DUNLOP MOTORSPORT
ドライバー
第1戦 3月25日(日) DIRT-TRIAL in NASU
2012年のダートシーズンが到来!
開幕戦でダンロップ勢が6クラスを制す


午前中は那須連山から吹き下ろされる寒風で気温が上がらず、水気を含んだ路面でスタート。だが2本目には太陽が顔をのぞかせ路面状況は好転し開幕戦は2本目勝負となった。

3月18日にスタートした全日本ジムカーナに続き、今週は全日本ダートラが栃木県にある丸和オートランド那須で開幕。2012年のモータースポーツシーズンも本格化してきた。昨年全9クラス中8クラスでチャンピオンを獲得したダンロップ勢、今シーズンは全クラス制覇を目指す。大きなトピックスとしては、一大勢力となる17台のエントリーを集めたPNクラス。チャンピオンの川島秀樹は、新型スイフトでポテンシャルアップし3連覇を狙う。N1クラスで5勝を挙げいち早くチャンピオンを決めた黒木陽介は、オーディションを経てケン・ミレニアムチーム(KMRT)入り。ランサー・エボIXに乗り換えてN3クラスに参戦だ。さらにKMRTにはSA2クラスで山尾英史も参加が決まるなど、今シーズンも話題を提供してくれそうだ。

AEクラススタート元年となった昨年、プリウスで参戦し続けた石垣晴恵が現行車のCR-Zにスイッチしてエントリー。今シーズンこそ成立を目指してチャレンジを続ける。

ランサー・エボXを駆りN3クラスのチャンピオンを獲得した吉村修は、SC3クラスに移行。Dクラスでは、強豪炭山義昭がタイヤをダンロップにスイッチ。昨年初代プリウスでAEクラスに参加していた石垣晴恵は、CR-Zに乗り換えた。今回は1台のみの参加で不成立だったがAEクラス成立に向け、エントリーを続けるなどパドックは話題にあふれていた。
日曜日の決勝当日、遠く連なる那須連山は未だ雪化粧が解けていない。薄曇りの中スタートした競技だが、途中で風が強くなり始めると気温が一気に低下。防寒具無しでは震えてしまうほどの体感温度だ。路面は前日まで降っていた雨をしっかりと含んだダート。1本目後半ゼッケンに入ると薄日が射し始め、砂ボコリが上がり始める。勝負の2本目!早速ダンロップ勢の活躍を報告しよう。

チャンピオン経験者が数多く参戦するN1クラス。今回はシード勢の中でも、丸和をホームコースとする児島泰が一歩抜きん出て開幕戦優を飾りチャンピオン奪還を狙う。

16台が参加したN1クラス。昨年の覇者黒木はN3に移ったが、シード勢をはじめNSXでエントリーする河石潤などチャンピオン経験者が数多く参加し面白い。今回はシード勢の一角、昨年シリーズ2位の児島泰が得意の丸和で速さを見せる。1本目に1分48秒762でトップに立つと、路面状況の好転した2本目に6秒近くのタイムアップ!ラストゼッケンで1分42秒316を叩き出して、2位坂井義浩を逆転。幸先の良いスタートを切った。

得意の丸和で快走を見せた青木辰之が1、2本目ともにトップを奪い開幕戦を制した。N2クラスに移って3年目となる今シーズン、チャンピオン争いの本命となれるか?

リトルモンスターと呼ばれるダイハツブーン、ストーリアX4などで争われるN2クラス。昨年、『還暦前』チャンピオンを獲得した伊藤益弘をはじめ今回は9台が参加。1本目トップに立ったのは、以前走っていたSC2クラスの頃から丸和を得意としていた青木辰之。仕切り直しとなった2本目、1分41秒825を叩き出して再びトップを奪い返す。このタイムには西田裕一、伊藤のシード勢も追いつけない。N2クラスに移って3年目となる今シーズン、開幕戦優勝という最高のスタートを切れた青木。「幸先の良い1勝なんでこれを弾みにして頑張りたい」とチャンピオン争いに名乗りを上げた1戦となった。

2本目のタイムアップで2年ぶり2回目の全日本優勝を飾った佐藤孝行。自身最上位となるシリーズ3位を更新するべく、最高の開幕戦となったに違いない。

チャンピオンの吉村がSC3クラスに移ったN3クラス。しかしトップランカーの多くがクラスに残り、昨年同様激しい戦いが予想される。1本目トップに立ったのは、昨年のシリーズ2位、今シーズンもチャンピオン大本命の北島広実。1分38秒422のトップタイムに僅差で続いたのは地元栃木の赤羽政幸、そして注目のN1チャンピオン黒木は39秒台で3位につける。タイムアップ合戦となった2本目に入り次々とトップタイムが更新される。36秒台で推移していたタイムを1分35秒453に叩き込んだのは影山浩一郎。続いてシード勢の先陣を切って佐藤孝行が1分35秒377で景山をかわしてトップに。だがここからタイムが伸びない。赤羽、北島ともに36秒台に終わり佐藤が約2年ぶりの優勝を飾る。2010年の第2戦丸和以来2回目の全日本優勝、シリーズ最上位は2010年の3位とトップに絡んできた佐藤。「今回は2位の影山選手とオリジナルボックス勢で1-2フィニッシュできたのが嬉しいです。ことしは丸和以外でも勝ちたいですね」とニッコリ。自身のシリーズ最上位を更新と、チャンピオン獲得に向けスタートダッシュをかける。

