第1戦 3月28日(日)岡山県備北サーキット
DIREZZA 03G S2コンパウンドの全日本デビュー!
2010開幕戦でユーザー全体のレベルが一気にアップ!


午後からは雨の可能性があり、1ヒート前の完熟歩行を入念に行う各ドライバーとチーム関係者。

 2010年のモータスポーツシーズンが始まり、全日本ジムカーナの開幕戦は、昨年と同じく備北ハイランドサーキット。ジムカーナやミニバイク走行が主となるこのサーキットは、D1ストリートリーガルなども開催される人気のコースだ。以前はキャンプやテニスなどのレジャー施設だったが、モトクロス場やダートトライアルコースの運営をスタート。全日本モトクロスが開催されたこともある。広大な面積に作られたBコースは、1100mという全長と170mの最大直線をとることができるコース。高速からのブレーキングからパイロンターンまで様々なコース取りが可能。豪快なレイアウトで観客を楽しませてくれる。
 今回は2009年に新設されたPNクラスも含め全部で11クラスが成立。参加台数は137台となった。金曜日には雪が舞ったかと思えば太陽が顔を出すなど不安定な山の天気。決勝当日の天気予報は曇り。午後からの降水確率は40%となっていた。こんな時は1本目からベストタイムを狙う戦略が必要。そんな選手たちに大きな武器となったのが3月23日に発売されたDIREZZA 03GのS2コンパウンド。S1に比べ低温の適応温度域が拡大したS2は、初期グリップとその持続性能が高い。4クラスで優勝に輝くなど開幕戦からポテンシャルを発揮する大活躍!さらにダンロップユーザー全体の順位を押し上げた。待ちに待ったS2コンパウンドの投入に選手たちからも喜びの声が上がった。では早速、彼らの戦いを見てみよう。

 「ダブルエントリーでワン・ツー取れたのがうれしいです!」と表彰台でニッコリ。全日本でのPNクラスの戦いはまだ始まったばかり。

 2009年に新設されたPNクラス。ほとんど市販車の状態で戦う、純粋にドライビングテクニックが試されるクラスだ。中でもPN3は4輪駆動で争われる。ダンロップユーザーは野尻隆司と青木信太郎のふたり。京都のティーアシストで制作されたGRBインプレッサで参戦してきた。野尻は1本目に2位を9秒以上引き離すスーパーラップを記録。雨が降り始めた2本目にはタイムダウンしたものの、逃げ切って初優勝。
「ダブルエントリーでワン・ツー取れたのがうれしいです!」と表彰台でニッコリ。全日本でのPNクラスの戦いはまだ始まったばかり。これから様々なノウハウやテクニックが生み出されてくるだろう。その中でもタイヤの占める要素は大きい。そんな状態でS2コンパウンドのポテンシャルは、間違いなく武器になるに違いない。

0.008秒という僅差! 念願の初優勝があと少しと言うところに!

 有力選手の多くがランサーエボXに乗り換えたN4クラス。シェイクダウンしたばかりのクルマも多く、熟成されたランサーエボIXを駆るユーザーにはチャンス!この機会を生かしたダンロップユーザーが武田宏太郎(ランサーエボIX)。ドライ路面の1本目に1分27秒769をたたき出す。トップの岡野博史(ランサーエボX)選手とは0.008秒という僅差!「古谷(哲也)さんにセッティングを手伝ってもらったんで、いい感じで走れました。事前のテストでS2コンパウンドを履いたときに、手応えを感じました。昨日の練習の結果からも、決勝で表彰台はイケるかなと。でも上位の選手たちを見ると、まだまだ発展途上だなと思ってます」
 これまでの全日本最上位が3位だった武田。惜しくも念願の初優勝が目の前を通り過ぎていったが、着実なステップアップを果たしたといえるだろう。残るは表彰台のトップのみだ。続く3位にはS2コンパウンドの開発ドライバー茅野成樹。
「S2コンパウンドは対応温度域の幅が広くなったおかげで、冬の寒い時期でも安心して運転できるようになると思います。これは開幕ダッシュを決めるのにも、非常に重要なことで昨年のように他メーカーの先行を許すことはないと思いますよ」と力強いコメント。エボIXでスタートした茅野の2010年。今シーズンはチャンピオン獲得を虎視眈々と狙っている。そして武田の活躍にも期待しよう。

