DUNLOP MOTORSPORT
ドライバー
特別戦 11月3日(日) 丸和オートランド那須
2013年度最後のダートラビックイベント
ダンロップ勢が8クラスを制す!


大きく変貌した丸和の路面に選手から注目が集まった2013年のJAF CUPダートラ。秋の好天のなか、多くの選手が全国から集まった。

3月からシーズンインした2013年のモータースポーツシーズンは、あっという間に最終章に突入。ダートトライアル競技では、最後のビックイベントとなるJAF CUPダートトライアルが栃木県にある丸和オートランド那須で開催された。JAF CUPダートトライアルとは全国を8ブロックに分けた各地の地区戦を勝ち抜いた上位の選手たちと、全日本トップランカーが一同に集まるイベント。地区戦の選手たちにとっては、全日本選手の胸を借りて自分の実力を試すには絶好のイベントで、来年の全日本の行方を占う意味でも、注目の戦いだ。土曜日に行われた公式練習では前夜の雨が残ったものの、浮き砂利の乗った路面を全車が走行。だが明けて決勝になると参加者たちから驚きの声が上がった。前日の走行で浮き砂利が飛ばされたあとから、コンクリートで固められた硬質路面が出現してきたのだ。「舗装を走っているみたい」、「今庄の路面のようだ」といった声がベテランからも聞かれた。路面適応能力の高い全日本勢か?それとも丸和を走り慣れている地元地区戦勢か?注目の戦いを早速見てみよう。

2012年に引き続き、JAF CUP連覇を達成した坂井義浩。「今年は全日本戦では一回も勝てなかったのが最後のビックイベントで勝てた」と笑顔を見せる。

砂ボコリ飛散防止のため、スタート前に撒かれた散水がまだ色濃く残るN1クラスのスタート順。コース内のあちこちに水たまりが残り、固められた路面は滑りやすい状況で大半のダンロップユーザーが87Rをチョイスする。気温の上がる午後に向けての2本目勝負となった。N1クラストップゼッケンの古沢和夫が1分31秒708をたたき出すと、続く細木智矢が1分31秒616で逆転。トップタイムは1本目に比べ一気に2秒以上アップしてきた。細木のタイムは更新されないまま最終ゼッケンの坂井義浩がゴールする。タイムは1分31秒358で逆転!昨年度に続くJAF CUP2連覇を達成した。「これが勝因という大きなものは無かったんですが、チームのみなさんにクルマを完璧にしてもらって全く不安無く走る事ができました。91Rも用意していたんですが、温度と路面が水分を含んでいた事を総合的に考えると87Rかなと。今年は全日本戦では一回も勝てなかったのが最後のビックイベントで勝てた、それと今年JAFが50周年でその刻印がされた盾をもらえたのがうれしいですね」と坂井。2014年シーズンの活躍を期待しよう。

「地元の利を生かせた」と語る熊川嘉則がN2クラス最後の戦いを制してJAF CUPを獲得。2014年の活躍が楽しみだ。

全日本チャンピオン西田裕一をはじめ、全日本トップランカーたちが勢ぞろいしたN2クラス。シーズン中からも2013年までと決めて走り続けてきた選手たちの最後の戦いとなった。1本目トップタイムを叩き出したのは熊川嘉則。クラスただ一人の32秒台で一歩先行する。続く2本目に入ると熊川は1分31秒469まで自己タイムを更新して、後半ゼッケン勢を待つ。全日本2位の伊藤益弘が1分31秒990と追い上げるもコンマ5秒届かず。続く最終ゼッケンの西田裕一がゴールするとタイムは1分31秒621……。熊川が全日本戦の雪辱を晴らし、初のJAF CUPを獲得した。「走り慣れたコースだったので、地元の利だと思います。N2クラス最後の最後でやっと優勝する事ができました。これで心おきなく卒業できます!」と熊川。2011年から1年おいて、2013年に入って再び全日本のN2クラスにエントリーしてきた。その度に当たってきた壁を最後の最後に乗り越えることが出来た。2014年シーズンのさらなる活躍にも期待したい。

「ランサーで走るのは最後」と語る佐藤隆行が2012年のチャンピオンの意地を見せてJAF CUPを制し、有終の美を飾った。

20台と多くのエントリーを集めたN3クラス。このクラスにも2013年のトップランカーたちが集まり、全日本勢中心の争いが予想された。しかし、ここに食い込んできたのが地元関東の宮地雅弘。1本目に1分28秒810でトップに立つと、2本目に入ってさらに自己タイムを更新する。宮地の叩き出した1分26秒191はなかなか破られること無く、N3クラスの戦いは後半ゼッケンを迎える。ここで2012年のチャンピオン佐藤隆行が意地を見せる。1本目下位に沈んでいたものの、なんと6.2秒アップの1分25秒838というぶっちぎりのタイムを叩き出す。残るは北島広実と2013年チャンピオンの北條倫史ふたり。北島は1分26秒766、北條は1分26秒409に終わり、佐藤の見事な逆転勝ち!「ボク自身は丸和で育ってきたんですけど、今日はいつもと違う舗装の比率が高い路面でした。北條さんが速いのは分かっていたので、これまでに試したことの無い走り方で走りました。タイムが出て良かったです。とりあえずランサーでダートラを走るのはこれで最後になると思うので有終の美を飾れて良かったです」と佐藤。昨シーズンは3勝を挙げあれよあれよという間にチャンピオンを獲得した佐藤だったが、今シーズンは1勝にとどまり思った以上の活躍ができなかった。その憂さを晴らすかのような勝利は2014年シーズンの活躍を予感させるものだった。

