DUNLOP MOTORSPORT
ドライバー
第3戦 5月27日(日) 北海道ダートスペシャル in スナガワ
念願の全クラス制覇まであと1クラス
ダンロップ勢が成立9クラス中8クラスを制す!


前日の降雨に加えて早い開催時期。タイヤ選択に頭を悩ます選手も多かったオートスポーツランドスナガワでの第4戦。だが路面と戦うダートラ本来の面白さも感じさせてくれた。

第3戦を迎えた全日本ダートラは、舞台を『北の大地』北海道に移して開催された。これまで北海道での全日本ダートラといえば、河川敷に設けられた広大なオートスポーツランドスナガワの端から端までを使ってアクセル踏みっ切りの最高速にパワー勝負と言われてきた。だがここ数年、勝負を決しているのは選手たちが『下段』と呼ぶテクニカルセクション。高速セクションで稼いだ1秒は、テクニカルでミスした1.5秒をカバーできない。インパクト絶大な長いストレートに合わせるだけのドライビングやセッティングだけでは、勝つことができない条件になってきているのだ。さらに今回は、決勝前日の土曜に行われた公開練習で激しい雨が降りしきり路面は完全なヘビーウエット。『上段』から流れ落ちた水は『下段』にたまる。決勝となった日曜には快晴が広がり砂煙が上がるが、『下段』では表面の砂利が掃けても思った以上にグリップが上がらない。さらに後半ゼッケンに入ると、バスタブ大のギャップがそこらに……。ここ数年では最も早い時期のスナガワでのイベント開催。春先まで降り積もっていた降雪の影響か?優力選手たちもタイヤ選択はバラバラで、これまでのデータが生かせない状況。そんな中でもダンロップユーザーは各クラスで大活躍!早速その状況を見て行こう。

1分37秒010と2位に100分の1秒差で優勝を飾った今村宏臣。地元九州で行われた前戦での全日本初優勝に引き続いての連勝にシリーズランキングでもライバルに一歩抜きん出た。

10台のエントリーを集めたPNクラス。2本目勝負と読んだ選手が多く、全選手がタイムアップ。そんな中で上段の高速セクションと下段のテクニカルセクションをバランス良くまとめた今村宏臣が優勝を飾る。今村は地元九州での第2戦で全日本初優勝を飾り、今回のスナガワで今シーズン2勝目の連勝!「スナガワを走ったのは初めてなんですが……、九州以外で勝てて嬉しい!」とニッコリ。公開練習から好調な走りを見せていた今村だが、テクニカルな下段では積極的にクルマの向きを変えてゆくドライビングが功を奏した。開幕戦での2位とも相まって、シリーズランキングは一歩抜きでて55点でトップに立ち最高の形で序盤戦を終えた。PNクラスで今シーズン要注目の選手となったのは間違いない。

2位の児島泰に約100分の5秒差という僅差で全日本初優勝を飾った坂井義浩。僅差で敗れた丸和での借りを返し、シリーズポイントでもトップ児島にも5ポイント差と肉薄する。

こちらも2本目勝負となったN1クラス。大幅なタイムアップが図られる中、選手たちのタイヤチョイスは二手に別れた。後半のシード勢でもウエット用の74Rとワイドレンジの87Rを履く選手が半々。どっちを選んでも近いタイムになる状況で抜きん出たのは、栃木の坂井義浩。1分33秒917でトップタイムを更新すると、そのまま逃げ切っての全日本初優勝。「74Rが良かったですね。穴に入らないように走ったのも良かったのかも」と笑顔を見せる。坂井に次いで100分の5秒差で2位に入ったのは、第1戦で優勝を飾った児島泰。実は開幕戦の丸和で坂井は児島に僅差で破れての2位。児島の前走者がトラブルで再出走しゴールするまでの暫定1位だった。今回はその借りを返す優勝。シリーズポイントでも児島に5ポイント差で肉薄する坂井。中盤戦での活躍が楽しみだ。

再出走の幸運を見事に生かし切った西田裕一が2本目、1分32秒788で逆転して2年ぶりの優勝。シリーズポイントでも35ポイントとなり2位に浮上。中盤戦での活躍に期待がかかる。

クラストップゼッケンで、北海道の名ドライバー宝田芳浩の息子ケンシローがトップタイムを叩きだしたN2クラスの2本目。後半のシード勢はそろって87Rを選択する。だがゼッケン074の青木辰之がコース下段で転倒。続く073西田裕一は再出走となってしまう。
「青木さんには本当に申し訳ないんですが……、もう一回走れてラッキーでした」と語る西田が最後の最後に叩き出したタイムは1分32秒788。ケンシローを約0,3秒逆転して優勝。西田は2010年の第4戦、場所は同じくスナガワでのイベント以来2年ぶりの全日本優勝を飾る。西田はシリーズランキングでも2位に浮上。トップの伊藤益弘に9ポイント差の35ポイントとなって中盤戦を迎える。

「2本目にウエット(74R)を履くのは、北海道に来る前から決めていた」と語る佐藤隆行が逆転で今シーズン2勝目を挙げる。今回の優勝で佐藤はシリーズリーダーの座を固める。

