第5戦 8月26日(日) エビスサーキット
Rd.5 Report

野村選手練習走行

 2007年のD1グランプリは、この第5戦から後半戦に突入する。会場は開幕戦が行なわれたドリフトの聖地・エビスサーキットだ。ダンロップワークスはお馴染みの野村選手と日比野選手。2004年の第3戦ではこの両者がトーナメント決勝で激突、死闘を繰り広げた末に野村選手が優勝している。どちらにとっても、思い入れのあるコースであることは間違いないだろう。なお、現時点でのシリーズランキングは野村選手が4位、日比野選手が8位。また今回は、ダンロップタイヤを装着する猪瀬選手が初のシード入りを果たしている。その熱い走りにも期待したい。

日比野選手1回戦

 野村、日比野、そして猪瀬のダンロップ勢はいずれもシードのため予選は免除。戦いは26日の1回戦からスタートだ。一番手は野村選手。コースインするだけで拍手が巻き起こる人気ぶりは相変わらずで、それに負けじと走りも「さすがはシード」というレベルの高さ。会場を真っ白に覆うタイヤスモークと深い角度でアピールし、無難にトーナメント進出を決める。いっぽう日比野選手も、「ハチロクではあり得ない」と審査員に言わしめる激走をみせ1回戦を通過。また、猪瀬選手も15位でベスト16に残ることができた。

BEST16野村VS末永

 ベスト16で野村選手が対するのは、ランキングトップの末永正雄選手。1本目は両者まったくの互角で、ハイレベルな駆け引きを繰り広げる。2本目は1コーナーで後追いの野村選手が懐に飛び込み、さらに2コーナーでもノーズを食い込ませる。これが決め手となり、野村選手がベスト8進出! 日比野選手は180SX使いのベテラン、福田浩司選手との対戦だ。後追いの1本目、福田選手が2コーナー立ち上がりで流されたところを見逃さず、頭をねじ込んでオーバーテイク。2本目も軽量&ハイパワーの利点を活かし、2コーナーからの加速で引き離す。文句ナシの横綱相撲といえる走りだった。猪瀬選手は同じS15使いの川畑真人選手とサドンデスの末、惜しくもベスト16で姿を消した。

BEST8日比野VS手塚

 そしてベスト8。日比野選手はスカイラインを駆る手塚強選手との対戦だ。1本目の後追い、ハイスピードで1コーナーに飛び込んだ日比野選手は、減速し切れずに手塚選手をプッシングしてしまう。あまりにも大きいミスで、日比野選手はここで敗退。続いて野村選手と川畑真人選手の戦い。1本目と2本目は両者ともわずかなミスがあり、サドンデスに突入する。3本目を4:6で奪われ、背水の陣で臨んだ4本目に野村選手が魅せる。1コーナー、イン側のダートを使い接触するような勢いで食い込んだのだ。それでポイントを振り出しに戻し、またも勝負はつかず。5本目以降も野村選手は集中力を切らさず、6本目に川畑選手がとうとうミスを犯す。野村選手が1コーナーで川畑選手を押す形になるが、それは川畑選手のドリフトが戻ったことが原因。6本目にして準決勝進出が決定!

準決勝野村VS手塚

 野村選手と手塚強選手の準決勝は、事実上の決勝戦ともいえる激戦となった。1本目に野村選手が懐に入り込めば、2本目に手塚選手が同じ作戦でやり返す。ベスト8に続きサドンデスに突入するが、3本目から6本目まで同じパターンが繰り返される。もはや意地と意地のぶつかり合い。勝負が動いたのは8本目。7本目はそれまでと同様に野村選手が食い込んでおり、「また決着つかずか」と誰もが思い込んでいた。しかし、8本目のシケイン出口で手塚選手が大きく挙動を乱してしまう。勝負アリ。永遠に続くかと錯覚させるほどの死闘は、あっけない形で幕を閉じた。

決勝野村VS内海

 決勝は黒井敦や熊久保信重という強豪を下し、久々にトーナメント上位に顔を出した内海彰乃選との対戦だ。度重なるサドンデスで体力・気力としたかと思われた野村選手だが、この日は勢いが違っていた。1本目と2本目をイーブンで終え、なんと3回目のサドンデスに。3本目も野村選手の気迫はまるで衰えず、1コーナーで内海選手のインを差し2コーナーでオーバーテイク! 4本目は無難に逃げ切り、今シーズン初めてとなる優勝を決めた。猛暑のなか、テンションを途切れさせることなく度重なるサドンデスを戦い抜いた野村選手。ベテランらしい巧みな駆け引きとアグレッシブさは、観客席を埋め尽くしたギャラリーの記憶に焼き付いたに違いない。

表彰台

 昨年7月のオートポリス以来の優勝。年末のワールドオールスター戦を制してはいるものの、やはりシリーズ戦での1勝は喜びもひとしおだろう。シリーズチャンピオンまであと一歩と迫りながら、最終戦で敗れた昨シーズン。2007年は前半で思うような結果を残せなかったこともあり、野村選手やチームスタッフにとっては重みのある“優勝”だった。表彰式後の胴上げで、何度も何度も宙に舞う野村選手。ランキングこそ4位のままだが、この第5戦はベテラン復活の狼煙を上げたターニングポイントといえるだろう。
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ニュルブルクリンク2014