第1戦 3月23日(日) 丸和オートランド那須
ダンロップユーザー快進撃、春の那須で4クラス制覇

雲ひとつない快晴の丸和

 今年も北海道から九州まで、全国各地を転戦して行われる全日本ダートトライアル選手権が開幕した。全8戦で行われる選手権の初戦は、那須塩原温泉の程近くにある北関東屈指のハイスピードダートコース、丸和オートランド那須が舞台だ。この丸和オートランド那須を会場とした「ケン・ミレニアムカップ」は今年で3回目の開催、全日本選手権開幕戦、しかも入場無料ということもあり、県の内外から多数のギャラリーが訪れた。エキシビジョンでは昨年圧倒的な強さで全日本ラリー選手権を制した勝田範彦が登場、場内は大きく沸いた。

 今年のダートトライアル選手権、ダンロップユーザーでは3人のディフェンディングチャンピオン。昨季終盤の2連勝で逆転優勝をものにしたN1河石潤(インテグラ)、岡林亮太(ブーン)佐藤秀昭(ブーン)との激闘の末チャンピオンとなったN2原宴司(ブーン)、そして年間を通じて安定した走りを披露したN3吉村修(ランサー)、この3人が今季もその強さを見せるのかに注目が集まる。また昨年SC3にクラスを変更して臨んだ北村和浩(インプレッサ)は再度SA2にクラス変更、こちらも目が離せない。

 決勝当日の天候はこれ以上無い快晴。春の日差しがコースを照らし、路面温度はこの時期にしては高めとなった。路面状況はドライながら、ところどころに散水の影響があり、ダンロップユーザーでもタイヤチョイスが分かれた。このレースでは「SP SPORT 73-R」「SP SPORT 85-R」「SP SPORT 91-R」「DIREZZA 86R」「DIREZZA 86RW」そして今季から登場した「DIREZZA 74R」が使用されている。「DIREZZA 74R」は「SP SPORT 73-R」の進化型ともいえるタイヤで、より幅広い路面状況で効果を発揮するよう設計されている。レースではこの「DIREZZA 74R」も実戦初投入ながら十二分に効果を発揮した。

2本ともにトップ、磐石の河石

 先陣を切ったN1クラス、昨年度覇者河石潤が貫禄の強さをみせる。1本目の1分50秒464、2本目の1分48秒705はともにトップタイム。他を寄せ付けない見事な走りで見事優勝となった。

新タイヤとも相性抜群、河石潤

 初戦を制した河石は「土曜日の公開練習からDIREZZA 74Rをはいていたんですが、丸和との相性がバッチリで勝つことが出来ました」と新しいタイヤの性能に満足した様子だった。

またしても混戦を制した原

 続くN2クラスはまさにダンロップユーザーの独壇場、昨年の熱戦もそのままにハイクラスのバトルが展開された。しかし一つのミスも許されない白熱した状況の中にあってもチャンプは強かった。原宴司は1本目にトップタイムをマーク、2本目は岡林亮太等の猛烈な追い上げにあったもののこれを僅差でかわし、再びトップタイムを叩き出し逆転。風格さえ感じさせる王者の走りで見事な勝利を上げた。さらにその岡林亮太が2位、伊藤益弘が3位に入りダンロップユーザーが表彰台を独占。それだけにとどまらず、なんと4位五味真一、5位佐藤秀昭までがダンロップユーザー。圧倒的な強さを見せ付けたかっこうだ。

表彰台をダンロップが独占

 熱戦をものにした原だがコメントは至って謙虚。手短に「なんとか優勝することが出来ました。次も頑張っていきます」と述べている。

重圧をはね退け優勝した吉村

 こうなるともう止まらない。N3のディフェンシブチャンピオン吉村修も魅せた。1本目赤羽政幸(ランサー)とともに1分40秒台となる1分40秒968でトップに立つと、路面状況が良化し各車タイムアップが続いた2本目ではタイヤをDIREZZA 86RWにスイッチ、一気に3秒以上もタイムを縮める1分37秒916の好タイムで勝負あり。同じく2本目DIREZZA 86RWへとタイヤ変更した山野光司(ランサー)が素晴らしいタイムで3位に食い込み、このクラスではダンロップの1、3フィニッシュとなった。

吉村、安堵の表情が浮かぶ

 昨年初めて王者に輝いた吉村、タイム上は危なげない勝利だったが、重圧は相当だったようだ「去年初めてチャンピオン。このレースがそこから初めてのレースになって、すごく緊張しましたよ。ただ土曜日の公開練習の時にはトップタイムを出せていたので、決勝は思い切っていきました」とレースを振り返った。

見事な走りで開幕を制した川島

 ダンロップユーザーの進撃は止まらない。主人公となったのは昨年SA1クラス惜しくも総合3位に終わったベテラン川島秀樹(インテグラ)彼にとっては捲土重来を期すシーズンイン、この一戦はぜひともとりたいレースだった。1本目1分50秒127と伸び悩み4位にとどまったものの、コースコンディションが変わった2本目にタイヤをDIREZZA 86RWへと変更、猛ラッシュをかけた。タイムは1本目より3秒近く速い1分46秒251。この時点でのトップに立つ。他のライバル達も猛追したが届かず、川島の開幕戦は最良の結果となった。柴田一洋(インテグラ)は堂々の2位入賞、大栗一也は2位柴田にコンマ005秒差という僅差で3位に入った。N2クラスに続く表彰台独占だ。

SA1もダンロップの独壇場

「20年ダートトライアルを続けていますけれど、開幕戦を初めてとれましたね。86RWとの相性が良かったんで優勝できましたよ」と喜びをかみしめる川島、タイヤチョイスも決まり、会心の勝利といったところだろうか。


 この他、注目のSA2では北村和浩が思ったようにタイムを伸ばせなかったものの、櫛田正文(ランサー)が2本目勝負に打ち勝ち2位、さらに北島広実(ランサー)もこれに続き3位表彰台をゲットしている。またSC1でも工藤清美(シビック)が勝負の2本目にSP SPORT 91-Rを装着、これがタイム短縮につながり1分44秒857で2位に食い込んだ。SC2でも岩田真理(ストーリア)が1本目4位から2本目にジャンプアップ、3位表彰台を獲得した。SC3では梶岡悟(インプレッサ)が苦しい状況下手堅く3位に入った。

 終わってみればダンロップ勢が4クラス制覇、さらに2クラスで表彰台独占と、ほぼ完璧な内容でスタートダッシュに成功、新型タイヤも初実戦ながら上々の結果を残している。この勢いを次の戦いの場、九州大牟田のモビリティおおむたまで繋げたい。