所となるのはその高いドライビングスキルだ。今回のポイントとなった2回転フリーターンの攻略にも注目が集まった。1本目、最もキレイにこのセクションを回りきったのが津川信次。最初は小さく、2回転目に大きくはらみ遠心力を利用しながらスムーズに立ち上がる走りに観客席からは大きなどよめきが。180度以上のターンが苦手といわれるエボXだったが、津川の手にかかるととてもそうは思えない。このトライで津川は1分7秒906を叩きだしトップに立つ。それまで8~9秒台で動いていたトップタイムを更新しSA3クラスただ一人の7秒台突入だ。これにはライバルの西原正樹/インプレッサ、天満清/ランサーも追いつけない。津川はそのまま2本目まで逃げ切って今シーズン初優勝を飾る。「事前のテストで今日と同じ路面温度(27℃)で走っていたのでデータの裏付けがありました。今日は2回転フリーターンがコース的にもタイヤ的にもポイントになりましたね。前半部分特にターンの部分でタイヤを暖められたので、後半のタイムにしっかりつながりましたね。このレイアウトは去年のJAFCUPでも走っているし、体に感覚が染み付いていたのも良かったかもしれませんね。前半戦でまず1勝できたことで、まずホッとしてます。2位と1位のポイント差ってホント大きいですからね」と津川。第2戦までで天満32、茅野30、津川30となっていたポイントも、今回の優勝で津川50とトップに立つことができた。次戦は相性のいい北海道での戦い。勢いに乗るダンロップ勢の活躍に期待しよう。
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Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014