第1戦 3月25日(日) 丸和オートランド那須
開幕戦・丸和は予想どおりの2本目勝負
生乾きのドライ路面に苦戦しつつも
ダンロップユーザーが各クラスで健闘!


雨中の慣熟歩行

 全8戦で争われる全日本ダートトライアル選手権がことしも開幕した。開幕戦の舞台は、昨年と同様の栃木県にある『丸和オートランド那須』。ここは日本を代表するダートコースとして知られていて、だれが勝つかわからないシードドライバー同士の白熱した戦いが予想された。ことしで2年目となる『ケン・ミレニアムカップ』は、ギャラリー入場料が無料で、ゲストドライバーとして2005年世界プロダクションカーラリー選手権(PWRC)チャンピオンの新井敏弘選手が訪れるなど、賑々しいイベントとして好評を博している。
 当日のコースレイアウトは、丸和オートランド那須では定番の左回りの基本レイアウトがベース。前半セクションは比較的ハイスピードで、象の鼻と言われる高速コーナーは逆走で使用された。後半セクションではタイトな180度ターンが1箇所、ゴール直前にS字状の180度ターンが2箇所採用されるテクニカルな構成となった。
 当日の天候は弱い雨が降り続く状況で始まった。天気予報は雨のち曇り。1本目は弱い雨が降り続き、砂利も多かったためウエットコンディションで競技が進行した。その雨もお昼ごろには止み、2本目には陽は射さないものの気温が上がった。目立った路面の荒れもなかったため、2本目は好タイムを狙えるドライ路面となった。

N2・岡林選手

 ことしもダンロップワンメイク状態となっているN2クラス。1本目はSP SPORT 73-Rを装着した戦いで、ダイハツワークスドライバーの佐藤秀昭選手(ブーン)がトップタイムをマークした。2本目は路面が乾き始めてきたため、SP SPORT 85-Rを装着。シードドライバーが好タイムをマークするかと思われたが、昨年優勝している伊藤益弘選手(ブーン)が前半セクションでコースオフ。昨年のチャンピオンである原宴司選手(ブーン)は前半でベストタイムを刻んだものの、エンジントラブルに見舞われて失速してしまった。結局、1本目で4位だった岡林亮太選手(ブーン)が手堅い走りで順位を上げて2位を獲得した。

N3・赤羽選手

 N3クラスは、昨年のチャンピオン荒井信介選手(ランサー)がSA2クラスに移行したため、シリーズ2位の吉村修選手(ランサー)の活躍に注目が集まった。ウエットの1本目は予想どおり吉村選手がトップタイム。ドライ路面への変わり目でタイヤ選択が難しい状況となった2本目は、ほとんどの選手がDIREZZA 86-Rを装着して挑む。そこで昨年2位を獲得した影山浩一郎選手(ランサー)や地元栃木の赤羽政幸選手(ランサー)が続々とベストタイムをマーク。シードドライバーの山野光司選手(ランサー)も2位のタイムを刻んで、最終出走の吉村選手の走りに期待が集まった。しかし、前半セクションでオーバースピードによるタイムロスが生じて4位に終わってしまった。結局、赤羽選手が2位、山野選手が3位となり、表彰台の半分をダンロップユーザーが独占した。

SA1・柴田選手

 SA1クラスでは、昨年のN1クラスの覇者である柴田一洋選手(インテグラ)が気分を新たに挑戦してきた。迎え打つのは一昨年のチャンピオン川島秀樹選手(インテグラ)。DC5インテグラ同士の対決に関心が集まった。1本目はSP SPORT 73-Rを装着した戦いで、川島選手がトップタイムをマークした。ほぼドライ路面に変わってきた2本目は、川島選手がDIREZZA 86-RWを装着、1本目は大きく沈んだ柴田選手はDIREZZA 86-Rを装着して挑んだ。後がない柴田選手は渾身の走りを見せてベストタイムをマーク。続く川島選手は逆転ならず2位に終わる。ともに新しいマシンを投入した両選手だったが、ことしの活躍を期待できる良好な結果を獲得した。

