ドライバー
第2戦 4月22日(日) ジムカーナ in タカタ
サイズ拡充されたZIIがPNクラス最強のタイヤに
勢いに乗るダンロップ勢が5クラスを制する!


3月に発売され大きな話題となったDIREZZA ZII。4月に入ってジムカーナでの主要車種に対応するサイズが拡充され、今回の第2戦が実質的な実戦デビューとなった。

降水確率80%、今にも降り出しそうな曇りのなか全日本ジムカーナ第2戦の決勝がスタートした。開催場所は広島県安芸高田市にあるTSタカタサーキット。アップダウンをともなう高速コーナーは、ブラインドとなって次のコーナーにつながる。TS=テクニカル・オートサーキットという名前にふさわしい、高速テクニカルなコースだ。昨年初めて全日本ジムカーナが開催され、2度目の開催となる。冒頭に書いたように天候はいつ降り出してもおかしくない曇り空。そして選手たちの間で話題となっていたのが、3月に第一弾が発売された注目のストリートラジアルタイヤDIREZZA ZII。4月に入るとそのサイズを拡充し、多くの車両が第2戦に出場してきた。絶大なグリップ力に扱いやすさを兼ね備えたZIIのポテンシャルは、PNクラスを戦う選手たちにとっても大きな武器となったに違いない。

発売直後から納車半年以上待ちとの噂が飛び交う注目のトヨタ86。昨年までPN1クラスを戦っていた野口泰通が、86を駆りPN2に移ってきた。今季注目のダンロップユーザーだ。

そしてもうひとつの話題が、トヨタ86とBRZのデビューだ。ダンロップユーザーではPN2クラスを戦う野口泰通がトヨタ86をTSタカタに持ち込んできた。PN2クラスでライバルとなるのは、FDシビックタイプRやZ34のフェアレディZなど。ハイパワーFFスポーツと大排気量の重量スポーツ車と86、BRZが一騎打ちで戦うのは全日本ならでは。排気量や駆動方式も異なれば、得意とするセクションも異なる。今シーズンの見所となるPN2クラスに、主要車種がそろった。さらにジムカーナ界の“スター”山野哲也もBRZで参戦してくるなど、観客を惹きつける魅力にあふれている。今回は山野BRZがデビューウィンを飾ったが、ZIIを装着した野口も健闘!カラーリングが施されて間もない86を5位入賞まで引き上げてきた。これからの活躍が楽しみだ。

地元広島の松村正吾が大金星!全日本参戦5年目にして初の優勝に、表彰式では「何か変なテンションになってます」と戸惑いのコメントが聞かれた。

スイフトをはじめ、デミオやフィットなどが主力車種のPN1クラス。第2戦となる今回は、ダンロップユーザーの全員がZIIを履いて決勝をスタートする。ドライ路面での走行となった1本目、1分23秒839を叩き出してトップに立ったのは、地元広島の松村正吾。1本目の競技後半に入って強くなった雨は昼休み中にあがり、どんどんと路面が乾いてゆく。だが……、そこからPN1クラスの2本目がスタートする頃再び小雨が降り始めた。路面がウエット状態になる前に走りたい選手たち。ゼッケン9とクラス中盤で走った松村は、コンマ7.2秒のタイムアップで自己タイムを1分23秒116まで削り取りトップを守る。だが、後半ゼッケンに入ると雨は断続的に降り始め、松村のタイムは更新されない。2008年にヴィッツで全日本に初参戦、以来地元中国地で開催される全日本に年一エントリーを続けた松村が参戦5年目にして全日本初優勝を飾った。表彰式では、「まだ何が起こったのか分かってなくて、変なテンションです」と語った松村。家に帰って全日本初優勝の実感をかみしめていることだろう。

初代PN3クラスチャンピオンの山野直也がZIIを絶賛!ポテンシャルの高まったWRX STIで2位岡野博史を1.95秒ぶっちぎる走りを見せ、今シーズン初優勝を飾った。

厳しく車両の改造を制限するPNの車両規定。PN3はランサーやインプレッサが主力車種となるクラス。第1戦惜しくも2位に終わった山野直也。WRX STIを駆る直也は、開催されるサーキットで最もパフォーマンスの高いタイヤを選択するというスタイルで全日本に参戦している。そんな直也が今シーズンに入ってチョイスしているのがDUNLOPのタイヤ。第2戦となる今回は、拡充されたZIIを履いての走行。「ダンロップのタイヤはZIスタースペックの頃からパフォーマンスが高かったんですが、ZIIになってすごくグリップするようになった。Sタイヤに近いくらいのグリップを発揮してくれるタイヤですね」と絶賛する。1本目勝負となった今回、直也は開幕戦の覇者、ディフェンディングチャンピオンの岡野博史をなんと1.95秒引き離すぶっちぎりのタイムをマーク。PN3クラスでただ一人16秒台に入れる1分16秒325で文句なしの優勝。「縦方向はもちろんですが、横方向のグリップ力が上がってステアリングを切った分だけ曲がってくれる。ターンなどロックまで切るような大舵角が必要なセクションって、グリップ力がすごく大事なんですよね。そこがすごくイイ!タイヤに助けられたといっていいですね。今シーズンはチャンピオンを狙って頑張ります!」と直也。名阪スポーツランドで行われる次戦の活躍にも期待が集まる。