悔しい結果に終わった全日本最終戦。1点差でシリーズチャンピオンを逃した稲葉幸嗣だったが、逆転で見事JAF CUPを獲得した。

全日本では最終戦まで息の詰まるようなチャンピオン争いを繰り広げたSA1クラス。今回はシリーズ3位と悔しい思いを残した稲葉幸嗣がエントリーしてきた。1本目こそ2位に終わったものの、シーズンの締めくくりを良い形で終えたいという気持ちは強かったはず。2本目に入ると1分30秒159でトップに立っていた佐藤孝を最後の最後に逆転!1分29秒609とクラスただひとりの29秒台に突入してJAF CUPを獲得した。「DC5に乗り換えて1年、全日本の丸和ではマシンを壊してしまいシリーズでは1点差で3位に終わりあまり良い思いはできない1年でした。けれど最後にJAF CUPを獲る事ができて本当にうれしいです。これも支えていただいたチームのみなさんのおかげだと思います」と表彰式で語った稲葉。2014年に向けて、雪辱を期す。

全日本戦では参戦したイベントすべてで優勝を飾り、無敵のチャンピオンを獲得した工藤清美。2013年はJAF CUPも手中におさめ最良のシーズンとなった。

全日本戦では圧倒的な速さでエントリーした5戦すべてで優勝を飾り、SC1クラス満点チャンピオンを獲得した工藤清美。その強さはJAF CUPでも健在だった。1本目に1分33秒909でトップに立つと、2本目は1分29秒119とタイムアップ。2013年シーズン、ライバルと目されていた児島泰にコンマ6秒差まで迫られたものの再び逆転、その速さを見せつけた。2013年は全日本とJAF CUPを合わせ、参戦したイベント6戦すべてで優勝を飾るという偉業を達成した。「サーキットを走ったりした経験も活かす事ができました。来年もまた皆さんと戦いたいと思います」と工藤。2014シーズン工藤を止めるライバルは現れるか?

村瀬秋男に獲られた2013年の中部地区戦タイトル。その雪辱を晴らすべく1998年第5戦以来の丸和に遠征してきた西尾賢治が2本目に1分29秒740でJAF CUPを手にした。

車両の残存数が少なくなった事から、各地区でなかなか成立しづらいクラスとなってしまったSC2クラスだが、今回のJAF CUPではエントリー5台で成立。2013シーズン中部地区でチャンピオンを獲得したベテラン村瀬秋男を中心にイベントは展開するかと思いきや……。ストーリアを駆る西尾賢治が2本目に1分29秒740で村瀬と2位に滑り込んだ福田貴一を逆転した。「今年は中部のチャンピオンを獲るつもりだったんですが、村瀬さんに逆転されて負けてしまったんで……。その雪辱ができました。中部はこのクラス、ナンバー付きも無しも一緒だったんで成立してました。丸和の前評判は聞いていましたが、壊れたら壊れたまでだし(笑)、それがダートラですから。だから気になりませんでした。丸和は10数年前に全日本で走った事があるんですけどね」と西尾。1998年第5戦以来の丸和でJAF CUPの栄冠を獲得した。

全日本戦ではシーズン0勝に終わった2013年。その雪辱を晴らすべく気合い十分で丸和に乗り込んできた吉村修がJAF CUPを手にした。

こちらも大幅なタイムアップで2本目勝負となったSC3クラス。全日本では不調にあえぎ2013シーズンは未勝利に終わった吉村修だったが、今回のJAF CUPには並々ならぬ意気込みでエントリーしてきた。その吉村は1本目を1分28秒327でトップフィニッシュ。路面コンディションの良くなった2本目でも、大きくタイムアップしてきた2番手以下を再逆転する1分24秒960を叩き出し、2007年以来4度目のJAF CUPを獲得した。「今年は全日本で1勝もしてなかったですからね。なんとかJAF CUPだけでもと気合い入れて来てました。路面は前半結構パンパンだったんですけど、後半は水が残ってました。だから前半で稼げるだけ稼いで、後半は押さえ気味に走りました。結局それがうまい事いった感じですね。今回は91Rが前半のハイスピード部分に合っていたので、後半はミスしないように走ったんですけど、最後にイン側に乗り上げてコケそうになちゃって(笑)後半戦タカタくらいからいい感じで走れていたので、来年につながる勝利になったんじゃないかと思います」と吉村。2014年に向け良いイメージを残してのシーズン終了となった。

『元祖丸和の主』亀山晃がライバルたちとの接戦を制し、2位にコンマ2秒差で逆転!2003年以来10年ぶりにJAF CUPを手にした。

全国から15台のエントリーを集めたDクラス。高度にチューニングされたマシンとベテラン勢の華麗なテクニックは、まさにダートラの華と形容するにふさわしい戦いが展開された。結果的には1分23秒台に上位3人が食い込むという接戦を制したのは『元祖丸和の主』と呼ばれる亀山晃。1分23秒695を叩き出し、2位の炭山義昭との差はわずかコンマ2秒という接戦を制した。表彰式で、「丸和では絶対勝ちたいと思ってるんだけど、なかなかライバルが勝たしてくれない」と語った亀山だったが勝因を聞いてみると、「マジメに練習した事が一つ。それとタイヤを迷わなかった事が勝因かな? 1本目87Rでまあまあなところで走れたので、2本目はセッティングも変えず走りに集中したのが良かったですね。今回の丸和の路面は非常に難しかったんじゃないかな」とコメント。ベテランでも勝つのが難しいDクラスでの勝利を笑顔で喜んでいた。今回のJAF CUPをもって2013年ダートトライアルのビックイベントはすべて終了、これでシーズンオフに入る。今シーズン好成績を収めた選手や、雪辱を期し来シーズンを目指している選手たちの、2014年の活躍も期待しています!