TOKYO DRIFT IN ODAIBA(エキシビジョンマッチ) 6月8日(日)
東京・お台場特設コース


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曇天のお台場2日目

初日、ディレッツァスポーツZ1スタースペックを履いたダンロップタイヤ勢のなかで、決勝トーナメントへ進出したのは野村謙選手と古口美範選手の2名となった。両選手ともにベスト8に手堅く進出。同時にエキシビジョンマッチとあって、日比野哲也選手、猪瀬徹選手を含めてプロならではの迫力のある走りを見せてくれた。
さて、迎えた2日目。『TOKYO DRIFT IN ODABA』の舞台となる、船の科学館駅前の駐車場特設コースには、早朝から大勢の観客が列をつくって入場ゲートを目指していた。予報により心配された雨も降ることなく、むしろ涼しく感じられるほどしのぎやすい曇りの一日となった。
対戦内容は初日と同様で、まず単走による予選で決勝トーナメントへ進出する16名が決まる。決勝トーナメントはもちろん追走で行なわれる。

予選で100点を叩きだす野村選手

野村選手の予選Aグループは、歴代チャンピオンが揃うためであろうか、激しいドリフトアタックの応酬となった。なんと、終わってみれば6名が100点を出していた。そんななか、われらがダンロップタイヤのエース、野村選手が見せてくれた。1本目こそ1コーナーのラインをややあまらせての99.8点となったが、2本目はスピードがあり、角度がついたスムーズで美しいライン。これが100点をたたき出した。じつは野村選手のR34は午前の練習走行でステアリングにトラブルを抱えて急きょパーツを交換。本来のセッティングではなかったのだ。そんな状況で100点満点を出す。さすがはエース野村。堂々と決勝トーナメントへコマを進めた。
追走の決勝トーナメントでは今村陽一選手との対戦となった。今村選手は追走名人といわれるほど戦略に長けたドライバーであり強豪だ。しかし、スピードと角度を武器にした野村選手も負けてはいない。
先行は野村選手。後追いの今村選手が同時に振り出して果敢に寄せていく。わずかに今村選手のアドバンテージとなったが、続く後追いで野村選手が今村選手のお株の奪う超接近戦を演じた。これでイーブンとなってサドンデスへ突入。先行の野村選手は逃げようとするも、後追いの今村選手がさらに懐に入ってくる。後追いとなった野村選手も果敢に懐に入ったが、2コーナー以降でわずかに離されてしまい、ここで惜しくも敗退となった。

果敢なドリフトをみせる日比野選手

初日は終始自分の走りができなかった日比野選手だったが、予選では2本目に125km/hの進入速度で1コーナーへ飛び込み、角度も迫力をじゅうぶんなドリフトで99.95点をマーク。12番手で予選を通過した。「ドリフトが噛み合わない」とコメントしていた初日とは一変、ターボのハチロクでの果敢なドリフトアタックは会場を大いに沸かせた。予選3本目は惜しくもスピンとなってしまったが、この走りに客席から大きな拍手がおくられた。

素晴らしい走りをする猪瀬選手

変わり身といえば、猪瀬選手も同じだった。それは2本目。126km/hの進入速度からスパッと横へ向けて1コーナーへ飛び込むそのサマにはカッコよさを通り過ぎて感動的ですらあった。2コーナーへのラインも余すところがなくみごとにきめ、100点を出した。猪瀬選手は初日からジャンプアップの5番手で決勝トーナメントの出場権を獲得した。