SA2・北島選手

 SA2クラスは、昨年のシリーズ2位である北島広美選手(ランサー)がSP SPORT 73-Rを装着して1本目のベストタイムをマークした。ドライ路面になった2本目は、昨年から引き続きSA2クラスを戦う全日本ダートラ最年長ドライバーである櫛田正文選手(ランサー)が手堅い走りを見せて3位を獲得。そして櫛田選手と同様に215サイズのDIREZZA 86-Rを装着して挑んだ北島選手だったが、変わり始めた路面に苦戦して、惜しくも2位に終わってしまった。

SC1・鈴木選手

 SC1クラスは、昨年の開幕戦の覇者である地元のすずきみがく選手(インテグラ)の走りに注目が集まった。しかし、1本目のベストタイムをマークしたのは、ことしからダンロップタイヤを装着することになった青森の工藤清美選手(シビック)。ドライ路面となった2本目は、工藤選手はSP SPORT 85-Rを装着して挑んだが、慣れないタイヤの感触に苦戦し4位に終わってしまう。そして期待のすずきみがく選手は、DIREZZA 86-Rを装着。1本目ではマシンの調整に手間取っていたものの好調を戻してベストタイムを更新した。しかし昨年のチャンピオン石井淳選手(インテグラ)に逆転され、2位に終わってしまった。

SC2・小清水選手

 SC2クラスでは、昨年のチャンピオン小清水昭一郎選手(ミラジーノ)の活躍が期待されたが、何とインフルエンザに罹患してしまい集中力が高まらない状況で1本目が始まった。しかし、チャンピオンの威厳を見せて1本目はベストタイムを刻んだ。ドライ路面となった2本目は、SP SPORT 85-Rを装着した酒井洋二選手(アルト)やDIREZZA 86-Rを装着した岩田真理選手(ストーリア)らが続々と好タイムをマーク。SP SPORT 85-Rを装着した小清水選手の走りに注目が集まったが、SP SPORT 85-Rを装着して挑んだ川口つぐみ選手(アルト)のコースアウトにより再出走した青木辰之選手(ミラアヴィ)に逆転されて、3位に終わってしまった。

SC3・亀山選手

 SC3クラスには、昨年のSA2クラスチャンピオン、北村和浩選手(インプレッサ)が挑戦することになり、大きな注目を浴びていた。そして、ここ丸和オートランド那須には絶大の自信を持つ地元栃木のベテランドライバー亀山晃選手(ランサー)の走りにも期待が集まっていた。初のSC3クラスへの挑戦となる北村選手は、マシンの熟成を進めている状況ながらも1本目では4位を獲得。亀山選手も1位と僅差の2位を獲得。ともにSP SPORT 73-Rを装着したウエット路面での勝負だったため、2本目の逆転を誓った。ドライ路面となった午後の勝負では、北村選手がDIREZZA 86-Rを装着して挑み、ベストタイムを更新した。続く亀山選手が215サイズのDIREZZA 86-Rを装着してベストタイムを更新。1本目では6位だった丹羽政彦選手(ランサー)は下位に低迷し、昨年の開幕戦の覇者である梶岡悟選手(インプレッサ)は3位のタイムを獲得した。昨年のシリーズ2位だった炭山義昭選手(ランサー)が驚異的な中間計測タイムを刻んだが、途中でコースアウトしたため、亀山選手の優勝が期待されたものの、昨年のチャンピオン谷田川敏幸選手(インプレッサ)が再出走ながらも逆転。亀山選手は2位に終わってしまった。昨年のストーリアからことしブーンにスイッチしたダイハツワークスの平塚忠博選手が5位を獲得したことも見逃せない。マシンがシェイクダウン状態ながら出したこの成績は、ことしのSC3クラスの熱いチャンピオン争いの幕開けを予感させるものとなった。

天気が回復した表彰式

 今回は1本目がウエット路面だったため、ほとんどの選手がSP SPORT 73-Rを装着。2本目では、超硬質ドライ路面にまでは好転しなかったものの、ドライタイヤにマッチするフラットダートが得られたため、 SP SPORT 85-RやSP SPORT 86-Rを装着して挑む選手が多かった。第2戦の会場は福岡県の三井オートスポーツランド。有明海を背景にした、ハイスピード&テクニカルがミックスしたレイアウトが好評のコースで、さらに熱い戦いが展開されそうだ。