路面状況が好転した2本目に一気にトップタイムを跳ね上げた稲葉幸嗣。シード勢もこのタイムを抜くことが出来ず、稲葉がうれしい全日本初優勝を飾った。

薄曇りの中寒風が吹きすさんだ1本目、水分を含んだ路面が乾き始めたのはSCやDクラスなど後半ゼッケンになってから。大半の選手たちがウェット用の74Rを選択していた。路面が乾き、砂ボコリが立ち始めた2本目、多くの選手が幅広い路面に対応する87Rをチョイスし始めた。序盤42秒台で更新されていったトップタイムを一気に1分40秒135に引き上げたのが、赤いミラージュに乗る栃木の稲葉幸嗣だった。その後このタイムが更新されないまま、シードゼッケン勢がスタート。昨年のシリーズ2位山崎利博が40秒台に叩きこむが、1分40秒374とコンマ2.3秒届かない。ラストゼッケン、チャンピオンの市村弘義がスタート。シード勢が87Rを選択する中、市村は74Rをチョイス。元祖丸和スペシャリストのタイムに注目が集まる。だが、ゴールしたタイムは1分40秒309……。開幕戦で稲葉の全日本初優勝が決まった。これまで、稲葉の成績は2009年サーキットパーク切谷内での2位が最上位。転勤で栃木に来てメープルスポーツに出入りするようになり、メキメキと速さを増してきた。「ミラージュで頑張れて良かった」とうれしい初優勝! 今シーズン、稲葉のこれからの活躍を期待したい。

1、2本目ともに2位以下を圧倒する走りを見せた青森の工藤清美。ベース車両の組成の良さを生かしたシビックタイプRで今シーズンもチャンピオン獲得を目指す。

8台と寂しいエントリー台数となってしまったSC1クラスだが、新旧シビック、インテグラに加えFTOにMR2と豊富な車種バリエーション。甲高いエキゾーストノートを響かせて走り抜ける姿は、改造車こそダートラの華という選手たちの心意気が伝わるシーンだ。2011年のチャンピオン工藤清美がことしも参戦。1本目に1分41秒860と2位以下をぶっちぎる走りを見せる。仕切り直しとなった2本目に入ってタイムは更新されてしまったものの、最終ゼッケン工藤は焦らず自己タイムを最更新。刻まれたタイムは1分37秒809と圧勝!今シーズンも工藤を中心にシリーズは展開してゆきそうだ。

息子の裕矢がSC3クラスに参戦していたこともあって、お爺ちゃんの顔を見せていた炭山義昭だったが、ダンロップ移籍初戦を大逆転での優勝とキッチリ締めくくってくれた。

冒頭に書いたようにDクラスの炭山義昭が、今シーズンからタイヤをダンロップにスイッチ。さらにSC3クラスを連覇していた谷田川敏幸がDクラスに参戦してきた。古豪、強豪入り乱れての参加にDクラスは16台のエントリー台数を集めた。今シーズンの全日本ダートラは最後の最後まで目が離せない展開が続きそうだ。注目の1本目、炭山は87Rをチョイスし1分33秒482を叩き出してトップに立つ。ライバルの谷田川は硬質路面用のタイヤで炭山に次ぐ1分34秒426。2本目に入ると路面コンディションは好転。コース随所で表面の砂利が履け、超硬質路面が顔を見せる。炭山、谷田川ともに愛車のバイクでコース隅々まで走り回り、路面チェックに余念がない。その中で出した炭山のチョイスは91R。2本目後半に入り、こちらも元祖丸和スペシャリスト亀山晃が1分33秒298と炭山のタイムを更新する。1台挟んで谷田川のタイムは1分31秒978!会場から驚きの歓声が上がる。観客の注目が集まる中、ラストゼッケンの炭山がスタート。限界までチューニングされた信頼のマシンは、炭山の手足のように正確なラインをトレースする。ゴールするとタイムは?1分31秒093!!全日本ダートラの開幕戦は、最後の最後での逆転という劇的な結末を迎えた。
「タイヤが変わって心機一転、ライバルも増えたんでがんばります。正直プレッシャーもあったんだけどね」と炭山。さらに嬉しいことに今回は息子の裕矢もSC3クラスで優勝を飾り、ダートラ界でも初めての親子優勝。ダンロップでのスタートに大きな華を添えた。
今シーズンも見所が増えた全日本ダートラは全8戦で行われる。第2戦は、4月14~15日に九州のモビリティおおむたで開催される。近くの人は一度観戦してみることをオススメしたい!