今回最多17台がエントリーしてきたN3クラス。1本目トップに立ったのは地元北海道の北條倫史。74Rを装着した北條が叩き出した1分27秒294は、2位北島広実に約1秒差をつけたクラスただ一人の27秒台。2本目に入ると、北條をはじめシードゼッケン勢はそろって87Rをチョイス。だがその中でただ一人74Rを選択したのは佐藤隆行だった。「2本目にウエット(74R)を履くのは、北海道に来る前から決めていた」と語る佐藤。自信を持って挑んだ佐藤のタイムは1分27秒010!北條を逆転してトップに立つと佐藤のタイムは逆転されること無く最終ゼッケン北島へ。ゴールすると北島のタイムは1分27秒616……。佐藤の信念は正しかった。実にトップから7位までが27秒台で並ぶ大激戦。コンマ差での争いに終止符を打ったのは、佐藤のタイヤチョイスだった。ここまでシリーズトップ来ていた佐藤は、今回の優勝で52ポイント。2位北島に16ポイント差をつけて、堂々のシリーズリーダーで中盤戦を迎える。

気持ちで負けないよう、2本目にドライタイヤを選択した佐藤孝。さらにアクションの小山氏から「穴は横になって入れ!」のアドバイスで全日本初優勝をもぎ取った。

16台が参戦してきたSA1クラス。この頃になると下段では、選手たちが穴と呼ぶギャップがそこかしこに現れ勝負の行方をはっきりと左右し始める。ほとんどの選手が1本目74Rから2本目に入ると87Rをチョイスし、タイムアップを図った。そんななか、2.8秒のタイムアップを見せた佐藤孝のタイムは1分32秒596。「自分は気持ちで負けてしまうことが多いので、周りから2本目はドライでゆけ!って言われてました。穴の攻略はアクションの小山さんから、横になって入れと教わりました」と語る佐藤が逃げ切り、全日本初優勝を飾る。これまでシリーズ4位につけていた佐藤。今回2位の山崎利博が39ポイントでトップを死守するが、佐藤はそれに次ぐ36ポイントで2位に躍進した。

1本目のタイムで逃げ切り、今シーズン2勝目を挙げた北村和浩。「様子見じゃあダメやね」と積極的な姿勢が逃げ切りにつながった。シリーズランキングでも単独トップに立つ。

こちらも2本目勝負になるかと思われたSA2クラスの戦い。北村和浩は1本目74Rを選択する。これが高速の上段、テクニカルの下段ともにトップの1分26秒032。2位の荒井信介を実に1.5秒も上回るスーパータイムでトップに立つ。さらなるタイムアップを図りたい北村は、2本目に87Rをチョイスするが、上段から思ったほどタイムが伸びない……。「今回は87Rと74Rの中間くらいの路面やったんかなぁ?」と語った北村だったが、ゴールすするとタイムは0,2秒のタイムダウン。だが1本目のタイムを超える選手は現れず、逃げ切りで北村が今シーズン2勝目を飾った。「74Rのこんな使い方もあるんやなと思ったよ。去年は穴にやられたから、今日は1本目から取っておこうと思った。様子見じゃあダメやね」と素直なコメントを語った北村。だが荒井と一進一退の攻防を続けていたシリーズランキング争いでも単独トップで一歩抜き出る55ポイント。次戦の門前から始まる中盤戦に向け、気持良く挑むことができそうだ。

1、2本目ともに87Rを装着した吉村修が貫禄の今シーズン初優勝。「まだまだ速くなるよ」とのコメントに、門前スポーツパークで行われる第4戦での活躍も期待される。

ウエットかそれともドライ用タイヤか?そんな悩みも後半のSC3クラスになると、1本目からドライ用の87Rを選択する選手も増えてきた。そんな選手のひとりが吉村修。今シーズンからSC3に移籍してきた昨年のN3チャンピオンもここまで優勝はなし。だがしっかりとマシン作りを行なってきた。そのかいもあって1本目1分27秒761でトップに立つと、2本目には1分26秒932までタイムアップして今シーズン初優勝を飾った。「やっと勝ててホッとしてる。クルマもACDを軽量のエボIX用の物に変えて、コンピュータもモーテックに変えた。それにともなって足を変えなきゃいけないんだよね。今日もSA2にタイムで負けちゃってるし。でもポイントを引き離せて良かったよ。マシンはまだまだ速くなるから、次の門前ではラリードライバーたちに負けないよ」と吉村。中盤戦からの活躍に期待しよう。

危なげない強さで開幕から無傷の3連勝を飾った炭山義昭。「穴ぼこだらけで困った」とのコメントにも余裕が感じられる。門前で行われる次戦で4連勝を目指す。

こちらも圧巻の走りを見せたのが炭山義昭。1、2本目ともにオーバーオールでのトップタイムをそろえて絶好調!開幕戦から無傷の3連勝を飾り、序盤戦からチャンプ獲得の足場をシッカリと固めた。「穴ぼこだらけで困った(笑)ギャップがなければ91Rで行きたかったんだけど、これでもかってほど穴ぼこがあってね。下の段でタイムを落としてる選手が多かったんで、走り方を変えたらタイムアップしたよ」と炭山。炭山の優勝でダンロップ勢は成立した全9クラス中8クラスを制覇!圧倒的な強さを見せつけて中盤戦に突入する。この勢いで、念願の全クラス制覇も夢ではないと感じさせた。次の第4戦は6月24日、輪島市門前モータースポーツ公園で開催される。