日比野選手VS猪瀬選手

そんな高得点で予選を通過した日比野、猪瀬の両選手だったが、5番手と12番手の組み合わせのため、なんと決勝トーナメントはダンロップタイヤ同士の対決となってしまった。猪瀬選手が先行、日比野選手が後追いでスタート。1コーナーへの飛び込みを決めて日比野選手の追撃を阻止したい猪瀬選手だったが、2コーナー手前で流されてしまう。ここですかさず日比野選手が入り込み、さらにはオーバーテイク! 大きくアドバンテージをもらった日比野選手が先行でも安定した走りを見せ、そのまま同門対決を征した。
ベスト8に進出した日比野選手は、FD3Sの末永正雄選手と対戦した。末永選手はミスのない安定した走りで初日が準優勝と、勢いがある。2日目も予選で100点を出し、4番手での通過だ。先行は日比野選手。しかし、じょうずに食い込んでくる末永選手に苦戦。6:4でアドバンテージを与えて後追いとなったが、さすがに日比野選手も果敢に懐へ食い込む。しかし一歩及ばず末永選手にベスト4の進出を許してしまった。それでもベスト8は大健闘といえ、「初日は、このコースに合わせきれなかったという感じでしたが、外からみんなの走りを見て、それを参考に走り方を見つけたのがよかったです。マシンのポテンシャル面で厳しい部分はあるのですが、これからもガンガンいきますよ!」と。次の岡山でもアグレッシブなドリフトを見せてくれるだろう。
日比野選手に敗れた猪瀬選手も「2日目にようやく自分らしい走りができた」と、復調をアピールしていた。

古口選手VS川畑選手

古口選手の上向き調子は2日目も同じであり、予選1本目のストレートの振り出しポイントでは副審が日の丸の旗を揚げた。速度や角度など優秀な走りを賞賛する旗で加点対象となる。99.9点を得た。2本目は2コーナー手前でスピンとなるものの、3本目はさらにスピードと角度の高いところを目指した走りで99.95点を出す。11番手での通過となった。
決勝トーナメントは初戦でヴェロッサに乗る廣田友和選手と対戦した。しかし、この対戦は廣田選手のミスにより、すぐに決着がついた。初日同様、古口選手はベスト8に進出。
富士の優勝以降、勝ちにこだわる姿勢が、よい方向で結実している。慣れ親しんだ180SXでの走りは好調そのもので、優勝への期待がかかるところ。
ベスト8の対戦相手はディフェンディングチャンピオンの川畑真人選手だ。川畑選手も今年から180SXにスイッチ。つまり、180SXでD1グランプリへとのぼってきた“180SXスペシャリスト”ふたりのカードとなった。しかし、勝負は後追いでスタートした古口選手が、2コーナーのアプローチで川畑選手のマシンにピタリと合わせたとたん、スピンに近い状態となりリカバリーでドリフトを戻してしまう。これが川畑選手への大きなアドバンテージとなり、続く先行は川畑選手の食い込みを抑えられず、ベスト8でエキシビジョンマッチを終えた。
「ポイントがからんでいませんでしたが、昨日、今日ととてもよい経験になりました。出来としては95点以上だったと思います。次のステップアップにつながる実りの大きな大会でしたね」と2日間を振り返る古口選手。岡山での走りを期待したい。

次回は岡山

2日間とも全開でドリフトに挑むゆえに、マシントラブルなどもあったものの、2日目はダンロップタイヤ勢全員が予選通過を成し遂げたのだった。ポイントに関係がないエキシビジョンマッチではあったが、果敢にドリフトアタックする姿勢は、確実につぎへの布石となるだろう。
さあ、いよいよ初の岡山決戦。ダンロップのD1戦士に大きな声援を送ってほしい。

野村選手

「ナックルのトラブルで、2日目の予選前にこれを急きょ純正に戻しました。道具がかわって調子を崩してしまいましたね。いつものように角度をつけるとスピンしてしまうので、難しかったですよ。でも、こんな街のなかで走れる機会はそうそうありませんから、もうちょっと走りたかったですねぇ」と、野村選手。1発目から安心してアクセルを踏んでいけるディレッツァスポーツZ1スタースペックを再確認しただけに、マシントラブルにはことさら悔しがっていた。


阿部成人のコメント
「練習走行終了後にナックルの異常を見つけられたのがラッキーでしたね。純正に交換したので、野村さんの本来の走りができなくなったのが残念でしたが、それでも予選で奇跡的に100点を出してくれました。嬉しかったですねぇ。次の岡山も優勝を狙ってがんばります」
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ニュルブルクリンク2014