先行きの分からない雲行きの中行われたN1クラスは、結果的に1本目勝負となった。トップタイムを叩きだしたのは富山の村井勝。笑顔も嬉しい全日本2勝目を挙げた。

8台のエントリーを集めたN1クラス。2本目にウエット路面となってしまったため、こちらも1本目勝負となった。2本とも雨の中で行われた昨年のTSタカタでの全日本。この時2位に入ったのが富山からエントリーしてきた村井。今シーズンも開幕戦では2位に入ったが、この両イベントとも先行を許したのが昨年のチャンピオン平田裕三。雪辱を期して挑んだ今回の1本目、村井は前後とも03G S2コンパウンドをチョイス。この選択がピタリとハマりタイムは1分21秒721。平田をコンマ1秒かわしてトップに立ち、そのまま逃げ切っての優勝。スポーツランドSUGOで行われた2011年の第5戦以来、9ヶ月ぶりの全日本2勝目となった。ZII効果によるPNクラスでの勢いをNクラスにも持ち込んだ。これで村井はシリーズポイントでもトップの平田と同じく35ポイントで並んだ。

師匠として絶対に譲れない戦い。茅野成樹と津川信次の師弟対決は今回、SA3クラスただ一人の11秒台を叩きだした茅野に軍配が上がった。

12台の参加台数中8台がダンロップユーザーのエントリーとなったSA3クラス。歴代チャンピオン4人が常時参戦、磨き上げられたマシンたちと相まってその戦いは間違いなく観て楽しめるクラスだ。そんな激戦区に1年ぶりに車イスのチャレンジャー中島努が復活。真摯にジムカーナに取り組むスタンスに変わりは無く、1年のブランクを埋めるべくSSTのランサー・エボXと格闘している。こちらも1本目勝負となった今回、トップタイムを12秒台に叩き込んできたのは昨年のチャンピオン川脇一晃のエボXを駆る野島孝宏。だが野島のタイムを次ゼッケンの茅野成樹が1分11秒655で逆転!このタイムに後半ゼッケンの有力ドライバーも追いつけない。最終ゼッケンの津川信次がゴールするも1分12秒066と届かず2位。茅野がSA3クラスに移ってきて初の優勝を飾った。「昨日セッティングが決まったんですよ。走り方も分かってきたし、ここから行きますよ!」と茅野。久々に明るい笑顔が戻ってきた。一方2位に終わった津川「みんながポテンシャルを出し切ったら、ミスなく走りきったものの勝ち。だからいかにミスなく走り切れるかが勝負のポイントだよね。今年は開幕から相性のイイ、コースをミスで落としちゃってる。そろそろ“次こそ”から脱却しなきゃね」とコメント。津川はジムカーナを始めて以来、茅野を師匠としてきた。今シーズンギリギリまでタイムを削り合う茅野と津川の師弟対決にも注目だ。

優勝候補不在の混沌とした状況の中スタートした2012年のSCクラス。2戦目で勝ち名乗りを挙げた牧野タイソンは「一発屋で終わるのはイヤなんで」と頼もしいコメント。

10連覇を達成した谷森雅彦の引退で混沌とした開幕戦となったSCクラスだが、今回のイベントには11台がエントリーしてきた。エンジンの載せ替えも認められ、ナンバーを切った2輪駆動から4輪駆動車までバリエーション豊かな車種で争われる。今回はクラスでただ一人12秒台にトップタイムを入れてきた牧野タイソンが全日本優勝。牧野は2009と2010年の2年連続JAFカップウィナー。活躍が期待されていたが、今シーズンからSCクラスに移ってきた。「今回もというか、広島に来るといろんなことが起こるんですが……。なんとか全日本初優勝することができました。クルマも去年乗っていたSA3仕様から大きく変更している訳ではなくて、基本スリックタイヤを装着して走っている仕様です。だからすごく信頼できてます。一発屋で終わるのはイヤなんで、今年はやりますよ。楽しむためにSCクラスに来たんで」と終始笑顔の牧野。優勝が決まった時には、師匠であるプレジャーレーシングの大橋渉と抱きあって喜んでいた。3位には小清水正一郎率いるRSKのランサーを駆る西森啓祐が入る。仲間からの祝福に西森は目を細めて喜んでいた。
Global Race Category
Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014