第2戦 2008年4月20日(日)モビリティおおむた(福岡)
ダンロップ初戦に続き4クラスで優勝!進撃は止まず!!


 有明海に面した福岡県大牟田市、潮風の香るこの街に今年も全日本ダートトライアル選手権がやって来た。舞台は昨年三井オートスポーツランドから名称を変更したモビリティおおむた。ダートトライアル、ジムカーナコースを併設する九州随一のモータースポーツ施設だ。ダートトライアルコースは長い2本のストレートと、連続するアールの小さなカーブが特徴のハイスピードコースで、例年激しいバトルが繰り返されている。昨年は天候が悪く、過酷なシチュエーションでのレースとなったが、今年は予選が行われた土曜日から晴天に恵まれ、ドライバー、ギャラリーともに素晴らしいコンディションの中でレースに参加することが出来た。風は若干強かったものの、三方を堤防で囲まれたコース上にはさしたる影響は無い様子だった。

 週末の天候は早くから良好であることが予想され、各ドライバーともに路面温度の上昇を計算したタイヤチョイス、ドライビングを行っていた。気温が上がった2本目はタイヤもグリップ力を増した為、どのクラスも殆どのドライバーが2本目にベストラップを刻んでいる。ダンロップユーザーは1本目、軟質ダートで効果を発揮する「SP SPORT-73R」と今年から登場の「DIRREZA 74R」を選択。2本目は路面温度の上昇を見て「SP SPORT-85R」「SP SPORT-91R」「DIRREZA 86RW」へとスイッチする姿が目立った。

 先陣を切ったN1クラスでは上野倫広(インテグラ)が1、2本目ともに安定した走りで3位に食い込み表彰台を獲得した。ダンロップとしては幸先の良い立ち上がりだ。

原宴司、開幕ダッシュに成功

 続くN2クラスはほぼダンロップのワンメイククラスだが、ドライバー間の争いは激しく、第1戦丸和でも熾烈なデットヒートが繰り広げられた。ここモビリティおおむたでも混戦が予想されたが、勝利をあげたのは前年度クラスチャンピオンであり、開幕戦にも勝利している原宴司(ブーン)だった。条件が整っていなかった1本目でも他を0.5秒以上はなす1分44秒023という好タイム。勝負がかかった2本目も危なげなく好ラップを刻みクラス唯一の1分40秒台となる1分40秒947をマーク、実力の差を見せ付けたレースとなった。

 開幕好発進の原は破顔一笑「まさか開幕2連勝を飾れるとは思っていませんでしたよ。ダートトライアルと(チームスタッフとして関わっている)全日本ラリー、掛け持ちが忙しくって大変なんですが、この調子で頑張ります」と力強く宣言した。勢いを増した原を止められるのはどのドライバーだろうか。2位には開幕表彰台を逃した佐藤秀昭(ブーン)が入り、3位には2戦連続で伊藤益弘(ブーン)と、N2はこのレースでもダンロップユーザーが上位を独占した。

 N3クラスでは開幕を制した吉村修(ランサー)に注目が集まった。吉村は2本目のタイムアップが思うようにいかず3位にとどまったものの、1本目では他のドライバーを1秒以上引き離す1分38秒719という素晴らしい走りを見せており、好調さはキープされている様子。次戦以降も期待が持てる走りだった。

クラス初優勝の柴田

 続くSA1。事実上2本目一発勝負となったこのクラス、勝利を掴み取ったのはやはりダンロップを履く柴田一洋(インテグラ)だった。1本目トップと1秒差の2位につけると、ここでコース特性を把握し猛反撃。大栗一也(シビック)との熾烈なトップ争いに勝利し、見事表彰台の中央に立った。この二人のダンロップユーザーが共に1分41秒台、他のドライバーを寄せ付けない見事なドライブで1、2フィニッシュを決めている。

 このクラスでは初優勝となった柴田。感慨もひとしおと言ったところ「(クラスを)スイッチしてから2年目ですか、ようやく勝つことが出来ました。次のレース(北海道、オートスポーツランドスナガワ)も得意としている高速コースなので頑張ります」とのコメントを残している。喜びをかみしめながらも気持ちは早くも次のレースへと向かっているようだ。

おおむたとの相性抜群の北島

 SA2でもダンロップユーザーの快進撃は続く。主役は前戦3位に甘んじ、くすぶっていた北島広実(ランサー)だ。昨年も勝利をおさめているゲンのいいサーキット、今年もおおむたは北島の為にあった。1本目の1分36秒100、2本目の1分32秒924はともにトップタイム。特に2本目はクラス唯一の1分32秒台という特筆すべきもの。会心の走りで今季初優勝をモノにした。

 北島もこのコースとの相性は意識していたようで、表彰式でのインタビューでも「ここは初優勝した思い出深いイベントなんです。去年もここから勝ちだしたので、今年もそうなるように頑張ります」と述べている。昨季北島はおおむたから3戦連続で優勝、チャンピオン争いのイニシアチブをとっている。今季もその再現となるか期待が高まる。

伊豆田歓喜の初優勝

 嬉しい驚きはSC2クラスで起こった。歓喜の中央にはノーシードの伊豆田浩三(アルト)がいた。昨年のポイント獲得は最終戦テクニックステージタカタのみという伊豆田、無心の走りで勝利を手繰り寄せた。1本目は1分39秒台、トップと1秒5はなれていたが、十分表彰台が狙える位置につけてた。2本目は各車攻めの走りに出たためか完走できないマシンも表れるなど、一気に混戦模様。ここで伊豆田が1分35秒994というスーパーラップを叩き出し、一躍トップに躍り出た。小清水昭一郎(ミラジーノ)や岩田真理(ストーリア)らトップドライバー達が猛追するも誰も1分36秒の壁を破れない。焦りからかトラブルに見舞われるマシンも表れ、ここで伊豆田の全日本ダートトライアル初優勝が決定した。

 参戦歴は長いものの、表彰台の中央に立つのははじめての伊豆田、走りは素晴らしいものだったが、インタビューとなると話は別の様子、しどろもどろになる場面も多々あった。見かねた2位小清水が「初優勝なのだから泣いてもいいんだぞ!」と助け舟を出す場面も。しかし今後もこのパフォーマンスを続けていれば、自ずと滑らかにコメント出来るようになるだろう。さらなる活躍に期待したい。なお3位には岩田が入り、N3に続いてこのクラスでもダンロップユーザの表彰台独占が実現している。


 その他SC3では地元九州の橋本和信(ランサー)が1本目の遅れをものともせず3位を獲得、意地を見せた。

 開幕戦に続き、このレースでも4クラスで優勝と素晴らしい結果を残したダンロップ。次のレースは初夏の北海道砂川、気温の上昇する夏はダンロップタイヤの季節だ。