1年半ぶりの優勝!コントローラブルなS2コンパウンドに川北忠RX-8がスタートダッシュ。

 SA1クラスで唯一FR車、鮮やかなオートバックスカラーのRX-8で参戦する川北忠。これまでもシビックEK9やEF8などのFF勢を相手に、ハイスピードコースで抜群の速さを見せてきた。1本目にトップに立つとそのまま逃げ切り優勝を飾った。「去年1年優勝できなかったので多分、1年半ぶりの8勝目です。前後ともS2コンパウンドを装着しました。グリップするだけでなく、コントロール性が抜群に上がってるんですよ。こういう気温が低い時でも探りながらではなく、自信を持ってコーナーに進入できるんですよ。正直、備北と(次の)名阪は厳しいんじゃないかと思っていたんですが、このタイヤがあれば大丈夫ですね」
 スラロームや島周り、そしてサイドターンなどが設置された前半セクション。ゆるいコーナーに組み合わされたストレートと高速S字セクションが並ぶ後半。1本目川北のタイムを見てみると、前半セクションこそ5位だったが、後半で一気にタイムを稼いでいる。低温路面でも自信を持ってコーナーに進入したタイムだ。対して2本目は路面のμが下がり、車両コントロールが厳しくなるウェット路面。そんな中でも安定した走りで2本目2位のタイムを出すなどコントロール性の高さも証明している。今シーズンは序盤戦から、RX-8が高い戦闘力を発揮しトップ争いを繰り広げてくれるに違いない。

タイヤに助けられました」8年ぶりに優勝の鰐部光二は中国地区と相性がイイ!

 昨年、他のタイヤメーカー勢に先行を許したSA2クラス。だが今シーズンはその勢力図は縫り変えられるに違いない。S2コンパウンドデビューとなる今回、表彰台を占めたのは黄色い帽子。RX-7を駆る鰐部光二が優勝!
「8年ぶり2回目の優勝です。今回前後ともにS2コンパウンドを履けました。一発目クラッチ繋いだ時にホイールスピンなしにグッと前に進んでくれるので、グリップしてくれるっていう感触がありました。だから安心して1コーナーに進入することができました。今までだと、どれくらいグリップするかなぁという感じだったのでどんどんという感じでした。今回のように気温が低い朝でもグリップしたのでイケルなと。新しい武器を手にいれたので、今年は勢力図を塗り替えるつもりで頑張ります」
2位には久保真吾のNSXが入る。
「リリースの関係でリヤのみS2コンパウンドの装着でした。正直リヤだけでそんなに良くなるんかな?とも思ってましたがビックリです。これで1段ロケットに点火した感じですかね?あとは後ろが良くなった分、早くフロントもS2が欲しいですね」
 入賞者の半数をダンロップユーザーが占めた今回。第2戦名阪に向けての期待が高まる。

エボXの投入で台数が増加したSA3クラス。川脇一晃エボXの進化でさらに面白くなる!

 今シーズンからSA3クラスを戦う川脇一晃と津川信次が、ともにランサー・エボリューションXを投入。究極までチューニングされたマシンの戦いを見れるSA3クラスは、観客からも高い注目を集める。特に新車でジムカーナに参戦することに意義があると語る川脇には、待ち望んだエボX全日本デビューだ。今回は3位に川脇、4位に津川という結果だったが、上位6台の入賞車中4台がランサーエボ。彼らの参戦でエボXの開発が一気に進む環境が整った。
 「エボXには足回りの剛性が上がったところにメリットがありそうですね。重い車重に対しての対応は太いサイズのタイヤがしてくれる。それにトラクション性能を高てゆけば、十分エボIXを上回れるんじゃないかと思うてるよ」と川脇が語れば、「クルマ自体は80点くらいには仕上がってる。あとは会場に入ってからの微調整やノウハウといったものを蓄積している最中。エボXはリヤに荷重がかかりすぎるとすぐにフロントが抜ける。重量車特有の傾向がある気がしますね。今は走る度にセッティングが変わったりしますけど、大変な分楽しくていいですよ」と津川。さらに、津川のパドックには見慣れた顔が……。今シーズンの参戦を取りやめた田原憲がメカニックとして津川のクルマをメンテする。田原の声が響くテントは一気にムードを高めてくれる。全日本ジムカーナを観戦する機会があれば、ぜひともこの豪華なテントを訪ねてみよう。

スリックタイヤも進化中。大橋渡GRBインプレッサとの組み合わせで開幕戦優勝!

 少数精鋭ながら、僅差の争いを見せるSCクラス。ナンバーを外し、改造範囲の広いチューニングを楽しめるのが大きな魅力の一つ。ダンロップユーザーとして昨年、シリーズ3位に入ったプレジャーレーシング代表の大橋渡。GRBインプレッサでの参戦は、スバルファンからも注目が高い。その大橋がこの開幕戦で優勝。今シーズンはどんな進化を遂げてきたのだろう?「今回は260サイズのジムカーナ用スリックで、低温用のタイヤを作ってもらいました。S2コンパウンドに近いフィーリングのモノだと思いますね。これが非常に良くて今回の結果に結びついたと思います。SCクラスはクルマもタイヤもバラバラなのに、タイムが均衡してますよね。クルマはシーズンオフにスペックCの車重に合わせて軽量化、それに別単式のショックを組んできました」とのこと。ことしもプレジャーレーシングのインプレッサに注目だ。
 S2コンパウンドの投入により、全クラスでステップアップしたダンロップユーザーの成績。4月24~25日に行われる第2戦の名阪では、表彰台に上がる多くの選手たちの笑顔を期待しよう。
Global Race Category
Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014